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“音を楽しむ” ステージに立つ彼らの姿はまさにその言葉そのものだ ニューシングル「peace/insomnia」をリリースし、全国ツアー「Shrinking World」でさらにその魅力が増していくDevelop One's Faculties メンバー全員インタビュー

☆ 現在、全国ツアー「Shrinking World」真っ最中でのインタビューとなります。このツアーにどのような思いでまわられていますか。
yuya 今はライブが出来ていることが奇跡っていうか、ライブが出来なくて好きなアーティストのライブを見れなくて辛い思いをしてる人が沢山いる中で今回の作品「peace/insomnia」を出した時に、やれるならそういう仲間の気持ちだったりとかそういったものも自分なりに背負いながら、俺たち4人で届けに行きたい、伝えにいきたいって気持ちで。全国ツアーやるにあたってそういう気持ちって常日頃持ってるけど、それ以上にっていうか、もっともっと根本的な部分でライブっていうものとの向き合い方、”ありがてぇんだな”、”幸せなんだな”っていうことを伝えたいし、俺らがとか来てくれてる人がとかじゃなくて、シンプルに本当にすげぇことなんだなっていうことを伝えたいっていう思いですね。生きてる上で辛いことばっかりが目立つじゃないですか、メディアだったりとか何見ててもそうだけど。そんな中で正直、ガタガタ言っててもなんも変わんないし、辛いなら辛いでその現状を受け止めた上で、その中にある小さな幸せを気付けるか気づけないかで、その辛いっていうとこに向けてるフォーカスが何が辛いのかっていう部分がもっと見えてくるんじゃないかなとか、ただ辛いとかじゃなくてまだこの今の状況でもきっと幸せって結構そこら辺に転がってると思うんだよなっていうことも伝えにいきたいなって気持ちがありますね。


☆ ツアータイトルの「Shrinking World」にはどんな思いが込められていますか。
yuya 世界がギュッて縮こまっちゃったなっていうイメージ。本当はみんなもっともっと視野を広く持って生きていたいのに、強制的に視野を狭まられて、持ってるビジョンとかやってみたいことだったりってものが各々絶対ある中で世界が縮こまっちゃってるもんだから、それを今取り戻す事は現状厳しいのはわかってる上で現実問題やりたくてもやれないことがいっぱいあると思うし。でもその中でも出来ることもあるんだっていう思いを込めて「ShrinkingWorld」としました。この言葉は「insomnia」の歌詞の中にも出てくる単語なんですけど、そこにフォーカスをあてましたね。

☆ 本日は「ShrinkingWorld」名古屋公演の前日です。ツアーとしては3箇所目となるわけですが、ツアー中の今の心境をお聞かせください。
rui 単純に楽しいです。”やれて良かった”、”楽しい”って気持ちが先行してます。それと同時に新曲リリースをして、今回のツアーはこの2曲にフォーカスを当てるセットリストの流れにもしてるので、ツアータイトル自体は「insomnia」の中に入っている言葉ではあるんですけど、「peace」っていうものが「insomnia」に対して逆とまではいかないですけど、前向きな曲の立ち位置なんで、”どんな流れができるんだろう”、”今までの曲とかを合わせてさらにどんな表現ができるんだろう”っていうのを実験してるのが今のところ楽しくできてるツアーではあるかなって思いますね。
Hiromu 僕が加入したのが一昨年になるんですね。その後発表したツアーで今になっても行けてないところってのが今回のツアーの中にもあって。加入して1年と半年経つのに初めましての土地に行くことになるので、リリースは「peace/insomnia」で3作品目になるんですけど、初心って訳じゃないですけど、初めましてって気持ちも持ちつつ、この3作品を経て成長した自分ってのも見せれるツアーにしていけたら良いかなってのはありますね。
Johannes(翻訳済) ワンマン自体が結構久しぶりにできたので、なんか”あぁこれこれ”っていうか、なんかしっくりきてる感じがあると同時に体力が落ちてることを痛感したのでツアーを通してリハビリしていきたいです。
rui ドラマーとしての生々しい意見がきたな。笑
