マンパワーは足し算では動かない

先日、タイムラインにジョーク動画が流れてきた。


動画そのものはネタ動画だ。が、人的リソースの運用ミスを、端的に表現している。

一人で素早くできる作業が、共同作業になった瞬間にグダグダになる。いくつかの条件がそろうと、マンパワーの追加は生産性に貢献しなくなる。

・状況が刻々と変化し、リアルタイムのチューニングが必要になる
・作業者の間で、多くのインタラクションが発生する
・インタラクションそのものの時間コストが大きい
・インタラクションが不定期に発生する
・動作の始動や停止に時間がかかる

高速道路の渋滞、役所のたらい回し、伝言ゲームなどが典型的な例だろう。


逆に、マンパワーの増員でスケールする分野はどうだろうか。作業者が完全に分業するケース、インタラクションが周期的に起こるケースが多い。

・作業者の作業が独立している
・インタラクションの時間コストが小さい
・インタラクションが周期的パターンで発生する

こちらは工場のコンベア作業、椀子そば、餅つき、電話サポートセンターなどがあたる。


こうやって考えると、大企業でスピードが遅い会社ほど、前者のパターンにハマっているように思える。逆にスピード感のある会社は、後者の独立分業型に近い。「調整」という業務そのものが、大きくなるほど機能しなくなるのだろう。

このような傾向をみるに、プロダクト開発をスピードアップさせるには、相互インタラクションや共同の意思決定を、いかに減らすかが大事なのだろう。

たとえば、レゴブロックを作る人、レゴを組み合わせと大きなモジュールを組み合わせる人、モジュールを組み合わせてプロダクトを作る人といった具合にレイヤーをわけ、相互干渉のないように独立稼働させるのはありかもしれない。

細かい調整をしないので、余剰のレゴブロック、余剰のモジュールが生産されるリスクはある。だが、いっそ調整せずにブロックを余らせてしまうほうが、トータルで見た場合のコストは低く、素早く動けるかもしれない。ミクロ的に非効率に見えるものが、マクロ的には最大効率をもたらすわけだ。

このあたりに、汎用的に使える、スピードアップのコツがないものかなと考える。


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