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広域連携 『鹿児島×石巻』連携で北米輸出加速!

2022年11月28〜30日に開催された「三陸水産イノベーションサミット」。三陸の水産業のトップランナーたちの登壇レポートをお届けします。

鹿児島県垂水市でブリの養殖・加工・販売を行うグローバル・オーシャン・ワークス。そのメイン販路は北米。一方、地域一丸となり北米輸出を目指す石巻の水産業界。今、九州と東北が協力し合いアメリカ市場を攻める。

スピーカー:
グローバル・オーシャン・ワークス(株)
業務部マネージャー 外木場晢史氏
(株)フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング
海外事業部 兼 石巻輸出推進協議会 村上日奈子氏

2021年の農林水産物・食品の輸出額は、初めて1兆円を突破。さらに農林水産物や食品の輸出を拡大するため、生産から流通、販売までさまざまな事業者が参加した団体を品目ごとに作り、国が認定する新たな制度を盛り込んだ『改正輸出促進法』が2022年10月から施行されました。
国が目標にしている2025年2兆円、2030年5兆円を達成するためには、輸出拡大をさらに加速化することが必要です。今、九州と東北の水産業が協力し合い、アメリカ市場を攻めています。

■石巻の海産物を米国へ

鹿児島県垂水市でブリの養殖・加工・販売を行い、北米へ輸出しているグローバル・オーシャン・ワークス(以下GOW)。一方、地域一丸となり北米輸出を目指す石巻食品輸出振興協議会。九州と東北、獲れる魚種も風土も異なるからこそ、この連携には意味があります。

GOWは鹿児島県垂水市錦江湾でブリの養殖加工を手がけ、主に北米に向けて輸出している日本の水産物輸出のリーディングカンパニー。主に冷凍品の製造加工・販売を行なうグローバル・オーシャン・ワークス株式会社、主に冷蔵品の製造加工・販売を行なうアクアブルー株式会社、ハマチの養殖、マネージメント、マーケティング等を管理監督する鹿児島水産株式会社、さらに海外での活動をさらに堅固なものにするため、米国での日本食の圧倒的地位を獲得しているインターナショナルマリンプロダクツをM&Aで獲得。この4社を統合したのがグローバル・オーシャン・ワークス・グループ。「鹿児島から新しい水産業の未来をつくる」という企業理念のもと、地球規模で食を考え、水産業のリーディングカンパニーになることを目標に掲げています。

東日本大震災で国内販路が途絶え、海外に販路を求め立ち上がったのが、石巻食品輸出振興協議会。海外に向け石巻ブランドの構築を進め、1年を通じて海外に輸出できるような態勢づくりを目指し、石巻産の農水産物やその加工品(食品)の輸出促進を図るために発足された団体です。
石巻は、120社以上が揃う日本最大級の水産加工団地があります。震災で壊滅的な被害を受けましたが、再建するにあたって、最新鋭の冷凍技術、米国HACCPをはじめ世界基準の衛生管理を徹底。アメリカ輸出に向けてボトルネックになっていた世界基準に沿った衛星管理が整い、米国に輸出できる環境が整備されました。

■整った体制

農林水産省では、『改正輸出促進法』をうけ、日本の農林水産物・食品輸出プロジェクト『GFP(Global Farmers / Fishermen / Foresters / Food Manufacturers Project)』を立ち上げ推進しています。
GFPは農林水産省が2030年までに輸出額を五兆円にしようと掲げている事業の一つで、これまでは販売促進を中心にした事業が多かったのですが、この事業は産地の体制づくりを後押しする事業です。
石巻食品輸出進行協議会は、『令和4年度 GFPグローバル産地づくり推進事業採択産地』に採択されました。

また、日本国内ではまだまだ認知度の低いAFC、MSC認証ですが、米国では認証所得を条件とする量販店があり、海外へ販路を伸ばすためにも国際認証の取得は今後ますます重要になってきます。
GOWは、自社が扱う養殖ブリに対し、2017年にAFC認証を取得。石巻でも、2018年にJFみやぎ石巻地区支所をはじめ、石巻湾、石巻市東部の3支所が牡蠣養殖で、女川では銀鮭で、さらに23年1月に石巻市北上町十三浜のワカメやコンブが海藻類で国内初のAFC認証を取得しました。

(株)フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング 海外事業部 兼 石巻輸出推進協議会事務局の村上氏は、「震災後、環境を守りながら品質の高い海産物を育てる仕組みづくりができました。東南アジアや香港が中心だった輸出ですが、新しい販路を拡大するためには大きなマーケットのアメリカが必要です。GOWが有するアメリカの販路にのせて、石巻の海の幸をアメリカへ輸出すべく石巻×鹿児島の地域連携がスタート。GOWと連携したことで、石巻でも一致団結できるようになりました。
北海道ブランドがアメリカで認知されているように、石巻や宮城もコテコテのアメリカ人がわかるようにブランディングづくりをし、さらに売り込みをしていきたいと思っています」とコメント。

GOWの外木場氏は、「2035年には人口90億人突破と言われている社会で、人口増加や食糧不足、蛋白源の確保には養殖が重要になり、養殖業は今後成長産業になります。原料系で加工度の高い個食に分けられているいい商品があればご紹介いただき、みんなで日本の水産業を盛り上げていければと思います」。

鹿児島と宮城石巻の広域連携で、三陸の海の幸が、アメリカの食文化に浸透していくのもそう遠くないことでしょう。

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