美作ほむら

官能小説家。2018年から2019年まで、某女性向けアダルトサイトにて、官能小説を執筆…

美作ほむら

官能小説家。2018年から2019年まで、某女性向けアダルトサイトにて、官能小説を執筆していました。 数年のブランクの後に、書きたい意欲を抑えることが出来ず、noteで活動を再開することにしました。 恋愛に絡む性の世界を描きたいと思っています。

最近の記事

【官能小説】思い出になんて出来ない

「う…ううっ…」  家族が寝静まった家のバスルームで、僕は勢いよく精液を吹き出させた。  基本的に夜が遅い僕は、入浴も遅い。  元々が長風呂なので、何かを怪しまれたりもしない。  入浴後のすっきりした気持ちは微塵もなく、寂しさでいっぱいの濡れた体を、のろのろと拭く。  妻と息子の顔が浮かぶ。  こんなことは、家族に対する背信行為だ…。  妻や夫、恋人がいての自慰行為が悪いとは、僕は思わない。  でも、僕がしているのは、あの夜の彼女と自分を想ってのことだ。  しかも、た

    • 【官能小説】サディスティックなサウンドを響かせてくれ

       金曜日の夜、私は馴染みのSMバーに来ていた。  一面鏡張りになった薄暗い照明の店内には、SMグッズがずらりと並ぶ。  こういう場に来る以上、まったく興味がないわけではない。  だが、それ以上に、私がこの店を気に入っている理由は、流れるBGMだった。  流行りのポップスでもなく、気取ったジャズでもなく、騒がしいダンスミュージックでもない。  私の好みに近いR&Bや70年代80年代のディスコサウンド、シティポップなどが流れている。  落ち着いた大人の音楽だった。  この店でよ

      • 【官能小説】最初で最後の一夜

         その大型連休の初日、私はある地方都市に来ていた。  私が住んでいるところではほとんど知られていないものの、その地方では絶大な人気を誇る歌手のライブを見るためだった。  何とかドームや何とかアリーナで行われるものではなく、その歌手が経営する小さなライブハウスに参加する。  私は都会に住む平凡な会社員だ。  偶然、その歌手の曲を動画サイトで聴いて、ひと目惚れならぬひと聴き惚れしてしまった。  私は、その歌手の声に、恋していた。  その人の名前は、頼人さんと言った。  42歳

        • 【官能小説】奪われた自由の甘美な時間

           あるSNSで、わたしは若い女の子と仲よくなった。  地元のグルメやおすすめスポットを紹介しあうグループに、その子はいた。  比較的中高年が多いそのグループでは、珍しい存在だった。  投稿やコメントを通じて交流するうちに、その子から友達申請が来た。  メッセンジャーでの丁寧な挨拶もあり、わたしたちは友達になった。  グループを離れて個人的にやり取りする中で、わたしはその子に訊いてみた。 「僕みたいなおじさんでいいの?」  その子はこう答えてくれた。 「年上の人と交流するのが

        【官能小説】思い出になんて出来ない

          【官能小説】初めてのガーターベルト

           ある日、何気なく通販雑誌を眺めていた私は、ある商品に目を留めた。  胸の大きな女性用のブラジャーと、それに合わせたショーツとキャミソール。  デザインも気に入ったし、すぐにパソコンから購入手続きをした。  私は18歳の学生だ。  ファミレスでのバイトにも慣れて、お小遣いには不自由していない。  私には、友達よりも優先すべき人がいた。  悠馬と言って、今年28歳になる会社員だ。  後ろ指を指されるかもしれないけれど、お金をもらったりはしていないので、人に恥じたりはしない。

          【官能小説】初めてのガーターベルト

          【官能小説】まなざしは禁じられた欲望

           ある日、氷上教授―2人きりの時は祐介さんと呼んで欲しいと言われている―のマンションへ呼ばれた私は、何かが起こりそうな胸のざわつきを感じていた。 「よく来てくれたな」  そう言って私を迎えてくれた祐介さんの笑顔に、明るさはまったくなかった。  むしろ、陰気さを感じさせた。 「何か飲むか」  喉が渇いていた私はビールをもらって、一気に飲み干した。 「美紀は相変わらず強い。アルコールを飲んだら、俺のほうが負けそうだ」  そう言って笑うその声は、ひっそりとしていた。

          【官能小説】まなざしは禁じられた欲望

          【官能小説】お前の熱をこの体に刻み付けたい

           33歳にして、私は勤めていた会社を辞め、ある芸大の演劇専攻の学生となって、大学組織に舞い戻った。  ここには、俳優を夢見る人たちが集まる。  けれど、私はセミプロの劇団の劇作家だ。  劇作家を務める人間として、演技とは何か。  それを一から学びたいと、ずっと思っていた。  私の書いたもので役者たちや裏方たちが動く以上、演技とは何かを知っておかなければならない。  事実、1冊の台本を執筆し終えると、演技指導のかたわら、裏方の仕事を積極的に手伝っていた。  そうすることで、

          【官能小説】お前の熱をこの体に刻み付けたい