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池内了『なぜ科学を学ぶのか』ちくまプリマー新書〔2021年首都圏中学入試頻出作品/読み解きのヒント・読み解き/じっくり内容を確認したい受験生向け/読み解きの三分の一まで無料〕

池内 了『なぜ科学を学ぶのか』ちくまプリマー新書

 この作品は2021年に、

・吉祥女子中学校
・芝浦工業大学柏中学校
・淑徳与野中学校
・専修大学松戸中学校

 で出題されました。


★読み解きのヒント

 この作品を書いた人〔筆者〕は天文学と宇宙物理学の先生です。内容はとても難しい。しかし、できるだけわかりやすくなるように、たくさんの接続語を使ってくれています。接続語というのは文と文をつなぎあわせる言葉です。〔「だから」や「しかし」や「たとえば」など〕。
 ここで注目したいのは「つまり」という接続語です。「つまり」は、前に書かれている内容を後でまとめて言いかえるときに使います。ですから、「つまり」の後には重要な内容がまとめられている場合が多いのです。この作品のなかにはとくに大事な「つまり」が十二か所あります。いっしょに探して読み解いていきましょう。


★読み解き

❢つまり①❢
13ページ
 科学・技術は万全ではなく、すべて良いことばかりをもたらしてくれるわけではないのです。
 科学・技術は万能ではなく、限界があることを知ることも、科学・技術を学ぶ重要な目標と言えるでしょう。

 このページには二か所の「つまり」があります。後の部分にはよく似た内容が書かれていますね。「万全」」というのはすべてに完全で手落ちがないこと、「万能」というのは何でもできることです。このあと、科学・技術が万全でも万能でもなかった例として2011年の東日本大震災を予測できなかったことと、そのあとで起こった原子力発電所の事故を防げなかったことが挙げられています。

❢つまり②❢
27ページ
 「科学する」ってことは、問題とする自然の現象を前にして、「なぜ、そうなるのだろう」と、その事柄の理由や仕組みを考え、実際にそれを証明することです。

 この部分で難しいのは「現象」という言葉かな? 現象というのは外から見てとれる出来事のこと。ここでは例として「春になって花が咲く」という出来事が挙げられています。

❢つまり③❢
30ページ
仮説を提案する、
② 実験・観察を行って仮説を検証する、
③ 過不足なく検証できれば法則として採用する、
という一連の過程が「科学する」ということと言えるでしょう。

この部分は難しい言葉だらけですね。
まず「仮説」というのは、ある物事がなぜ起こったかを、もしかしたら違うかもしれないけれど「そうかもしれない」と予想した考えのこと。「検証」は確かめること。「法則」は決まりということです。

❢つまり④❢
42ページ
 科学を学ぶとさまざまな問題に応用でき、科学の力によって物事の仕組みや歴史的繋がり、そして思いがけない社会的関係までも発見することができると考えられるのです。

 ここで難しいのは「応用」かな? 「応用」というのは、ある一つのやり方をよく似た他の場合にも当てはめて使ってみることです。

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