☆ やはりこの期間中で体力は落ちましたか。
Johannes(翻訳済) 気付いてなかったんですけど、ワンマンやって落ちたなぁって感じました。
一同 
rui そんなの関係なしの問答無用のセットリストですよ。
Johannes(翻訳済) 確かに。笑
yuya 本当にシンプルにやれて嬉しいなぁっていう気持ちですね。このまま全部無事に開催されるかもわかんない状況なんで、その上でやっぱりできたっていうその事実がとりあえずは嬉しいなっていうのと、やっぱり感染者だったりとかも出てないっていう状況も嬉しいし思ってる以上に本当にライブハウスって結構見られ方によっては酷い見られ方ばっかりされてるけど、ライブハウスよりやばい場所って俺個人としてはいっぱいあると思ってるんで、本当にどれだけ結局その施設の中で徹底してやってるのかどうかとか、その様子も見てないのにそうやって勝手に言う人達がいっぱいいるもんだから非難を浴びることとか沢山あるけど、少なからず俺はすごく本当に求めてるものがそこにある時って人ってそれに向けて”こういう風に取り組んでください”ってなった時に自分にできる100%を出すと思うんですよ。だってそれが見たいし、それをやりたいし。だから、そういった意味でもこのまま無事にファイナルまで一ヶ所も欠けずに開催できたらいいなっていう気持ちはありますね。
☆ 確かに一時期のライブハウスに対しての見られ方は悲しいものがありましたね。でもそうなった時の関係者の方達、演者の皆さん、そして見にくるファンの人たちの団結感って素晴らしいなって思いましたね。
yuya 凄まじかったですね。正直、こっちサイドだけがどうこうとかじゃないんですよ。やっぱ見にきてくれてる人達も本当に必要なものだから。その子たちにとって、そのショーがどれだけ大事かってのは人それぞれサジ加減はあると思うんですけど、少なからず人生において結構大事にしてくれてる子がライブハウスに足運んでると思うんですよ。だから、俺たちだけとかじゃなくて本当にそこの会場に接してる人達、もちろんライブハウスの人間もそうだけど、本当に素晴らしいんじゃないのかなって、個人的には思ってますね。
rui よく言う”バンドの鏡”ってわけじゃないすけど、結局お客さんたちがやらないことによって「バンド側が…」っていう風に思われたくもないって思ってくれてる人たちも多いんで、互いに”出来ることはやるべきだ”ってうたってる分やってくれてるのかなって思います。


☆ 久しぶりの全国ツアーについてお話しいただきましたが、少し振り返ることになってしまいますがこういう情勢の中で今よりももっと思うように活動出来ない期間があったと思いますが、その間のストレスも大きかったのではないでしょうか。
rui 僕はそこまでですかね。正直、気になるのは結局、外目なんで。やって良いものかとか、やったところでっていうのもあれば、ただDOFっていうバンドのスタンスは、別にお客さんが必ず何かをしてくれないとできないっていうライブなんか一切ないので。別にライブ自体はいつやっても良いんだけど、僕らがやることによって、その外からの目っていう方がどちらかといえば気になって思うところはありましたけど。ただライブはやってなくてもやることはいっぱいあるんで、楽曲も作ってくれればそれに向かってやることもあるし、別に既存の曲のスキルアップをすることもできてはいたので、そこまでいうほどストレスは僕はなかったですかね。
Hiromu 加入して、2ヶ月3ヶ月とかでコロナが流行して、ライブできてるってことが当たり前じゃない世界にすぐ変わってしまって、正直ライブない時だったり、ツアーがなくなっちゃった時は僕は結構落ち込みましたね。でもその時にやっぱり嬉しかったのはメンバー個々が声をかけてくれたり凄い支えになってくれて、だからこそ今は全然前に向けていて、リリースがあったりとか、それに向けて凄い集中はできてるので、メンバーの存在の大切さを改めて実感させてもらった期間だったなって個人的には思います。
Johannes(翻訳済) たまにストレス的なことはあったといえばあったんですけど、まぁそこまではなかったですかね。色々音楽の価値というものを改めて考えさせられた期間だったなと思います。
