これを読んでも、別に株の取引で利益は出せるようにはならないけれど、意味不明で無駄な株の取引は削減することが出来るようになるnote 第五夜【上がっている株について】
ある夜、某所にて・・・
A:
ソニー株は「買い」だ。一週間後に売ろう。
B:
なぜ?
A:
ここのところ連日大幅に上昇しているからだ。
B:
なぜ「連日大幅に上昇している株は、その後一週間で需要が供給を超過する」と判断したのか?
A:
なんだか上昇しそうな気がするからだ。
B:
なるほど。なぜ上昇しそうな気がするのだ?
A:
連日大幅に上昇しているからだ。
B:
よろしい。では君は「連日大幅に上昇している株が、その後一週間で需要が供給を超過した」という過去の事例は調べたのか?
A:
いや、調べていない。
B:
調べてみるべきである。
A:
一理ある。しかし、過去にそういった事例があろうがなかろうが、今後もそれが繰り返される保証はないであろう。
B:
然り。では君は未来が見えるのか?
A:
愚問である。私とて未来は見えまい。しかし私の直感が「ソニー株は上昇する」と言っているのだ。
B:
なるほど。では君の直感はいかほど信用できるものなのか?
A:
ほとんどの場合、信用できる。今までやってこれているのがその証左であろう。
B:
認めよう。では君の直感に従って取引した記録を見せてみたまえ。
A:
そんなものはない。
B:
なぜ?
A:
いちいち記録していないからだ。
B:
ふむ。ではなぜ「直感に従って取引した場合、上手く行く」と言えるのか?
A:
繰り返しになるが、「それで今までやってこれているから」だ。
B:
なるほど。では「今まで」とは「取引回数」で換算すると何回になるのか?
A:
およそ20回程度であろう。
B:
よろしい。ところで君は飲酒運転をしたことがあるか?
A:
何をいきなり。そのようなことはしたことがないし、今後するつもりもない。愚問である。
B:
では仮に「飲酒運転をしているが、今まで交通事故を起こしたことがない。だから自分は今後も飲酒運転をしても上手くやれるし、交通事故を起こさないであろう。」という人がいたとする。これについてはどう思うか?
A:
完璧に間違っている。そのような考えは甚だ不遜な考えであり、まやかしである。遅かれ早かれ事故を起こすであろう。
B:
私もそう思う。そして、これは君のことである。
A:
どういうことか?
B:
つまり君が直感に従って取引を行なってそれが仮に今までは上手く行っていたとしても、それは「遅かれ早かれ上手く行かなくなる可能性がある」ということだ。要するに君の言葉を借りれば、「直感に従った取引で上手く行った」というのは「まやかし」である可能性が捨てきれないということだ。
A:
しかし、現に上手く行っているのだ。
B:
ではもう一度聞くが、「上手く行ったことを裏付ける記録」はあるのか?
A:
ない。
B:
では「直感に従った取引で上手く行ったこと」が「まやかし」である可能性は捨てきれるのか?
A:
捨てきれぬ。
B:
では「まやかし」である可能性も考慮すべきである。
A:
しかし「まやかし」でない可能性もある。その場合は良いではないか。
B:
勿論、その場合は問題がない。しかし問題は「まやかしであるかないかの是非は、結果が出揃ってからでないとわからない」ということである。結果が出揃った頃に仮に「まやかしである」とわかった時には、もう既に君はいくらかのお金を失っているのである。
A:
なるほど。ではどうすればよいのか?
B:
2つある。1つ目は「どうにかして『直感に従った取引は上手く行く』と判断できる記録を引っ張り出してくる」で、2つ目は先に言った「過去のデータを調べて『連日大幅に上昇している株が、その後一週間で需要が供給を超過した』という証拠を見つけてくる」だ。
A:
承知した。1つ目の「記録を引っ張り出してくる」はおそらく不可能であろう。故に、2つ目の「過去のデータを調べる」を行なうこととする。
B:
よろしい。やってみたまえ。
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