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ピサの斜塔のぼれなかった私

5月3日。
母が子どもの国に連れていってくれるというので、ありがたく行かせてもらった私たち。

今回の催しものとしては、キッチンカーや大道芸人(時間場所不明)らしいので、正直言って全体的に微妙な感じではあったのだけれど、息子たちは白いふわふわのトランポリンが好きで、そこに行きたいと目を輝かせていた。

1時間ちょっとの行程を経て、見えてきたよーなんて声をかけ、車から降りる。
「行っていい?白いのどこ?」
「上にピラミッドが見えるでしょ。その向こうだよ」
ほら、と指をさすとその方向へと向かって走る子どもたち。
私なんか見えなくなっても構わないで走るその姿はめっちゃ元気で、今年四十路になる自分としては年齢の重なりを実感してしまったのだけれど、テントたちの群れの所で息子たちは立ち止まっていた。
「クジやりたい」
目を輝かせる息子たちに向かって私は一蹴。
「だめ」
口を尖らせる息子たち。
「なんで」
「あのね、1等がデザイアドライバーって、去年の仮面ライダーだし、そもそもうちにあるでしょう?」
「でも2等はナーフだよ?」
「だめ」
チェッなんて言いながら大道芸人の横を走っていく子どもたち。
鶏モモ焼いたのが美味しそうだったんだけれど、走る子どもたちに追い付かないので一緒に軽く走る。

ようやくピラミッドにたどり着いた。
子どもは無料なんだけれど、大人は500円かかる。
ただし障害者手帳持ちの私と付き添いにあたる母は無料。
それを知らない母がチケット買ってて、それの返金手続きだとかをしている内に子どもたちどっかに行ってしまった。
やべぇ…!
とりあえず白いトランポリンに向かうも、それらしい子がいない。
長男のスマホは私が持ってる。
困ったな…とあちこち見渡していると、どうにかそれらしい子どもたちを見付け走る。
無事再会。
よかったのだけれど、「ママ、あっち行っていい?」「ママ、向こうも行きたい!」とあっち行ったりそっち行ったりするので写真を撮るどころか付いていくので精一杯。
リュックサックのポケットからスマホを出してはろくに写真も撮れなくてしまうを繰り返す。ようやく白いトランポリンに着いた時にはゼイゼイハーハーとしていた。

ピョンピョンと跳ね回る子どもたち。
「あれは子どもたちがいっぱい跳び跳ねるから楽しいんだろうね」と母。
「前に1回やったことあるんだけど、他の子が跳び跳ねるから自分のペース崩されて、上手くバランスとれないのね」
「へぇ」
なんて会話をしながら子どもたちのはしゃぎっぷりを見る。数十分ぐらいそうした後に「あれ行ってきていい?」と指差したのは丘の上にあるピサの斜塔のレプリカ。
…………。
「いいよ、行っといで。ママたち此処で見てるから」
「うん!」
走る子どもたち。
流石についていけなくてピサの斜塔のぼれない私。
数分後、窓から手を振る子どもたちの姿があって、せめてもと手を振り返す。

長男を産んで、歩けるようになった頃は、私の後をぴったりとくっついてくる子だった。
離れても何かあったらすぐに泣きついてくるような子で。
そのおかげで知らないおじいさんに怒鳴られたりとかしたりと、とにかくママがいないとダメ!みたいな子だった。
その子が私を追い越して、弟を引き連れて、知らない所へと走っていく。
寂しいような、自立してくれて嬉しいような複雑な感情を胸にしたためて私は2人を見守る。
どうかこのまま元気でいますようにと。
その笑顔がいつまでもありますようにと。

戻ってきて満面の笑みを浮かべた長男が一言。
「次、どこ行ったらいいかな?」
どこだろうね…(疲)
好きな所に行けばいいと思うよ。


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