ねこのジェリー
ジェリーちゃん、おはよう。
朝7時。ゴミを捨てに行ったら、お向かいの家に住むねこのジェリーちゃんに会った。しばらく見かけなかったのでうれしくてそっと近づいたら、目の前で気持ちよさそうにゴロンゴロン始めた。
ーよしよし心をゆるしてる。
ゴロンゴロンのあとは毛づくろい。歳のせいかちょっと雑な気が…。でも集中してる。じっと待つ。声もかけない。
ーそろそろいいかな。
鼻先にそっと人差し指を差し出す。くんくん。やった!においをかいでくれた!それから自分の鼻先からおでこへと私の指を擦り付けてくる。
ーやっぱり心をゆるしてる!
私はゆっくりそっと人差し指だけでジェリーちゃんのおでこを撫でる。あったかいおでこ。ジェリーちゃんも気持ち良さげに目をつぶる。私も「よちよち」なんて言いながら指を動かす。くりくりちょこちょこ。そのときー
「シュッ」
ジェリーちゃんが爪を立てる。別に痛くない。「ちょっとしつこいよ」「もうそのぐらいで」そんな感じ。
「はいよ、ごめんよ。もう行くね」
立ち上がる私。
「そいじゃね、バイバイ」
ジェリーちゃんは「バイバイ」がわかる。きっと飼い主のお母さんがお仕事に行く時いつも聞いてるんだろう。
私はちょっと心を残したままうちの中に入ろうとする。ジェリーちゃんはまた毛づくろいを始めている。もう一度言ってみる。
「そいじゃね。バイバイ」
ジェリーちゃんが突然毛づくろいをやめた。
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