航空業界/日本中国直行便のワーストシナリオ

今日はみんな(私)が注目している日中の直行便のワーストシナリオについて考えます。

現在国際線はほとんど飛んでいません。航空会社の国際線売上がほとんど丸々消滅している状態です。
(そのかわり現在上海→成田の片道運賃は20万円くらいするそうです。)

今後仮に日中間での直行便が再開した場合、

(1)これまで飛行機を飛ばせず落ち込んだ売上の分
(2)新型コロナウィルスの感染対策費用(空港の感染対策費用を含む)

が上乗せされ、コロナ前よりも航空代金が値上がりするのは必至の状況です。

これは仕方のないことですが、日本人としてもう一つ気になることがあります。日系航空会社と中国系航空会社との価格差の拡大(日系の方が値上がり幅が大きくなる)、更には直行便の廃止の可能性です。

話を単純化するために山東航空を中国系航空会社の代表として、全日空を日系航空会社の代表として議論を進めます。

*程度の差こそあれ、15億人の人口と960万㎢の国土を持つ中国の航空会社と、1億人の人口と38万㎢の国土の日本の航空会社はだいたい同じような状況だと思われます。
*成田青島間の直行便はそもそも全日空と山東航空のコードシェア便なので、以下に想定するようなことが実際に成田青島路線で起こる可能性は非常に低いです。

山東航空の決算書を見ると、国内線と国際線の比率は9:1です。

他方、全日空の同比率はおよそ5:5でわずかに国内線の方が多い程度です。

現在、中国系航空会社による中国国内線も、便数こそ減らしていますが実際に乗った方々にお話を聞くとほぼ満席状態だそうです。

日本の国内線の状況がどうなっているかはわかりませんが、仮に中国と同じ状況だとしても(本当はもっとひどいと思います)、国内線より国際線の方が減便幅が大きいので、国際線減便のダメージは山東航空よりも全日空の方が大きくなります。

ということは、国際線再開後に挽回すべき売上も全日空の方が大きくなりますので、値上げ幅はやはり全日空の方が高くなることが予想されます。

そうすると、今までは多少高くても「サービスの良い日系航空会社だから」と全日空を利用していた乗客が中国の航空会社に流れます。

乗客が流出した全日空は利益を減らすのを覚悟で運賃を下げるか撤退するかしか道は残りません。

全日空の懸命な判断を祈ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?