「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論353」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第5号(2003.3.25発行)「バブル崩壊後のクラブ業界」2~※名称等は当時、一部文章省略
背景には、急速な高齢化と疾病率の上昇、医療費の自己負担割合の増加などから、主に中高年層の健康志向が高まってきたことがある。
総会員に占める40歳以上の会員の比率は徐々に増えていて、現在はおよそ50%となっている。
また中高年層は利用回数も多く、クラブの利用率が25~30%に達しているクラブも出始めている。
よい印象をクラブに持つ人々、クラブを積極的に活用してみようと思う人々が少しずつ増えてきているのである。
2002年末時点での市場規模(単体のスイミング施設を除く)は、2,973億円(フィットネスビジネス編集部推定)である。
先に記した通り、2000年から現在にかけては成長が止まっているが、現在既存大手・中小各社が急ピッチで業績不振店のスクラップ&ビルドや既存老朽店のリノベーションに取り組んでいること、またベンチャーも新たな業態の開発に果敢にチャレンジしていること、新規出店(業態転換、継承後再開、移転新設を含む)もこれまで同様年間40~60軒ができると推測されること、さらに今後PFI(公共のフィットネス施設を民間クラブ運営企業が開発・運営する形態)の動きが活発化してくるだろうことなどから、調整期を経た後、業界は再び成長へ向かうものと予想される。
これまで日本の市場は大手チェーンを中心に成長してきている。
特に大手4社が他社クラブ部門をM&A後、再建しての出店や自社の新規出店により売上高を大きく伸ばしている。
現在売上高上位のシェアは約5割を占める。
今後も大手チェーンが中小チェーンを吸収したり、新規出店を加速する動きは強まる。
大手チェーンの施設は温浴施設などを加えて大型化(延床面積1,000~1,200坪程度)する傾向がある。
繁盛店であれば、年間1~2億円の経常利益が得られる。
たいていはテナント出店で初期投資を抑えているため、投資効率がよい。
~ここまで~
前回、20年前の国内フィットネス事情と現在が似通っているという表現をしましたが、全く違う動きも見られます。
それは当時からパンデミック前まで牽引役となっていた業界大手の経営に逆回転が掛かっているという事実です。
記事にある通り、その頃から資本の優位性を活かして大型クラブの出店に力を入れてきたことで、効率的に収益を上げられてきた中、今回のパンデミックにより不特定多数の集まる場所=危険な場所という認識になり、規模・店舗数が大きいほどダメージが深まってしまったからです。
最もそれ以前から、記事にある顧客層の高齢化進展による弊害(若年層の忌避、さらなる利用回数増に伴う負担増など)は発現していましたので、ビジネスモデルの陳腐化は確実にあったと言えます。
築20年を超えていくと、大修繕の必要性も出てきますし、水道光熱費は増加の一途を辿っていますので、もはやこのまま耐えられるかというレベルにまでいってしまうクラブが今後、増加していくことが当然に予想されます。
本日もお読みいただきありがとうございました。