「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論256」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌(元々はクラブマネジメント誌としてスタート)のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~クラブマネジメント通巻第36号(2001.9.25発行)「業界再編期のクラブ経営」19~※名称等は当時、一部文章省略
パネリスト
斎藤敏一氏(株式会社ディックルネサンス代表取締役社長)
白井省三氏(株式会社ティップネス代表取締役社長)
中島良一氏(株式会社フィットネスマネジメント代表取締役社長)
4.個別の戦術
司会:さて、次は戦術面での取り組みについてお聞きしたいと思います。
ここ数年当業界も含めてビジネス界全般で成功に欠かせないキーファクターと言われているものが3つあります。
ITの活用、女性の労働力の活用、中高年獲得のためのマーケティング、の3つです。
各々について取組みのスタンスや中身についてお教えいただけますか。
白井:まずITについては、お客様とクラブの間、またクラブと一般の方との間もそうですが、不特定多数の方とのインターフェースがいとも簡単にできてしまうということなど、革命的かと思います。
例えば当社のホームページはたぶん業界でもページビュー数が多い方かと思いますが、コンテンツの一部をiモード等を活用してお客様に提供するということも十分考えられることです。
社員の中で頭のいい人がこういったことを考えているのだと思います(笑)。
(ITは)たぶん使い方によっては、大変威力を発揮するし、使い方を間違えたら難しい問題も起こすだろうし、かといって使わなかったらいつの間にか取り残されてしまうといったようなことになるのではないかと思います。
女性の労働力の活用については、この業界では「女性の」という枕詞はつけることをそろそろ考えなくてもいいのではないかと思います。
男女差はなくなってきていますし、「女性の」というより、どう人材を活用するのか、という課題と捉えています。
中高年獲得のためのマーケティングについては、先ほども言いましたが提供する側が本当に中高年と言われる方々の欲しいものにあった「商品」を提供できているのかどうかということが問題になるかと思います。
当社の現状を言えば、全くできていません。
だから中高年の方々にとってどういうものがいいのかということを一生懸命考え、その上で一つ一つ商品化してヒットさせていくことが大切なんだろうな、と思っているわけです。
ごく普通にそこを歩いていらっしゃる、特別に運動したことがあるわけではないけれど、自分の健康には関心を持っている、そして何かしたいと思っていらっしゃる方、でも走るのはしんどいんだなぁと思っていらっしゃる方。
こんな方が圧倒的に多いのですから、こういう方たちにどんなふうに訴えたらいいのということも考えていかなくてはいけないと思っています。
いわゆる中高年向けとされるプログラムはいくつも提供されています。
でも、それが本当に歳をとってしまった白井さんに向く商品なのかと聞かれれば、極めて疑問です。
確実にお客様の平均年齢も上がってきているし、お歳を召した方が実際に増えているわけですから、好むと好まざるとに関わらずそういうことに対応すべきであり、もともとそういう方たちが参加してのフィットネス産業、健康産業でしょうから、まさに氷山に隠れていた本命のユーザーが今、現れてこられたので、そういう方たちに私たちはどう対応するのかということを、真剣に迫られているのだと思います。
~ここまで~
iモードという言葉がとても懐かしいくらいに隔世の感があるIT環境の違いですが、2000年前後はまだまだ海の者とも山の者とも分からない捉え方だったことがこの記事から読み取れます。
実際は、この20年で最も進展した分野であり、その活用はもはや必須と呼べる状態です。
それを現在で捉えるならば、まさにDXが該当するのかもしれません。
DXは、何か打ち出の小槌のように劇的に収益を改善させる魔法のツールのように見る向きがありますが、実は将来、DXを誰もが使う時代がすぐに訪れるものと考えるべきでしょう。
つまり導入は各企業にとって必要なタイミングで、何の為に活用していくかを事前に深く思考しておくことがとても大切だということです。
本日もお読みいただきありがとうございます。