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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論823」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「フィットネスクラブ入会低調により収益減、現状打破に工夫と努力」1~※名称等は当時、一部文章省略

社団法人日本フィットネス産業協会(FIA)が、業界の現状を把握するため、フィットネスクラブ経営において基礎となる経営数値や課題について、定期的に各事業所にアンケートを送付し、その回答をまとめている「フィットネス産業基礎データ資料」の2007年版が先頃刊行された。
アンケートは3198事業所に送付され、335事業所(小型新業態36事業所を含む)から回答を得た。
調査機関は2007年11月~2008年1月。
回答した事業所の規模は、延床面積500坪未満が101軒(33%)、同500~1000坪が121軒(40%)、同1000坪以上が81軒(27%)、立地は郊外型が189軒(60%)、都市型が126軒(40%)だった。
主だったデータを以下に紹介したい。

ゴルフ・温浴・振動マシン、拡充の動き

保有する施設アイテムで、ジム・スタジオ・プールに次いで保有率が高かったのはゴルフ(46%)、テニス(31%)であった。
05年のデータと比べて増えたのは、サーキットジムエリア(プラス23ポイント)、ホットヨガ(プラス11ポイント)、ゴルフ(プラス6ポイント)、フットサル(プラス5ポイント)であった。
ゴルフやサーキットトレーニングなどの人気を反映し、施設アイテムを整えていることが裏付けられた。

保有する付帯施設では、プロショップ(70%)、温浴施設(58%)、マッサージルーム(41%)の保有比率が高かった。
この他、エステルーム(21%)や岩盤浴(11%)を挙げるクラブもあった。
保有する機器では、体組成測定器(73%)、マッサージチェア(62%)が定着化している傾向が読み取れた。
これらに続き、振動マシン(49%)、タンニング(36%)、ゲルマ温浴(26%)が挙げられていた。

P/Aの総労働時間が若干減少

店舗面積別にみる従業員数に関する平均値の推移は、正社員については、増加している。
フリーインストラクターについても月当たり延べ総労働時間が増加傾向にあるが、パート・アルバイト(P/A)のそれは、2005年のデータと比べると若干減少している。
P/Aの月当たり延べ総労働時間は1657.4hであった。
在籍者の減少と社員人件費・水道光熱費などのコスト高による利益圧迫をパート・アルバイトを抑制することでしのごうとしているのだろうか。

~ここまで~

少し前の投稿で、リーマンショック(2008年9月)直前の米国フィットネス業界の動向を歴史的に振り返りましたが、今度は日本のそれが示されている資料として非常に貴重だと思います。

施設アイテムとしては、当時、大型化の流れが顕著であったことから、それに付随した特殊アイテムもちらほら見られます。
その後、どのような顛末に至ったか歴史的に評価してみましょう。

1)ゴルフ~現在も生存。ただし、規模は縮小し、シミュレーションゴルフを2~3レンジ付帯することが主流となっている。
2)テニス~現在も生存。ただし、テニス事業を得意とする数社に展開は限られている。
3)サーキットジムエリア~ジム内に付設する流れはほとんど無し。単独チェーン店の1強状態(カーブス)。
4)ホットヨガ~現在も生存。若年層や女性顧客層を、単独店に奪われない為の対策として有効。
5)フットサル~フィットネスクラブが手掛けることはほとんど無し。アリーナ付設クラブが一部プログラムを継続実施。
6)プロショップ~WEBや専門店での購入が主流となり、縮小化傾向。プロテイン等のサプリメント販売を重視するクラブが多い。
7)温浴施設~全体的な小型化傾向に伴い、新規で付設するクラブは減少。一部の企業がスパを冠したクラブを継続している。
8)マッサージルーム~上記と同様に新規で付設するクラブは減少。ロッカールームやラウンジ端に数基設置する程度が一般的。
9)エステルーム~提携するエステ企業自体が人手不足等で対応が難しくなっており、減少傾向。
10)岩盤浴~フィットネスクラブが新規で設置することはほぼ無し。トレンドアイテムとしての一時的な存在に留まった。
11)体組成測定器~すでに一般化されている。自由に測定できるシステムを導入するクラブもあり。
12)振動マシン~新規で設置するクラブは減少傾向。利用価値・使用方法を適切に案内できるスタッフが少ないことが要因か。
13)タンニング~フィットネスクラブが新規で設置することはほぼ無し。現在のフィットネスクラブ利用者にとってのニーズ自体が減少。
14)ゲルマ温浴~フィットネスクラブ内で実施しているケースはほぼ無し。衛生面での管理が難しかったことも要因か。

こうして見ますと、定番化されたものは少なく、廃れてしまったものが多いことが15年後に振り返ると改めて分かります。

お読みいただきありがとうございました。

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