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12月読んだもの観たもの

宇野重規『民主主義とは何か』
 書籍。11月の続き。
 全部読むと、読む前には民主主義に対して極めてぼんやりしたイメージしかなかったのが(というか、一般市民はどのように政治参加できるのかとか、どういう役割を果たすのかがすごいのっぺりしたイメージだった)、もっと複雑で色々な可能性のあり方を考えることができた。古代ギリシアの民主主義と、現在の日本のことしか念頭になかったけれどその間の文脈を埋めてくれるものだった。
 社会の状態や国の規模によって、理想的な政治の形は違う、というのが一番強く感じたことだったので、スマートフォンによる大きなインパクトは政治のあり方に大きな影響を与えてはいるだろうな、と思い、それに対してまた仕組みの方がどうあるべきかというのも異なりそうだなと思った。
 後世に至るにつれ、人々は愚かであるということを含みおいた上での議論が為されているということが実感されて少々安心した(わたしの中のヴォネガットも少し落ち着いた)。

『イン・ザ・スープ』
 映画。懐かしいやつ。早稲田松竹で『スモーク』と同時上映でかかってた。観た時の感触が良かったという記憶があったので、見直してみたのだけれど、『スモーク』を観るために観に行って同時でかかってたらいいなってなる作品だったかもな、と思った。
 あと、そういう空気感の演出の作為が前より明瞭に読み取れるようになったので、ということもあると思う。
 でもブシェミはとにかく騙されているのが一番いいので、ナイスブシェミな映画ではあった。

『サウダーヂ』
 映画。久々に映画に遅刻しましたすみません!! 

マリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』
 小説。全然知らない人の小説を読みたくなったので、Xでフォローしている外国文学愛好家の人の投稿を遡って、いくつかピックした中の一つ。
 エログロの奇妙さがあって、江戸川乱歩とかみたいなあからさまな感じではないんだけれど、短篇を重ねて読んでいくと奥に偏執的な個人がいる感じがして、いやーなホラーの楽しさがあった。嫌ではなく厭な、という感じのやつ(アリ・アスターとか、ヨルゴス・ランティモスとかの感じも近いかも)。
 最初の二作くらいはピンと来なくて、ん〜〜ちょっと思ったより軽かったな、とか思っていたんだけど、重なってくると面白かった。なんとなく、桜庭一樹とかの作風にも近いのかも。短編集の中で一番長かった『戻ってくる子どもたち』は特に良かったので、長編も割と気になる。
 あと、作者はアルゼンチンの作家なのだが、ラテンアメリカ文学はラテンアメリカの政治的混乱と共にある部分もあり、この作家の作風にもアルゼンチンの「汚い戦争」の影響がみられる、という解説を読んで(確かに失踪の話は多い)、アルゼンチンの70年代から80年代のあれこれを読んでいたら、アメリカの介入にも行きつき、今現在イスラエルで起きている紛争も外部からの介入で、安心できる生活を奪われている人々たちなのだよな、と思い(家人がちょうどカナファーニを読んでいたのもあり)、なぜそんなことができるのだろうか、と落ち込んできた。

8番出口
 ゲーム。流行っているな〜実況観る前に、ちょっとプレーに挑戦してみようかな〜と思って、ゲームは慣れないくせに買ってやってみたら、まじで心臓がもたず、遁走した。あと全然見つけられなくて、画面酔いと恐怖で家人共々これ以上の操作は難しい、となり、体感してみたので実況を解禁して楽しんだ。ホラー色のあるゲームを自分が操作してやる、というのがいかに心臓に悪いか、ということを実感した。自分が殺されちゃう!!と焦りすぎて心臓が持たない。元ネタにしてるゲームもホラー色あるので、気にはなるけどプレーはできなさそう。

武田砂鉄のプレ金ナイト ニュースエトセトラ 12月8日
これ。パーティー券問題、パーティー券のマージンの仕組み、キックバック、収支報告書への未記載の何が法に引っ掛かってて、どこが一番心象悪くて、どの発言がどれくらい批判されるべきなのか、意外と新聞読んでても分からないですね!と思ってラジオ聞いたらわかりやすかった。新聞に松野官房長官の特集で、支援者か何かが「きちんと収支報告書に記載していればよかったのに…」的なことを言っていたのが謎だったのだけれど、政治資金収支報告書への記載がないと法的に違法で、実際にそれを記載している議員もいることがわかってスッキリだった(政治資金規正法のことが分かってないといけない)。

プロフェッショナル 仕事の流儀 宮﨑駿回
 ドキュメンタリー番組。『君たちはどう生きるか』の感想は、切ない、だったんだけど、やはり、観ながら後半に向かうにつれて映画を観ている時と同じように切なくなってしまった(『君たちはどう生きるか』を観た後の、わたしの取り乱した日記の文面を探したが全部見つからず、散逸させてしまっている……となった)。

毛塚了一郎『音盤紀行』1.2
 漫画。ぴっと買って読みました。さらーっと読めた。

ケリー・ライカート『ファースト・カウ』
 映画。よかった。やっぱりオールドジョイが一番良かったとは思うんだけど、いい映画だった。エンドロールで、牛のところにもきちんと名前が書いてあった。

M-1
 テレビ。近年視聴が習慣になりつつある。去年の敗者復活から、令和ロマンを知って応援してたので、えみくじでみんなでひっくり返ったり、最後の票が一つ一つ開いていくところで、ボルテージが上がったりと非常に盛り上がった。たのしかった。

和山やま『ファミレスいこ』上
 漫画。下巻読ませて〜ア〜〜!!ってなった。またゆっくり待つ。

『スピード』
 映画。実家帰ったら父親が観ていたので、観たことないかもーとか言いながら観たら、全然最初から最後まで観たことあった。バスはあんな飛び方をしない、バスが飛行機にぶち当たる必要なさそうなのにぶち当たるという爆発の贅沢、地下鉄から電車が地上にぶち上がると面白い、など、突っ込みながらずっと観た。相方の死が軽く扱われすぎで悲しい。

ジョサのマルケス批評の本と、井伏鱒二の本を読みかけで年越し。

今年は友人が家に遊びに来てもらって楽しい一年でした、ギャべ買ったのがよかった!

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