yuya 俺は結構死んでましたね、ストレスっていうよりかは何もやる気が起きなくなってました。全てにおいて何もやりたくないっていうか、何もできなくなっちゃってた。例えば曲を作ろう、曲を作ってそれを誰かに聴かせましょうってなった時に聴かせることができない。じゃあ配信でってなるかもしれないけど、やっぱり配信じゃなくて直接伝えたい。ミュージシャンなら誰しもが思うことだと思うんですけど、配信がだめとかじゃなくて、配信も素晴らしいひとつのツールだし、最近となっては結構ベーシックなプラットホームのひとつにもなってきてるとは思うけど、やっぱり直接肌で音を感じて欲しいって気持ちを踏まえるとなんかもう”じゃあ作れねぇな”って状態になっちゃって。音楽をこの世で必要としてない人も当然いるだろうし、逆に音楽をすごく必要としてた人が音楽を必要としなくなっちゃった人もたくさん出てきたと思うんですよね。それがすごく悲しいし、根本的なとこまで辿ると別に音楽に一切の罪ないじゃないですか。音楽は何も悪くないし、むしろ良いものでしかないんですよ。そもそも音楽を良い悪いで例えるのもナンセンスかもしれないですけど、それで結構まいってましたね。そんな中でこの2曲書いて、ライブが決まって。できんのかなぁって思いながら今無事に開催できて、生き返ってきたなって感じはありまね。生き返ってきたっていうか、”あぁミュージシャンだな”みたいな。ちゃんと自分を取り戻したっていうか、何やってる人かさえもわかんなくなってたんですよ、俺なんなんだろうなみたいな。だからやっぱり必要ですね。改めて気付かされました。

☆ ライブやファンの皆さんとその直接的な接触が出来ない中で、DOFとしてこの期間で新しく取り入れたことや活動に関しての考え方や行動に変化はありましたか。
yuya そういう意味では、各々のモチベーションだったりとか考え方に差があったとしても、結局バンドに対するモチベーションは下がってないんですよ。だからいい意味で例えば新しいものを取り入れてみようとか、逆にやめてみようとか、プラスもマイナスもない。本当にいい意味で一緒で変わってないイメージではありますね、俺個人としては。
rui もしかすると向き合い方だったりとか、見方だったりとか、今やるべきことをどれだけやれるだけの体力があるかとか個々に一定量の差はあったとしてもDOFの活動として大きくチェンジしたことは特にないんですよ。だから配信側に凄いシフトして毎度毎度全員で発信してることもないし。やっぱりバンドだからライブが主軸でないといけないでしょうっていうスタンスが4人ともそこは変わらないのかもしれないすでね。さっきyuyaくんが言ってくれた通り、やっぱ肌で感じてもらってなんぼだなっていうところは多分4人とも共通してる。だから逆にライブに拘りがあるのかもしれないですね。
☆ 実際どうですか、やっぱりこの期間中に活動をやめてしまったバンドもいるし、逆に先ほどおっしゃったように、その期間でその音楽やライブと距離をとった人ももしかしたらいるかもしれない中でそういったことに対して不安みたいなものはなかったですか。
rui やっぱりめちゃめちゃありますよ。音楽を聴かなくなったのももちろんだし、音楽が嫌になっちゃった人もいるんじゃないのかなって。でも”ライブに行けない”イコール音楽を聴くと楽しかったことを思い出しちゃうから、それが出来なくなって、”嫌になる”に繋がっちゃった子たちが、また戻ってこれるまで自分達はやるべきだろうって思います。何も気にしないでライブに行けるっていうその時が来るまで多分自分たちはいないといけないし、やるべきだろうっていう変な使命感は自分の中ではあったりするかもしれないですね。日常が戻らないと多分その子達も戻ってこれないっていう人たちも大なり小なり居ると思うし、単純に環境が変わってもそういうのに行ってられないっていう人も中にはいると思うので、そこは長い目で待ちますかね。
☆ そういう意味ではライブもDOFの存在も、みんなの居場所なわけですから、その居場所を守らないといけないという使命感みたいなものもあるのでしょうか。
