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4月22日(金):フィットネスクラブ・マネジメント技能検定 インターミディエイト第4章解説⑨

現在は「フィットネスクラブマネジメント公式テキスト」の最新版「Vol3」のインターミディエイト(中級)、第4章「営業管理」の第2節「商品・サービス管理」の解説を進めています。

前回はフィットネスクラブの商品・サービスのマネジメントを考えるために一般的な「品質マネジメント」を例に取りながら、そこで定義されている原則について触れました。

それとあわせて持っておくべき観点は「サービスの特性」についてです。

なぜなら一口に品質マネジメントといっても、製造業におけるモノづくりの品質マネジメントと私たちフィットネスクラブのようなサービスの現場における品質マネジメントでは、やるべきアプローチが異なってくるからです。

そのため、まずはサービスの特性を知っておくことが大事なので以下、該当するテキストの文面から確認をしていきましょう。

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■サービスの特性
フィットネスクラブはハードやソフトを用い、インストラクターやトレーナー等の人を介してユーザーにとっての経験価値となる「コト」を提供している。

この点で形ある「モノ」の販売と「コト」を提供するサービスとの違いを説明するところから始めたい。

フィットネスクラブにおけるサービスを捉えるうえで、まずはサービス業の特性を知っておく必要がある。

サービスの特性として主だったものは以下の要素である。

・同時性
1つ目の同時性は生産と消費が同時に行われることを指す。

モノの場合は生産行為と消費行為が別の時間と場所で行われる。

生産であれば工場などで生産され、消費はユーザーが購入してそれを使用したタイミングがそれにあたる。

これに対してサービスは一部の例外を除き、生産行為と消費行為が同時に生じる。

例えばフィットネスクラブなら、スタジオでインストラクターがレッスンを行っている(サービスの生産)瞬間に、会員は同時にそれを楽しんで受講している(サービスの消費)。

これはジムエリアでのカウンセリングやトレーニング指導に関しても同様である。

・無形性
2つ目は無形性が挙げられる。

有形のモノであれば製品を手に取って触ることもできるし、スペックなどによって他の製品との定量的な比較も容易で、製品の価値やセールスポイントを分かりやすく表現できる。

一方、サービスは見ることも、触れることもできず、その魅力を的確にユーザーへ伝えるのは難しい。

そのためサービスの価値を測定することも容易ではない。

・個別性(変動性)
3つ目は個別性である。

モノの場合は同じ規格で大量生産ができ、品質におけるバラつきも生じにくい。

フィットネスクラブも含めたサービスの場合、人を介して行われるサービスではそれを担う人によって違いが生じる。

例として同じプレコリオのスタジオプログラムでも担当するインストラクターによってレッスンの空気感や楽しさなど定性的な要素に違いは生まれる。

またフロントなら見学のセールスでもクラブで基本的なセールスオペレーションを構築していても、担当スタッフによる入会率のバラつきは不可避となる。

・結果と過程の等価的価値
4つ目は結果と過程の等価的価値になる。

形あるモノの場合、ユーザーはそれを購入して期待したベネフィット(結果)が得られれば、それで満足できる。

モノを製造するまでのプロセスの如何が問われることはほとんどない。

これに対してサービスの場合、ユーザーが得られるベネフィットの良し悪しはもちろんのこと、そこに至るまでのサービスのプロセス(過程)もサービスの満足度を左右する。

ここでは美容院を例にしてみる。

仮に自分が望む髪型になった(結果)としても、そこに至るまでに待ち時間が長い、カットしている間の美容師との会話が不快、洗髪の際には顔が濡れるなど(過程)があれば、このお店に対するサービスの満足感は上がらない。

これと同じことがフィットネスクラブにも当てはまある。

ニーズを満たす結果だけではなく、そこに至るまでの一連のプロセスも含めて会員にとっての評価の対象で、満足度を決定づけるとの理解が必要だ。

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サービスの特性として挙げた4つについてはテキスト内でもフィットネスクラブに置き換えた事例を記しているので、そこは概ね理解ができると思います。

大事なことはこれらの特性への理解に基づき、品質を維持・向上させていくための継続的な取り組みへ結びつけていけるかどうかです。

「同時性」や「無形性」を理解しているとモノのように大量生産、在庫のストックができないサービス分野では、その都度に最適なサービスを生産し続けなければならず、サービス提供のベースとなる人員配置(シフト)の量的・質的な重要性が分かるはずです。

また「個別性」の認識があれば人によってサービスの品質にバラつきが生じやすい前提に立ち、一定以上の品質を保つための継続的な確認やフィードバック、研修の必要性がおのずと見えてきます。

そして「結果と過程の等価的価値」が分かっていると、フィットネスクラブは長期にわたって継続をしてもらうビジネスモデルであるだけに、日常のサービス品質や接点を見直す際の助けにもなることでしょう。

これらはサービスのマネジメントのみならず、サービスのデザインやイノベーションを考える時にも寄与するものだから、理解をしておくと良いんじゃないかと思っています。


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