🖇春風/くるり

出会いは新芽、開いた花の名前を覚えて
ぼくはあなたと共有する。
一緒に生きていくという誓いを前に、不安や
人生への憂いは
拭い切れるものでは無い。
けれども雨は、それらも洗い流して
繋いだ手は、ぬくもりは
確かに灯りでした。

共に歩んだ日々、1本また1本と
編んできた人生も終わりを迎えるでしょう。
形あるこの身、積もる記憶は
溶けて薄れて なくなってしまう。

そうして、それでも、あなたを抱きます。
あの時と同じように雨が降りそうです。
この別れに涙が出ないのは
幸せだと呼べるのは
僕たちの人生に悔いが無いからでしょうか。
ここで別れてもきっとすぐに会えるからでしょうか。

僕の乗ったバスは、今動かなくなってしまったけれど 今頃汽車に乗っているあなたを想います。

探しています。

次の春風で、また。

結ばれましょう。

🖇🖇🖇
まずはお題をくれたあなたに、ありがとうございます。いつも私は自分の好きなアーティストの曲についてしか触れないし、言葉に残すこともないから、今回とても嬉しかったです。

最初に私は「親から子への歌」とお返事をしました。
親か子へ花の名を教える、気が付いた時には遊び相手は自分ではなく友達になっていく。面と向かって触れ合うことはもう恥ずかしいようで、眠る我が子の手を握り、愛しい奇跡は心に火を灯す。
紡ぐ日々、忘れないよう解けないよう編んだ記憶も、老いと共に溶けてなくなってしまう。あなたに教えたあの日の花の名前を忘れても、あなたを忘れない。

薄れ、混ざり、崩れゆく生命と
門出の汽車。

季節の巡りは、この世そのもので。
次の春風で、生まれ変わって、また、来世で。

これが最初に浮かんだものでした。

MVを見て、確かに男女を中心とした映像に、男女の恋を連想するのも自然なことで、さァどうあなたに私の答えを送ろうかと考えました。

私はそもそも曲解釈などはミセスでもしていなくて、ただ私の感情に、愛情に、溺れないように形にしているだけなので 何を歌われているか、についてはあまり触れていないのです。(たぶん)

なので「親から子」と答えた後、どうせならば、あなたがくれた視点に立ってこの曲を紐解いてみようと思いました。

恋人との別れの歌、である場合。

一番で「教えた」のに二番で「忘れて」しまうのは、忘れたくて忘れるのではなく、「老い」。
どこかへ行って消えてゆくのは、「不安」や、「憂い」。「雨」には暗いイメージが私には多いですが、曲調が暗いわけではないから、明るくここは受け止めました。
「溶けてなくなった氷のように」、ここが特に好きです、「水になった氷」ではなくて、「溶けてなくなった氷」。きれいな言葉ですね。水になったのではなく、消えてしまった。
「幸運」と「約束」を編んだあの日を忘れても、あなたのことを抱きしめる。
「汽車」が何を示しているのかは私の中ではほんのりと薄暗い「お迎え」のような意味合いを感じています。
汽車に乗って遠のくあなたを、想っている。

とてもやさしくて、せつなくて。

これが私の答えです。

「溶けてなくなった氷のように」という私にとってはこの曲で一番の悲しみを感じるフレーズに
「水となりまた巡り、氷として姿を現すことを いつかの希望と呼びましょう」
と、願いを添えて。