yuya お家ですよね、実家みたいな。最終的にその子達が帰ってこれる。その子達にとっての実家がウチなのであれば、それはやっぱ家に帰ってこれるように、その子たちの中のモヤモヤをゴミで例えるのであれば、きちんと家を掃除しといて、綺麗な状態でその子たちにおかえりって言ってあげれば、やっぱり綺麗な家だなって、住み心地いいなって思ってもらえる準備をしといてあげるっていうのが大事なのかな。俺はこうやって言ってるけど、この期間で活動終了してしまったバンドだったりとか、耐えられなかった人たちがダメとかって全く思わないし、その気持ちも痛いほど分かるし、辛いし悔しいしそこで活動が終わってしまったバンドも音楽が本当に好きで、俺たちも勿論そうだけど本当に音楽が好きで耐えられなかったのかなって。その耐えたり紛らわすじゃないけどその気持ちを、何か別のことに変換出来なかったんじゃないのかなとか、器用、不器用っていうか、辛いことだなって。完全にコロナに殺されてるんで。そうじゃなかったらきっと今でも活動してるわけだから。バンドって組むの凄い難しいんですよ。でも解散するのって簡単なんですよ。これ昔先輩に言われたんですけどバンドは2秒で解散できるんで。でも組むのは2秒で出来ないじゃないですか。だから辛い気持ちはやっぱありますね。その分俺たちは幸せなんだなとも思うし、こうやって俺らはまだ一応足掻いてるっていうか、家を掃除してる最中だけど頑張りたいです。


☆ 今回発売されたニューシングル「peace/insomnia」のお話をお伺いします。いつもすべての曲が素晴らしいので初のダブルA面ということで、初めてということが意外でした。
yuya 俺自身があまりカップリングとかリードっていう概念がないんですよ。だから初めてなんです。
rui 捨て曲がないんですよ。
yuya カップリングとかリードっていう概念がないから、ただ自分が思う良い曲を作って、それをメンバーに投げて、演奏してくれて、ステージでやって、本当にシンプルにそれだけなんですよ。逆に言うとそこまで考えたりしてないんですよね。これ”カップリングっぽいな”とかもないし。その捨て曲が無いって言ってくれるの嬉しいけど、その感じもわかんないんですよ。その上で、じゃあなんで今回ダブルA面なんだって話なんですけど、俺はこれをダブルA面にする気なかったんですよ。正直いつも通りで良かったんです。この2曲ができてメンバーに投げた時にスタジオで、”これ2曲ともめっちゃいいわ”ってなって、”いやいつもいいけど、これダブルA面でしょ”みたいな。メンバーはいつも”いいじゃん”とは言ってくれるけど、ダブルA面だよってワードは言われた覚えがなくて。笑
rui 確かに言わないよね。
yuya そう。じゃあダブルA面でいいかって。毎回そうしちゃうと新鮮味がなくなっちゃうし、そのダブルA面って言葉に対しても説得力が失せてきちゃうからアレだけど、Hiromuも入って、こういう時期で、伝えたいメッセージは綺麗に伝えれたなっていう気持ちもあるので、良いタイミングだしじゃあダブルA面にしてみようって。
rui 今作もそうだけど、これまでのシングルも2曲入りのシングルは対になってるものが多いよね。
yuya そうだね。2曲が同じ系統ですってシングルあまりないかもしれない。それは狙ったりとかはしてないけど、自分のその時のコンディション、精神衛生上がそうなってる。これを伝えたい、それが完成していくというか。じゃあ次これが伝えたいってなった時にそうなってるから、そこもウチの面白いところかなって思いますね。結構毛色を寄せること多いじゃないですか。全部が対になってるわけじゃないけど。でも今回の「peace/insomnia」はガッツリ対なのかなって。メッセージ性も全く繋がってないですしね。
☆ ダブルA面って言葉を使うことによってよりその対になってる感がハッキリしたという感じはしますよね。
yuya そうですね。
☆ 1曲目の「peace」ですが、個人的な感想としては語彙力がない言葉ですが、眩しい光が刺しこむような、ここでDOFがこういう曲を発表してくれるってのは、多分多くの人が、この曲で前向きになったと思うし、温かい曲だなと思いましたが。
yuya この曲俺の中では、この現状に対して”頑張ろうぜ”っていう曲ではないんですよ。マイナスではないですけど、あまりポジティブなものはもともと書かないし、先ほど伝えた通りこの状況に対して”頑張ろうぜ”って曲はもう世にいっぱい色々な素晴らしいアーティストが出してくれてるんで、それを別に俺らがやらなくても良いなって。もう十分素晴らしい曲いっぱいあるんで、俺らでやりたいこと、俺らが伝えたいこと、リスナーに対して届けたいことはそこじゃなくて、先程も言ったこの辛い現状の中で、辛いが先行してる中で実は見落としてる幸せだったりとか、これだけ悲しいことばっかりな世の中でも幸せな部分たくさんあるんじゃないかなっていうことに気付いて欲しい。辛いだけじゃないっていう思いでそれを自分なりに書きました。
