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これを読んでも、別に株の取引で利益は出せるようにはならないけれど、意味不明で無駄な株の取引は削減することが出来るようになるnote 第七夜【メルマガで推奨されていた銘柄について】

ある夜、某所にて・・・

A:
ソフトバンク株は「買い」だ。一週間後に売ろう。

B:
なぜ?

A:
購読している「億トレーダー」のメルマガで今日推奨していたからだ。

B:
なるほど。ではその「億トレーダー」はなぜ「ソフトバンク株は、今日から一週間かけて需要が供給を超過する」と判断したのか?

A:
わからぬ。しかし実績ある者の意見は聞くべきであろう。

B:
然り。ではその「億トレーダー」は「ソフトバンク株は、今日から一週間かけて需要が供給を超過する」ということをなぜ君に教えているのか?

A:
愚問だ。金銭の支払いに対して、役務提供するのは至極当然のことであろう。

B:
なるほど。ちなみにいくら払っているのか?

A:
ひと月に10,000円である。

B:
ふむ。結果は出ているのか?

A:
無論だ。現在4連勝中である。

B:
なるほど。ところで君は「証券の飛び込み営業で、ほぼ確実にお客さんが出来る方法」を知っているか?

A:
知らぬ。いきなり何か?

B:
まあまだ話の続きがある。その方法の手始めとして、50人に対して「ソフトバンク株は買いだ」と言い、違う50人に対して「ソフトバンク株は売りだ」と言う。そうするとどうなる?

A:
一方の50人は買っていたら儲かることになる。

B:
然り。そして次にその「当たった50人」のうち25人に対して「トヨタ株は買いだ」と言い、もう一方の25人に対して「トヨタ株は売りだ」と言う。

A:
次は25人が儲かることになる。2連勝だ。

B:
然り。そして「当たった人」に対してこれを続けると、3連勝する人がおよそ12人、4連勝する人が6人、5連勝する人が3人、6連勝する人がおよそ1人になる。ここまで行った時、おそらく4連勝以上した人はその営業マンをほぼ完全に信用し、何でも言うことを聞く「良いお客さん」になっているだろう。そして他の何でもない、この「良いお客さん」とは君のことなのである。

A:
どういうことか?

B:
つまり、その「億トレーダー」はメルマガ登録者の半分に「ソフトバンク株は買いだ」と言い、もう半分には「ソフトバンク株は売りだ」と言っている可能性があるということだ。そしてもしそうなのであれば、君が今までに4連勝出来たのは「たまたま」であった可能性が非常に高いということになる。

A:
なるほど。しかしそれはあくまで可能性であろう。もしそうでなかった場合、つまり「メルマガ登録者全員にソフトバンク株を買い推奨していた」ということであれば問題なかろう。

B:
勿論だ。あくまで可能性でしかない上に、実際にそのようなことをしていたらおそらく法律違反に該当するため、よほど愚鈍でなければわざわざそのようなリスクを取るハズがない。

A:
では良いであろう。やはり億トレーダーの意見は聞いておくべきである。

B:
いや、「なぜ推奨銘柄を教えるのか?」について、まだ検討していない事項がある。

A:
これ以上何があると言うのだ?

B:
それは、その億トレーダーの「メルマガ配信前の動きと配信後の動き」だ。

A:
どういうことか?

B:
つまり、ここで問題になるのは、その億トレーダーが「メルマガ配信前に推奨した銘柄を買っていた場合」である。

A:
だとすればどうなのだ?

B:
仮にその推奨銘柄が、価格を動かすのに大量の資金が必要となる「大型株」ではなく、価格を動かすのにそこまで資金が必要でない「小型株」であった場合、その億トレーダーがメルマガを配信し、登録者から続々と買い注文が出てくれば、その「小型株」は簡単に値上がりする可能性が高い。そこでその億トレーダーはメルマガ配信前にその銘柄を買って仕込んでおき、メルマガ配信後にある程度値上がったタイミングで売り払えば利益が出るという仕組みだ。

A:
なるほど。しかし今回のように推奨銘柄が「大型株」の場合はどうなのだ?ちょっとやそっとの資金では株価は動くまい。

B:
然り。しかし「需要と供給のバランスにより株価は決定される」という大原則に従えば、「メルマガ登録者の買い注文金額」が今後入ってくることを事前に知っている分、その億トレーダーは相対的に優位であろう。

A:
つまり、我々は利用されているだけの存在に過ぎないと。

B:
いや、正確に言えば君たちは「お金を払って、その億トレーダーに更にお金が入ってくるようにしている存在」である。そしてその億トレーダーに入ってくるお金の一部は、他の何者でもない君のお金なのだ。

A:
もしそうだとしたら極めて遺憾であり、同時に怒りを禁じ得ぬ。

B:
怒ってるところ申し訳ないが、もう一つだけ検討していないことがある。

A:
この際だ、話してくれ。

B:
承知した。検討事項の最後の一つはその億トレーダーは「それっぽく見せているだけで、実際は利益が出ない方法を教えているのではないか?」ということだ。取引のロジックを君が知らないことを鑑みると、おそらく開陳していないのだろうから、その可能性は十分にあり得る。

A:
つまり、私は「利益が出るかどうかもわからない方法を教えてもらうのにお金を払っている」という可能性があると?

B:
然り。もし「その方法で利益が出るのか?」を知りたくば、その億トレーダーに「①総取引回数②利益数③損失数④取引一回あたりの平均利益⑤取引一回あたりの平均損失⑥1%有意水準の利益確率⑦対ベンチマークにおける取引一回あたりの相関係数⑧対ベンチマークにおける取引一回あたりのベータ⑨対ベンチマークにおける取引一回あたりのアルファ」の最低9項目を聞いてみるが良い。

A:
色々な用語が出てくるが、説明してくれ。

B:
断る。ググって自分で調べるべきである。

A:
なるほど、承知した。しかし、聞けば聞くほど怒りを禁じ得ぬ。

B:
ものは考えようである。「そういう寄付行為」だと思えば、君は「極めて良き行い」をしていると言える。

A:
君は私に何をさせたいのだ?

B:
君に何かを強いるつもりはない。私が行いたいのはひとえに「可能性の提示」である。

A:
よくわかった。「可能性」と言うことであれば、かの億トレーダーがさきのような考えではなく、「自分以外の多くの人にお金持ちになってほしい」と純粋に願っている可能性もあるということか?

B:
然り。しかしもしそうだとしたら、まことに奇特な人である。

A:
ただ、否定は出来まい。

B:
勿論だ。それが「是か非か」は時間が経てばいずれわかることではあるが、いずれにせよ選ぶのは君であり、お金を払うのも君である。

A:
承知した。再考してみよう。

B:
やってみたまえ。

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