見出し画像

これを読んでも、別に株の取引で利益は出せるようにはならないけれど、意味不明で無駄な株の取引は削減することが出来るようになるnote 第三夜【株価と基準価額について】

ある夜、某所にて・・・

A:
このアクティブファンドは「買い」だ。1年後に売ろう。

B:
なぜ?

A:
基準価額が下がっているからだ。

B:
なぜ「基準価額が下がると買い」なのか?

A:
割安だからだ。

B:
ではいかほど割安なのか?

A:
いかほどかはわからぬ。しかし運用開始以来の安値であることは確かだ。

B:
なるほど。では「運用開始以来の安値に達したファンドの基準価額は、その後1年で上昇した」という過去の例はあったのか?

A:
調べておらぬ。しかしこれだけ下がっていれば、今後は上がるはずである。

B:
よろしい。では「ファンドの基準価額が上がる理由・下がる理由」を説明してみたまえ。

A:
愚問である。上がる理由は「ファンドへの需要超過」で、下がる理由は「ファンドへの供給超過」である。

B:
君は間違っている。それは「株価が上がる理由・下がる理由」である。

A:
どういうことか?

B:
説明しよう。その日のファンドの基準価額が上がる理由は「その日のファンドの運用パフォーマンスが良かったから」であり、下がる理由は「その日のファンドの運用パフォーマンスが悪かったから」である。

A:
ふむ。するとファンドの基準価額は「需給の結果」ではなく「運用の結果」であるということか?

B:
然り。仮にその日そのファンドに「1,000億円の資金流入」と「500億円の資金流出」があった場合、差し引き「500億円の資金流入」となり、需給で言えば「需要超過」であるが、その日の運用パフォーマンスが悪ければ基準価額は下がるのである。

A:
なるほど。ではETF、つまり「上場投資信託」も同じであるか?

B:
それは否である。ETFは「投資信託」と名はついているが、通常のファンド、つまり「公募投資信託」と違い日々市場で売買されているものであるが故に、その価格決定は「需給」に依る。故に「インデックス先物とインデックス連動ETFとの裁定取引」が成立する。

A:
「インデックス先物とインデックス連動ETFとの裁定取引」とはどういうことか?

B:
込み入るので詳細は話さぬが、一息で言えば「本来同じ値動きをする2つの商品が違う値動きをしていた場合、値上がりし過ぎている方を売り、値下がりし過ぎている方を買うことで、その値動きが収束することによって利益を挙げる取引」である。

A:
なるほど、理解した。そして話を戻すと「基準価額が下がっている」という理由でアクティブファンドを買うことは間違っているということか?

B:
「運用開始以来の安値に達したファンドの基準価額は、その後1年で上昇する」という可能性が否定出来ない以上、一概に間違っているとは言えぬが、少なくとも再考は必要であろう。ところで子息はいまいくつになったか?

A:
10歳である。何をいきなり。

B:
まあまだ話の続きがある。子息は学校で成績表をもらってくるか?

A:
もらってくる。

B:
成績はいかがか?なかなかに聡明と聞く。

A:
自慢にはなるが、「オール5」である。

B:
素晴らしいことだ。ではその「オール5」の成績表を見た時に「次の学期はオール2になる」と思うことがあるか?

A:
よほど手を抜かぬ限りはあり得ぬ。教育は怠っておらぬが故、せめて「オール4」であろうし、おそらく「オール5」を保つだろう。

B:
同意する。では「オール1」の子が次の学期で「オール4」か「オール5」を取ることはあると思うか?

A:
当人の努力次第ではあるが、まれであろう。

B:
同意する。今話してきたことはファンドの基準価額と同じことである。

A:
どういうことか?

B:
つまり、「ファンドの基準価額」とは云わば「成績表」であり、「基準価額が下がっているのを見て、今後は上がると思うこと」というのは「オール1の成績表を見て、次の学期はオール4かオール5の成績を取るだろうと思うこと」と同じであり、「基準価額が上がっているのを見て、今後は下がると思うこと」というのは「オール5の成績表を見て、次の学期はオール1かオール2の成績を取るだろうと思うこと」と同じである。

A:
なるほど。では「成績表がオール5のファンド」を探せば良いということか。

B:
必ずしもそうとは言えぬ。

A:
なぜか?

B:
なぜならば、いくら「成績表がオール5」であったとしても「クラスの平均成績がオール5」であった場合には、「オール5を取ることは当たり前」であって「実力ではない」という可能性が高く、逆に「成績表がオール2」であったとしても「クラスの平均成績がオール1」であった場合には、「実力があるが故にオール2を取れた」という可能性が高いからだ。

A:
なるほど。つまりはファンドを選ぶ時には、「そのファンドのパフォーマンスの絶対評価」で選ぶのではなく、あくまで「マーケット全体のパフォーマンスとの相対評価」で選ぶべきであると。

B:
然り。

A:
理解した。では「マーケット全体のパフォーマンスの高低に関係なく、一定のパフォーマンスを挙げているファンド」を探すこととしよう。

B:
よろしい。絶対数は少ないだろうし、そもそもそういったものが存在するかどうかはわからぬが、やってみたまえ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?