rui 本当にこれは良い歌詞。yuyaくんの書いた好きな歌詞いっぱいあるんですけど打たれる歌詞が久々にきたなと。本人にはあまり言わないですけど、この曲は打たれましたね。
yuya あと初めてでもないけどさ、大体自分の歌詞って一人称が出てくるんですよ。「僕」「君」「貴方」とか。peaceは1回も使ってないんですよね。最後に「君のための人生 僕のための人生」って部分はあるけど歌詞カードには載ってないんですよ。そこは入れたくなくて、あれはあくまでも歌詞っていうか、その上で”俺はこういうことが言いたいんだ”っていうアンサーなんですよ。一曲の中でアンサー出してる感覚というか、だからあの部分は歌詞としては入ってなくて「君はどう思う?」っていう思いで作りましたね。
☆ 歌詞にもyuyaさんの進化を感じますね。
yuya 俺、歌詞書くのめちゃくちゃ嫌いだったんですよ。曲作るのは元々好きで、俺が作った曲をメンバーのみんなでステージで演るってのが楽しくて。一番嫌いな作業が歌詞書くことだったんです。本当に嫌いでAIが書いてくんないかなって思ってたぐらい。笑
一同 
☆ 最初の方は歌詞すら載せてなかったですもんね。
yuya そう。「斑」だったりとか、正直、今の俺からしたら良い意味で、なんであれ出したんだ馬鹿野郎とお前ふざけてんのかと思うんですよ。なんで歌詞ねぇんだよと
一同 
yuya ふざけてんのかって今だったら思えるんですけど、あれはあれでやってみて面白い部分、気づけた部分もあったんで、悪い部分だけではないけど、ただ今の俺が「斑」を作ったら間違いなく歌詞書いてますね。ここ数年歌詞を書くことが好きになって今の堀田さんみたいに、色んな人に言っていただけるんですよ「歌詞すっごい変わったね」って。その自分が伝えてることをちゃんと気付いてくれてるんですよね。自分が思ってるってことを、人からやっぱり言われるって嬉しくて。「最初、歌詞書くの嫌いだったでしょ」、「あ、めっちゃ嫌いだった」、「最近めっちゃ楽しいでしょ」、「めっちゃ楽しいね。やっぱ、わかるんだ」、「だって全然違うもん」って。
rui ちゃんと表現できるようになった。思ってる事だったり、あと向かうところが多分変わったんすよ。楽曲とかも作業的に作ることは全然できると思うんですけど、いい意味でちゃんと心が宿ってるものがすごく増えましたね。多分「シャーデンフロイデ」あたりから変わってきたと思う。
yuya あぁちょうどその辺ぐらいだろうね。もうちょい前かもしれないけど、自分の中で初めて”きた!”
って思ったのは「シャーデンフロイデ」だったね。
rui そうそう。
yuya これちゃんと伝えられるわ。ちゃんと俺の歌詞書けるなと思った。今までの俺の歌詞は、なんか自分の事悪く言ってるみたいで悲しいですけど、多分俺じゃなくても書けたんですよ。でも今の俺の歌詞は絶対俺にしか書けないし、俺が書く歌詞を俺が歌うことに意味があるって本当に心から思ってるんで良かったなって。
rui やっぱり段階を経てちゃんと片鱗ってものがあるんで。
yuya やっぱり元々ギタリストだったのもあって良い意味でちゃんとボーカリストになってきたなって。自分の思ったことは、”これ言っちゃダメかな”じゃなくて、”思ったことはしっかり伝えよう”って。伝えてみなきゃ始まらないし、且つ、綴りたいことをちゃんと書けるようになりましょうっていう意識が芽生えて、ちょっとずつですけど綺麗な花咲いてきたかなって。まだまだですけどね。でも最近は凄く歌詞書くことが楽しいです。
☆ Johannesさんは「peace」にどんな思いをお持ちですか。
Johannes(翻訳済) 初めて聴いた時から歌のもつメッセージ性というかエネルギーがすごかったんで、その歌を支えつつ、さらにそのエネルギーが伝わりやすいようにドラムも邪魔しないように、極力余分なことを削ぎ取って歌の力が伝わるように考えて作りました。
☆ 叩いてて気持ち良さそうな曲ですね。
Johannes(翻訳済) そうですね。
yuya 気持ち良さそう笑
Johannes(翻訳済) これは本当シンプルで気持ちいいです、ビートは。
yuya 気持ち良いパーセントは何パーセントぐらい?
