愛おしい嫌悪

私はたばこが嫌い。煙いし臭いし健康にも悪い。みんな何のために吸ってるのか私には到底理解できない。自分の体を害することと引き換えにリフレッシュしてるのだろうか。そうにしたって私は好きにはなれない。
ところで、単にたばこと言っても色んな品種がある。メビウスやらケントやら、挙げればキリが無いがそれぞれ匂いがちがう。もちろんそれぞれの商品の匂いや特徴があるから、人によっても吸うものも違ってくる。私がコンビニで握り飯を買うとき決まって昆布と叩き梅を買うように、喫煙者もいつもの品がある。だから、誰々は何を吸うというのはいつも決まってる。
話を戻すが、私はたばこのあの匂いが嫌いだ。でもある意味好きでもあるのだ。特にメビウスは。嫌いなはずなのに好きなのは、私に深く関わりのある人は大抵メビウスを吸ってるから。いつかそんな私にとって重要で大切な人たちがいなくなってしまったとしても、街を歩けばきっとメビウスの香りは私の鼻をつついてくるはずだ。そうしたら私はその人たちのことを思い返すだろう。嫌いだからこそ忘れらない。嫌悪してるはずなのに愛おしい。
私は匂いを出さない。私がいなくなったとき、忘れられたとき、私を想う人は何を感じて思い出してくれるのだろうか。それはきっと彼らにとって苦手なものかもしれない。

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