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取りもどせないを取りにいく

窓から陽光が射し込んでくると眩しいが、晴れやかで気持ちが良い。突然暗くなったりもするが、今は電車に乗って西へ西へと向かっている。

友が愛した町、そして彼が人生の幕を閉じた尾道へ。奈良生まれの彼は大人になってからは東京でファッション系の仕事をしていたが、造船に携わるため2016年に尾道へ移住した。

ちょうど同じ年に私は、ラファのPOPUPを尾道でやる事になって、尾道を中心とした瀬戸内のサイクリストが集まるライドを開催した。

そこに参加してくれたのが彼であった。当時はまだ付き合ってはいなかった(?)今の彼女も同じライドに参加してくれて、ラファを通じた尾道のコミュニティの始まりを告げたのであった。

尾道は小さな町だがとても多彩な魅力が詰まっていて、いろいろな楽しみがある。旅先としてチョイスされる事はもちろん、彼のように暮らしの拠点として選択肢に入ってくるという人は少なくない。

サイクリストにとっては特別な地域であるし、彼の場合は仕事も、趣味であるサイクリングもどっちもベストマッチした最高の町だったのだ。

好きな町で好きな仕事をして好きな遊びも全力で楽しむ。それが彼のライフスタイルだった。私からはとてもピュアな人生だったように見えて少しうらやましささえ感じる。

少しの間、彼が造船の職場を変えて呉に住んでいた時に、呉でライドを開催した。彼が住むところで私がライドを企画するような構図であったのかもしれないが、彼はこうしたい、あーしたいという要求を、なんとなしに伝えようと熱いメッセージを送ってくる。

そのメッセージは、彼の目で見た街の魅力や美しい自然をみんなに知ってほしいというおもてなしの表現であった。ラファを通じで自分の想いを形にしたいという願いと、その体験を通じて繋がる仲間たちとの共感、コミュニティが地域社会に与える影響についても同じビジョンを持っていた。

彼のその想いは呉で形にする事はできなかったけど、私はちゃんと受け止めていた。なぜなら同じ未来を見ていたからだ。また尾道に帰って来たんだし今年はガッツリ絡んで一緒にライドをプランしようと思っていた。

次の尾道の企画は彼とやりたかったし、彼は移住組だけど尾道を心底愛していたし、奈良、東京を経て尾道に移り住んだ者だからこそ尾道の魅力を引き出せる要素が多分にあった。

いったいどんなライドになったのだろう。彼の頭の中にそれはあった。

取りもどせない失われた未来を、少し考える旅へ。

行ってきます。

#今日の向島立花 @つりがはま

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