Johannes(翻訳済) 120気持ち良い。
一同 笑
☆ だいぶ気持ち良さそうですね。笑
rui 基準が分からん。笑
yuya 「insomnia」は何パーセント?笑
Johannes(翻訳済) 「insomnia」はねぇ…
yuya 30ぐらいやろ、忙しくて。笑
Johannes(翻訳済) いや、6、70ぐらい…
一同 
Hiromu 半分ぐらいなんやな。 笑
yuya やっぱりそりゃそうなるよ。。。。。
☆ 今お話に出た「insomnia」ですがこの曲はどんな曲でしょう。
yuya これは俺の実体験を書いてるんですけど、これは寧ろ伝えないと意味がないんで普通に伝えたいことで不眠症って本当になっちゃうとマジでやばくて。多分大体の人って”俺はならない”、”私はならない”って思ってる人多いと思うんですけど、俺もそう思ってたし、でも急に形として見えない病気ってマジで2時間後にきたりするわけですよ。いつ来るか分かんないんです。外傷がない病気って、ふとした時にやってきて、そのふとした時にやってきたものがいきなり100パーセントの力でくるんですよ。1週間ほぼ寝れなくなって3日間ご飯食べれなくなっちゃって。ご飯の匂い嗅ぐだけでもどしちゃったりとか。ベッドが生きてるものに感じるようになったんですよね、動いてないけど本当に生きてんなコイツって。横になってるとめちゃめちゃ迫ってくるんですよ。俺に「お前どうせまた寝ようとしてんだろ」みたいな「寝かさねぇよ」みたいな。もちろんそんなこと聞こえないし幻覚とか幻聴じゃないですけど、本当に恐ろしくて唾飲むのも怖かったんです。飲み込むってことは意識があるから飲み込んでるんであって、つまりそれは起きてるじゃないですか。「俺まだ寝れてない」ってわかるから、目瞑ってるとどんどん色んなこと考えちゃって起きちゃうんですよ。寝れないんです。本当にやばくて。対策方法って色々あると思うんですけど。一番は本当に何か思った事があったら自分自身だけで処理するんじゃなくて、誰でも良いから誰かに言う。お母さんでもお父さんでも恋人でも友達でも職場の人でも何でも良いから誰かに伝える。「今までそうやって俺は生きてきてるから大丈夫」じゃなくて、それがいつパンクするかは人間分かんないんですよ。だから溜め込まないこと、本当になっちまってからじゃ遅いし、いつ治るかも全然分かんないし怪我じゃないんで。だから、その恐怖、怖さ、この曲にを書きました。
☆ 今、お話いただいたその怖さは曲を通しても伝わってきますね。
yuya Bメロとかの「ドドッドドッ」ってなってる部分はその時の自分の心臓。寝ようとすると心拍数めっちゃ上がるんですよ。震えも止まらないし。だからリリックだけじゃなくて、構成の中で目まぐるしい感じだったりとか、音でその時のベッドと闘ってる自分を表現したかったなって。すごいだから構成とかの面で言うとめちゃめちゃ時間かけました。普段あまり曲を作る時って時間かけないんですよ。音が降ってきたから形に起こす感じなんで。これはもう起こしながら作ってたんで、今までの中では結構珍しいスタイルの作曲方法でしたね。
rui 前からyuyaくんにはそういう気があると思ってたんで。空気感を感じてたとこがあったし。だから「insomnia」のような曲って昔の曲にもあるんですよ。「ピエロ」だったりとかもそうだし。
yuya そうだね。
rui yuyaくんの感性がすごく出ちゃっている曲って言えばいいんですかね。自分の主観みたいなのがすごく出ちゃってる曲があったんで、この曲がきた時に”今はこういう形になるんだ”って。歌詞を見て、”あぁ、なるほどね”って思ったし、これを曲によく具現化してきたなって。今までのDOFの中にもちろん派生としてある曲ですけど、この曲は緊張感がすごく高いですね。
yuya 確かに。
rui 僕はそれをどうやってライブで表現しようって聴いた時にすぐそういう方に変換しちゃうんすよ。”これどうすっかなぁ”みたいな。”これ今までのやつと流れはバッチリ組めるけど、なかなかこれも大変な曲ができたなぁ”と思いつつもワクワクはやっぱ高いんで”peaceとこれかぁ”っていう…。嬉しい悩みがいつも増えます。ありがてぇなって思う。
☆ このツアー中はこの2曲は勿論、セットリストに入ってるわけですよね。
rui やってます。絶対どっちかから始まって、絶対どっちかで終わるように構成されてるし、それまでの流れもその2曲に通じるように流れがなってますね。「peace」から始まる時は、だんだん何かの曲をきっかけで「insomnia」の世界になっていくし、「insomnia」は逆にその状態からどんどんpeacefulなかたちになっていくように組まれていますね。それを歴代の曲で組み合わせていくことで、今までは陰に感じてたものが逆に陽に感じるような流れになっていたりとか。ただ単に背中を押してたような曲でもないとかこれまでの感じ方と違う一面が見えるようになっていたり。「ephemeral」だったり「シャーデンフロイデ」ってどっちにも捉えたりできるんですよ、「光」もそうだし。過去の楽曲のyuyaの視点がこうだったっていうのを、今改めてライブで聴くとまた違う捉え方もできるっていうトリックも込みで作れるんで面白いなって。新しい曲が出るほどそういう考えもできるんで僕は面白いですけどね。
