先手三間vs後手エルモ急戦その1 斜め棒銀タイプ
◎はじめに
Flame_Angelです。記念すべき初投稿となります🥳
今回からしばらく、三間飛車vsエルモ急戦の戦型について書いていきます。
双方が先手と後手で戦い方をかなり変えたりするので掘ってて面白い戦型です。
◎先手は57銀型を採用
下の図を先手三間vs後手エルモの基本図とします。
まずは三間飛車側が先手の場合について書きます。
先手は57銀型を採用するのが良いでしょう。57銀型は積極的で、先手番に向いた指し方です(67銀型が消極的なので消去法で……という節はあります)。
対して後手は攻め方として斜め棒銀タイプと早仕掛けタイプの二つを選べます。本記事で扱うのは前者の斜め棒銀タイプです。
◎67金〜59角が受けの形
基本図から
△64銀▲67金△75歩▲同歩△同銀▲59角(第1図)
△64銀には▲67金と上がって角頭を守ります。続いて後手は△75歩から仕掛けますが、▲同歩〜▲59角と引く。なお▲59角に代えて▲76歩は△86歩で終わります。よくあるやつですね。
◎持久戦に
第1図から
△74歩▲88飛△73桂▲76歩△64銀(第2図)
後手は△74歩と銀に紐をつけて△86歩を狙います。これには▲88飛と受けます。続いて△73桂は狙いを秘めた手で、次に△65桂があります。これを食うとまずいので▲76歩と打って銀を引かせます。
ここまで先手は仕掛けを封じることに注力していますが、これは「エルモは持久戦が苦手なので仕掛けを封じれば有利になる」という考え方に基づいています。三間側にとって重要なポイントなので押さえておきたいところです。
第2図から後手からすぐに仕掛けることは難しく持久戦に。ただこれは先手の狙い通りなので既に後手不満となりつつあるという節があります。
◎機敏な▲45歩
第2図から
▲46歩△51金▲36歩△94歩▲47銀△84飛▲45歩△95歩▲38金(第3図)
先手の狙いとしては▲45歩ですね。この位が急所です。エルモは4筋が弱点で、終盤で44歩が刺さります。また、この位によって後手の囲いの進展性を奪っているのもポイント。このために、45の位は価値が高いのです。
第3図まで進めば先手作戦勝ち。▲46銀〜▲35歩や▲26角で手を作っていきたいところです。なお、▲38金に代えて▲38飛はお勧めしません。袖飛車に対しては、エルモの場合△41玉〜△32金と組み換えてくるので効果が微妙なのです。エルモは△41玉の逃走ルートを使えるということを覚えておくと良いでしょう。囲いも薄くなるのでやめておくべきです。
◎後手が45の位取りを防いだ場合
(手順略)
後手としては、4筋の位取りを嫌えば△44歩としておくのが安全です。攻撃力が低下するので打開が難しくなりますが、73桂+64銀の配置は振り飛車側の動きを封じやすいので、待機に徹する方針として十分有力です。
先手は打開のために歩が欲しいので、ここでは▲38飛が有力。ここで一歩交換します(第4図)。
第4図から
△84飛▲88飛△42金▲48銀△33角▲37銀…(中略)…▲26角(第5図)
△84飛は次に△75歩と仕掛け直す狙いがあるので▲88飛と戻ります。後手は雁木穴熊を目指すのが良いでしょう。居飛車は持久戦で銀冠に出来ない場合雁木穴熊を目指すのがベストです。
先手は48〜37〜28のルートで左銀を寄せ、穴熊に組みました。3筋交換によって傷が出来ているので美濃は非推奨です。最終手▲26角は次に45歩とする狙いで、互角の形勢です。
なお、この形での先手からの攻め筋に▲65桂or歩(参考図)という手があることを補足しておきます。以下△同桂▲同歩(桂)△同銀と進めると▲66歩で銀が死にます。△同銀に代えて銀を引けば桂交換で収まります。これで有利になるとは限りませんが、手作りの一環で使える筋なので覚えておきましょう。
こういった展開は、後手としては急戦でもなんでもない将棋なので不本意ですが、4筋の位を取れなかった場合は先手も作戦勝ちを築くことは難しく、均衡の取れた将棋になります。
今回は以上となります。次回は後手が早仕掛けを選んだ場合について扱います。
早仕掛けが後手の大本命で、双方の細かな陣形の差によって優劣が大きく変わる、この戦型の花形といえます。おそらく2(〜3)回に分けて書くと思います。
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