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更級 功『若い読者に贈る美しい生物学講義 感動する生命のはなし」ダイヤモンド社〔2021年首都圏中学入試頻出作/読み解きのヒント・読み解き/読み解きの四分の一まで無/じっくり読みたい理科好きの受験生向け/かなり難しいよ〕

更級 功『若い読者に贈る美しい生物学講義 感動する生命の話』ダイヤモンド社

この作品は2021年に

・洗足学園中学校
・東京都市大学付属中学校
・日本大学藤沢中学校

で出題されました。

★読み解きのヒント

 この作品を読むにあたって注目したいのは「逆説の接続語」です。逆説というのは前と後で内容が反対になったり前からは思いがけないことが書かれていたりすること。そうした働きをする接続語には「しかし」や「だが」や「でも」などがあります。これらの接続語の後に書かれている内容はたいてい重要です。具体例をまとめている部分や文のまとまりの最初や最後に逆説あったり、逆説の後が読み手に問いかける形になっていたりする部分にはとりわけ気を付けて読むといいでしょう。この作品の中には、そうした特に重要な逆説が八か所あります。いっしょに探しながら読み解いていきましょう。


★読み解き

❢重要な逆説①❢
36ページ
 しかし、なぜ科学では一〇〇パーセント正しい結果が得られないのだろうか。科学には何か欠陥でもあるのだろうか。生物も科学なので、まずそれについて考えてみよう。

 ここは問いかける形ですね。「欠陥」というのは何かが足りないこと。この問いに対する答えにあたる部分を探しながら読んでいきましょう。

❢重要な逆説②❢
38ページ
 しかし、結論は根拠の中に含まれているので、いくら演繹を繰り返しても知識は広がっていかない。一方、推測の結論は100パーセント正しいとはいえない。しかし、結論は根拠の中に含まれていないので、推測を行えば知識は広がっていく。

 ここには二か所の「しかし」があります。実はこれらの部分こそが①の答えなのです。難しい言葉だらけなので一つずつ確認していきましょう。

 まず、「根拠」というのは理由のこと。「演繹(えんえき)」というのは根拠から結論を考える推論(すいろん)という科学的な考え方の一つで、たとえば「池に落ちた(根拠)→服が濡れている(結論)」と考えることです。この結論は絶対まちがいありませんね。一方、「推測(すいそく)」のほうは、演繹とは逆に、「服が濡れている(根拠)→池に落ちたのだろう(結論)」と予想すること。こちらは結論をまちがうかもしれません。科学は推測から仮説を立てることがありますから、一〇〇パーセント正しいとは限らないのです。

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