yuya これ初めて話すんですけど、いろいろな人にメッセージいただいたりお手紙で質問をいただいたりしてて「insomnia」の歌詞で”9.1mm”っていうワードを使ってるんですよ。「9.1mmでは手に負えない人生でした」って。あれ自分が飲んでた薬の直径なんですよ。”サイレース”っていう睡眠薬で、それが全く効かなくて。”サイレース”飲んで、歌詞書いてる時に「効かねぇなぁ」と思ってその時にこいつの大きさどんなもんなんだろうなと思って、定規で測って”あ、こいつ9.1mmなんだって。”こいつ全然効かねぇな”と思って、それがバッと歌詞にハマったんですよね。
Hiromu 僕も聞きました。「9.1mmってなんですか」って。
yuya 普通の人間だったら、薬の直径測ろうとしないと思う。。。。笑
rui 薬を処方された時に数字が書いてあるんですよ。
yuya そうだね。大体の薬は確かに直径書いてあるね。俺はあえてそれ見ないで自分で測ったよ。笑
一同 笑
☆ 貴重なお話をありがとうございます。Hiromuさんは「insomnia」についてどんな思いがありますか。
Hiromu 実際にyuyaさんが陥った状態を書き起こした歌詞ですけど、正直言って僕はなったことがないので共感できないんですよ。yuyaさんにも共感してほしくないと言われて。
yuya そう言ったよね。心配しないでって。
Hiromu 共感できるようになっちゃダメだからって言ってもらって、僕がこの楽曲に対して出来ることってyuyaさんの想いを自分なりに解釈して音に情熱を込めることしかできないかなって結論に至ったんです。だからこの曲は本当に細かいこと考えずに熱量だけでレコーディングも録りましたね。
rui さっきも話にあったんでけど、共感させたくないってことは、それをそのままライブで表現すると暗い気持ちで帰すことになってしまいそうになるのを何とかしないといけないんで、その点はライブでの覇気に込めてますね。
yuya 俺も別に暗い気持ちになってほしくないんですよ。だからそのエピソードを話すけど、ライブ中はブルンブルンですよ。そこに共感して欲しいみたいな気持ちは1mmもないですね。笑
rui 逆にこの曲がこのエネルギッシュさで良かったなとはめっちゃ思います。
yuya これですごいなんか不協和音なバラードだったらもう手に負えないよね。笑
rui だったら多分、頭とケツに演るって言い切ってなかったと思う。これはまだライブで払拭できるなって思ったから言えた。笑
yuya まさしく今ナイスなこと言ってくれたけど本当そうだね。それもあるからHiromuにも言った”共感しようとしないで良いよ”とか、”心配しようとしなくて良いよ”っていうのは曲にも出てるんだよね。普通あのリリックだったら狙う人だったら狙うけど、俺はそうなってほしくないし、その上で闘ってるし、だからもう「いくぜいくぜ」みたいな。笑
Hiromu やっぱ情熱ですよね。
yuya 情熱が大事よ。
Hiromu あのサビはもうマジで凄いですよ。
yuya そう、それで良いんよ、マジで。
rui 寝れない音頭ですね。
yuya 寝れない音頭言うな!笑
Hiromu 僕、スタジオでずっとかっこいいかっこいいって言ってますもん。笑
rui 6、7年近くも、ずっとかっこいい曲聴かされてたらね、毎回かっこいいって言うのも恥ずかしくなってくるんだよ。俺、毎回最高だよって思ってるんだけど、毎回、毎回、”今日もいいね”、”今回もいいね”ってずっと言ってたら、あとは逆にその気持ちを何とか頑張って昇華させますってなるよ。笑
yuya そうなんですよね。シンプルに俺らって結構お客さんのノリとか気にしないで自分がかっこいいと思った曲をずっと書いてるねとか言われるんですけど、寧ろそうあるべきって思います。
rui それでいい。
yuya うん。お客さんのノリっていうのは”こうして欲しい”っていうノリを与えて、それを実際お客さんがやるかどうかも分かんないし、お客さんはお客さんなりに”こうしたい”っていろいろな楽しみ方それぞれじゃないですか。そんなもん自由で良いんだから。じゃあシンプルにかっこいいと思う曲出して、”もう好きに楽しんで”の方が、それこそ”peace”だと思うし。最近、こうしてDOFやっててすごく思うのは、やっぱり、マイノリティだったりマジョリティだったりとかに囚われない、自分たちが思った道を改めて突き進んでるんだろうなとか思いますね。ただ、それを「スゲェだろ俺たち」っていう気持ちは一切ないんですよ、それが普通なんですよ。だから堀田さんもかっこいいって言ってくださるじゃないですか。だからいい意味で”あぁそうなんだ”って。自分の中でかっこいいと思って作ってはいるんだけど、かっこいいってちゃんと思ってもらえるんだなって。
