「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論227」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌(元々はクラブマネジメント誌としてスタート)のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~クラブマネジメント通巻第33号(2001.3.25発行)「日本のフィットネスクラブ産業史」6~※名称等は当時、一部文章省略
だが、バブル経済崩壊後の、消費の冷え込み、入会者減は業界各社の予想を超えるものであった。
すべてのクラブが生き残りをかけてコスト削減に取り組むとともに、入会者を増やすための営業とプロモーションを強化した。
クラブにとって主要なコストは3つであり、人件費(売上高比27%)、家賃(20%)、水道光熱費(13%)で約6割を占めていた。
家賃の引き下げ交渉には時間が掛かるため、即効性のある人件費と水道光熱費が大胆に削られていくこととなる。
社員をパート・アルバイトスタッフに変え、水道光熱費を削減する様々な取り組みが進められた。
売り上げを高めるプロモーション手法としては、入会金を割り引くという手法が一気に広がった。
米国では好ましくないビジネスプラクティスとされていることを知っていながら、大手企業を中心に多くのクラブが入会金の割引に手を染めていった。
割引率はついには100%に達し、それが常態化し、入会金はもはや形だけのものとなっていった。
退会率も徐々に高まっていった。
消費が一層低迷する中、入会金オフをしないと「新規入会がとれない、それは赤字転落を意味する」との焦りがそういう状況を生んだともいえる。
~ここまで~
今回の記事は、業界の分水嶺を示す貴重な内容だと思います。
プロモーション手法もそうですが、社員をパート・アルバイトスタッフに変えていったということが大きなポイントです。
前回、取り上げたテーマである「定着志向経営」を目指すに当たって、特にトレーニングジムにおけるサポートが大事である旨を示しましたが、結果として、その部分を大きく棄損させる要因となった施策ということが言えます。
この施策は、多くのクラブで現在まで続き(パンデミック下でパート・アルバイトスタッフがさらに減っている可能性あり)、今回の危機で会員数が30~40%減少させる大きな要因になったと考えられます。
業界誌などでも取り上げられた通り、顧客との関係性が深いクラブほど規模に関わらずマイナス幅が少なかった事実からも、当時の大きな方針転換が現在の首を絞める結果となったことは皮肉な話です。
今、ジムでのグループトレーニングを取り入れて、顧客とスタッフあるいは顧客同士の関係性を深めようと試みる企業がかなり増えておりますが、問題の根は20年前から張っていることを考えますと、その根を引き抜くことは容易ではないと思った方が良いでしょう。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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