見出し画像

これを読んでも、別に株の取引で利益は出せるようにはならないけれど、意味不明で無駄な株の取引は削減することが出来るようになるnote 第十三夜【証券アナリストの推奨銘柄について】

ある夜、某所にて、老人と青年が話している。

青年:
ソニー株は買いです。今買って1年後に売ろうと思います。

老人:
ほう。それは一体なぜなんだい?

青年:
マネー雑誌で大手証券会社の証券アナリストが「ソニー株を買い推奨する。今後1年ほどかけて上昇が期待出来る」と言っていたからですよ。

老人:
なるほど。ではなぜその証券アナリストは「ソニー株は今後1年かけて需要が供給を超過する」と判断したんだい?

青年:
その証券アナリストは「最近出している商品の良さ」や「経営陣の戦略性の高さ」を評価していて、だからこそ「買い」という判断を下したのだと思います。
「経営陣の戦略性の高さ」はよくわかりませんが、確かに最近ソニーが出している商品はどれも魅力的なので、僕も「買い」だと思います。

老人:
ではその証券アナリストは「『最近出している商品の良さ』や『経営陣の戦略性の高さ』があるので、ソニー株は今後1年かけて需要が供給を超過する」と判断しているということになるが、これはどうだい?間違っていないかい?

青年:
あながち間違ってはいないと思いますよ。そして、さしずめあなたが次に言いたいことは「では、本当に『最近出している商品の良さ』や『経営陣の戦略性の高さ』があると、ソニー株は今後1年かけて需要が供給を超過すると言えるのか?」でしょうね。
けれども証券アナリストは「証券分析のプロ」ですよ?「その分析過程には正当性がある」と考えるべきで、出した結論は尊重すべきだと思いますね。そもそも「分析過程の是非」などは僕たち一般人には判断出来ないので、いちいちその証券アナリストの言っていることを疑うことはむしろ時間の無駄だと思いますね。

老人:
ふむ、君の言うことにも一理あるね。ではその「出した結論」についてだが、君はその証券アナリストの「過去に行った予想とその結果」がどうであったかは知っているかい?

青年:
いえ、知りません。そんなことを知ってどうなるというのですか?

老人:
どうなるもこうなるも、ここにおいて「過去に行った予想とその結果」を知ることこそが一番重要なことだよ。
なぜならば、その証券アナリストの「過去に行った予想とその結果」がよろしくないのであれば、君がその証券アナリストの推奨に従ってソニー株を買うことは「合理的な行動」とは呼べないからね。
そうであった場合にはソニー株を買うのではなく、むしろソニー株を空売りする方がまだマシということになるだろうね。

青年:
なるほど。つまりはその証券アナリストの「分析過程がどうなのか?」が判断出来ない以上、せめて「出した結論が過去にどうであったのか?」くらいは知っておくべきということですか?

老人:
その通りだね。むしろそれすら知らずに投資をするのは「テキトーに選んだ銘柄に投資をする」ということと同義であると言えるね。
なぜならば、それで利益が出た場合にはまだ良いが、損をした場合には「投資プロセスの何が悪かったのか?」というフィードバックが全く効かないからだよ。それこそ時間とお金の無駄だね。

青年:
わかりました。ひとまず、その証券アナリストの「過去に行った予想とその結果」について調べてみることにします。
ちなみに確認なんですが、仮に「過去に行った予想とその結果」が良かった場合には、その証券アナリストの推奨に従った方が得策ということになるりますかね?

老人:
そうだね。ただし仮に良かったとしても、「サンプル数が少ない」という時には「今後サンプル数が増えていくに従って、結果が芳しくないものになっていく」という可能性があるので、注意が必要だね。

青年:
なるほど。あなたがよく言っている「統計的有意性」というやつですね。
あと、そもそもなんですが、「過去に行った予想とその結果」が見つけられなかった場合や存在しなかった場合にはどうすればよいでしょうか?

老人:
その場合は簡単だよ。君がその証券アナリストを信用するのかしないのかの問題というだけだね。
まあ、証券アナリストは他に山ほどいるから、そういった場合には私ならその証券アナリストはやめておいて、他の証券アナリストをあたると思うがね。

【まとめ】
・証券アナリストの推奨銘柄だからと言って、それに投資して利益が出るとは限らない。
・その証券アナリストの「分析過程がどういうものなのか?」が判断出来ないのなら、せめて「過去の推奨銘柄とその結果がどうだったのか?」くらいは知っておくべき。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?