rui  バンドってそうあるべきじゃないですか、自由がいいんですよ。だって自由にやりたいってバンドやってんだから。
Hiromu 俺らが1番楽しくないと。
rui そう。自由になりたいからバンドやってるって、イコール、別に社会人になりたいわけじゃないです。バンドマンとしてやっぱりかっこよくありたいんだから、くだらない事に囚われてやっててもつまんないじゃないすか。人と同じことやってても面白くないでしょ。
☆ 唐突な質問になりますが、DOFはこれから向かおうとしているのはどんなところでしょう。
yuya 今バンドをやらせていただいている状況の中でも、”ここの会場を目標にしよう”って気持ちはコロナになる以前からも変わってないんですよ。その会場がどこかはあえて言わないですけど変わらず今もその気持ちを持ててるんで、それってすごく良いことだなって思うんですよ。やっぱり現実見ちゃって無理だろうなって気持ちになっちゃったりとかすると思うんですけど、自分の中でその夢っていうか、目標は今でも変わらずステイできてるんでありがたいなってのはありますかね。”こうなりたい”、”ああなりたい”じゃなくて、ここで俺たちがワンマンやりたいっていう夢です。すごいシンプルな。よくある夢かもしれないですけど、俺はそれが結構大事なんですよ。俺個人としてはとりあえずは絶対そこでやりたい。そこに俺たち4人と応援してくれてる人たちを連れていきたいって気持ちはずっと絶やさずありますね。できることならショートカットしたいですけど、仮にそれがすごく遠回りになったとしても、ずっとその気持ちは変わってないんで行くまでやるしかねぇなみたいな。
rui 僕も結成した時からずっと揺らがず今でも思い続けてることがあるとすれば、この業界とか関係なく”基準”にはなりたいですね。バンドとしてひとつのこういう形もあるんだよっていう。ジャンルだったりとかカテゴライズとか何かに囚えようとしてくる人いるじゃないですか。その括りに何とかハメようとする人とか。すごいバンドになると、そのバンド自体がカテゴライズになるんですよ。そうなりたいんですよね。このジャンルのこと批判とかはあまりしたくないですけど、つまんないことやっててもつまんないだけだよって言いたいんですよ。”右向け右”をずっとしててもどっかに行けないじゃんって。たまには違う道も見ないとどこにも行けない訳だから、僕らって多分そういうバンドなんですよ。みんなと同じ方向絶対向いてないんすよ。かっこいいことだけずっとやってる。それで大きなところに辿り着いた時には、それが基準になってたり、オンリーワンになってる。別にヴィジュアル系っていうバンドに対して、正直誇りがあるとか色んな考えがあるかも知れないすけど、ずっと永遠にそれだけをやっていくっていうのじゃなくて、あくまで表現方法のひとつで合って、別にそこにずっと留まってる気なんかないし、最初からDOFしかやってねぇしか思ってない。たまたまそういう括りがあっただけで、別に化粧してバンドやってるやつなら沢山といるわけだから、その中でオンリーワンになれるかどうかってことをずっとやってるだけなんです。
yuya やっぱり垣根はぶっ壊したいよね。ヴィジュアル系だからヴィジュアル系の人としかやっちゃいけませんとか、やっぱりヴィジュアル系以外の人たちとヴィジュアル系がやると、ちょっと怖がられちゃったりだとか。仕方ない現状だとは思うんすけど、そういうのはやっぱりぶっ壊したいなって。
rui 音楽楽しんでるだけだからカテゴリーってもので邪魔しないでもらって良いかなって思っちゃうんですよね。僕からすると、楽しいか、楽しくないか、つまるか、つまらないかで良くないかって。僕らが大きい基軸になったら多分納得させられるんですよ。その時が初めて一個夢が叶うかもしれないですね。それをずっと目標にしてました。
 もう本当に単純にかっこいいかかっこよくないかですよね。
rui もうそれで良いと思うんすよ。「かっこいいじゃん」が最高だと思う。それ以上の言葉って無くないかって。あとは”素晴らしい”とか”グレイト”とかそういうことだけだと思う。
Hiromu 僕個人的には、ずっとこの空間を守りたいというか、みんなの居場所でありたいと思います。幸せな空間のひとつとして、目標に到達したとか、何かを成し遂げたとしても、ずっと変わらない存在や空間を守り続けていけるものにDOFがなれたらいいなって思いますね。
Johannes(翻訳済) このメンバー4人が音楽を楽しんでやっていけて、それを見てファンの人たちも楽しんでもらえるようなバンドでいたいですね。「peace」なだけに”peacefulなバンドで”。
一同 笑
yuya 体が大事だから最近暑いんで体調管理気をつけて。命を大事にしてください。
☆ これからの活動にも期待してます。ありがとうございました。


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