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データ分析者にとって重要なスキルは具体と抽象を行き来することではないかと思った

細谷功氏の「具体と抽象」をちょうど読んでいて、データ分析者にとって非常に重要なことが書いてあると感じたので所感をまとめていきたい。

データアナリストとPMの大きな違い

データアナリストとPMには様々な違いがあれど大きくは具体と抽象の観点だと考えている。

経営層やPM的な役割の人たちには全体の方向性を決めるだけでなく、「定量的な判断のできる経営層」「データ経営」など、もう一つ+αな観点が求められている気がしていた。

自分自身も最終的にはPMやPdMの方向性を考えており、データアナリティクス的な観点は必須だと思いデータアナリストをしている。

「具体と抽象」では下流と上流の違いについても具体と抽象で例えている。上記図のようにPMや経営層は抽象的な点を統一していき、全体の方向性を決めている(ベクトル・哲学とも例えられている)

一方でデータアナリストは下の具体的な分析を担うことが多い。分析レベルの中にも抽象度の高いものも存在するが、基本的には具体的なデータを出したり、具体的な業務に落としこまれることが多い。(PjMに関しても具体レベルの仕事が多いように思う)

つまりデータアナリスト出身のPMやエンジニア出身のPMとなっていくには、ここの抽象の視点も獲得していくべきだと考えられる。またデータアナリストはPMや経営層の抽象的な概念をとことん理解しつつ、具体的な数値や分析に落とし込み、また抽象レベルに上げていくスキルや視点が必要となってくると考えられる。

ここで逆も然りで、PMも具体と抽象のレベルを行き来するスキルや視点は必須なのではないかと考えた。
しかし、本書の中で「上流に多数決を持ち込むと無難なところで落ち着く可能性が高い。なので抽象レベルの意思決定に多数決は向いてない」と書いている

上流の仕事の質は、むしろ関わった人の量に反比例します。人が関われば関わるほど品質は下がり、凡庸になっていくのが上流の仕事になります。

効果検証の分析結果がシンプルな方が良い理由

基本的には具体の世界は「量」重視であるのに対して、抽象の世界は「質」重視であるとともに、「量が少なければ少ないほど、あるいはシンプルであればある程よい」という世界です。

効果検証の結果は、全展開MTGや経営層のMTG、PMの意思決定に携わる可能性が高いためシンプルな方が目的に沿っている。

データアナリストは見るべき指標を絞ったり、結論をシンプルにして、計算式や統計の部分を出来るだけ少なくしていくべきだと考えられる。

ダッシュボードの数値に意味を持たせる重要性

「具体と抽象」の15章ではバイアスについて説明しています。抽象レベルでの取り決めに際して、具体レベルでは取り決め(規則)によってバイアスがかかる危険性を示しています。

本書の中で数値の一人歩きは「抽象と具体の関係性のリンクが切れたのち、に具体の方が一人歩きを始める」という現象として定義されています。

また数値目標という具体的な情報には必ずそこに目的や意図があるはずで、より抽象的な背景を混ぜる必要性があると書かれています。データアナリストの仕事としてダッシュボードや定点観察する指標を選ぶことが多いですが、この抽象的な視点を元に落とし込むことが非常に大切です。

色々書いてきましたが、データアナリストという立場である以上具体と抽象の両方の視点を意識しながら仕事することがいかに重要かを本書から学びました。

有名ですが、良書なのでよければ読んでみてください。

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