私が渇望し、救いと信じて疑わなかったこの自由は、あまりに虚しく、孤独だ。そこには一切の喜びも、美しさも、天国的親密さもない。あるのは広大な無で、途方もなく長い時間が、私をゆっくりと、確実に蝕んでゆく。

私はかつての制約のある幸せを想い、自由のために失った全ての代償について考える。

「貪婪故の罰なのだろうか」と私は枯れた唇で問う。

「この苦しみは、いつ終わるんだろうか」と周りの静寂にもう一度問いかける。一切の波を立てずに、ただそこに在る灰色の大海の果てを眺める。「苦しみ抜いた先には、何が在るんだろう」

一握の直感が私の自問に対し、心を震わせる。この先に待つものを、魂は知っているのだ。

「強くあれ」と私は枯れた声で呟く。「きっと、大丈夫だから—」と弱々しい、励ましの言葉を自分に言い聞かせる。ぽつぽつと涙が出る。

「時間がー」「きっと、時間が解決してくれるはずだからー」涙と寂寞な思いがまた溢れ出す。

奥行きのないどんよりとした空を見上げ、なぜ私にこんな惨い仕打ちをするんだと、在るはずのない存在を責める。誰に見られているわけでもなく、羞恥を感じながら「惨すぎる」と声を荒げる。

何十年にも感じる休符を経て、自責や他責の念も一旦は尽きる。私はよろよろと立ち上がる。朽ち果てた救命ボートから、錆びた首輪を拾い上げる。

しばらくすると、私の身体が段々と硬くなっていくのを感じる。 心臓と頭が先に、そしてそれは身体の末端へと、じわじわと這い寄る。次第に何も感じなくなっていき、ついに私は銅像のように固まり、そこに朽ち果てる。

もう二度と解脱することができないこの振り出しの世界で、私が産まれたその日をまたもう一度嘆く。

麗らかな心と、私への冷徹さを持ち合わせたあの艶げな微笑み。そしてあの忘れがたい一連の愛接によって、この病の種が発芽したに違いない。

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