高橋敬一『昆虫にとってコンビニとは何か?』朝日選書〔2021年首都圏中学入試頻出作品/読み解きのヒント・読み解き/読み解きの四分の一まで無料/じっくり読みたい新受験生向け〕

高橋敬一『昆虫にとってコンビニとは何か?』朝日選書2006年

 この作品は2021年に

・公文国際学園中等部
・女子学院中学校

で出題されました。

★読み解きのヒント

 この本は28の項目に分かれていて、それぞれに全体の題名と同じ「昆虫にとって~とは何か?」という問いかけの形の題がつけられています。たくさんの具体的な昆虫の名前も出てきますから、「いつ・どこ・だれ」という具体的な情報に気をつけながらていねいに読み解いていくのが基本です。しかし、全体を通して筆者の言いたいことを理解していると大きな読み間違えをしないですむかもしれません。ですから、まずは問いかけの形の題に対する答えを探していきましょう。


★読み解き

項目1「昆虫にとって車とは何か?」


答え
12ページ
 車は環境改変の道具のひとつとして、膨大な数の昆虫種を、そして地域個体群を、これまで絶滅においやってきた。

 ここには少し難しい言葉が使われていますね。「膨大(ぼうだい)」はとても数が多いこと。「地域個体群(ちいきこたいぐん)」は、ある決まった地域に生きているひとつの種類の生きもの全体のことを呼びます。


項目2「昆虫にとってカビとは何か?」


答え
15ページ
昆虫にもキノコを食べる種類がけっこういるし、昆虫に寄生して殺してしまうカビの種類も多い。カビが昆虫種を滅ぼすこともあるかもしれないし、地域個体群を滅ぼすくらいのことはざらにある。

 ここはそのままで大丈夫かな?


項目3「昆虫にとって船とは何か?」



答え
27~28ページ
 昆虫にとって船とは、自力では行きにくい土地への移動手段であるとともに、車と同様、自分たちを絶滅させる使者としても、無視できない存在であるといっていい。

 船が車と同様に昆虫を絶滅させる理由は、船による物の移動が人間の活動を助けて環境を大きく変えることにつながるためです。


項目4「昆虫にとってコンビニとは何か?」



答え
34~35ページ
 コンビニの明かりが、その周辺の昆虫個体群を壊滅させることはほとんどないと思われる。人間活動(コンビニもその一環である)にともなう生息場所の破壊や環境悪化のほうが、その地域の昆虫種を根絶やしにしてしまう可能性が高い。

 虫は夜のコンビニの明かりに引き寄せられてきますが、そのために虫が死ぬことより、コンビニを含む人間の活動によってまわりの環境が悪化することのほうが、昆虫の絶滅につながる可能性が高いということです。


項目5「昆虫にとってビールとは何か?」


答え
39ページ
 彼女たち(吸血性昆虫の雌成虫)は二酸化炭素や汗の臭いなどに誘引されるが、それは二酸化炭素や汗の臭いが、彼女たちが欲する動物の血のありかを教えてくれるからだ。そして飲酒は、私たちの体から二酸化炭素や汗をふだんよりも多く出すことに役立つ。だから確かにアルコールは、吸血性昆虫の地域個体群の維持に大きな役割を果たすことがある。

 「誘引(ゆういん)」はさそって引き寄せるということ。「アルコール」はここではお酒と同じ意味で使われています。ビールはお酒の一種です。


項目6「昆虫にとってペットの糞とは何か?」



答え
47ページ
 犬の糞に代表されるペットの糞は、糞を食べる昆虫たちにとっては種レベルにおいても、個体群レベルにおいても、また個体レベルにおいても、重要な意味を持っている。

 食べ物ですからね。


項目7「昆虫にとって材木とは何か?」



答え
57ページ
 材木は、昆虫にとって食料にも、棲処にも、またあるときには移動手段にもなる。

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