推し香水をオーダーした話 その1

初めまして。
この度数ヶ月前にとあるアニメのキャラクターをイメージした香水、いわゆる推し香水をオーダーしました。
こんな感じに文章をネットにアップしたことは無かったのですが、この気持ちを誰かに伝えたいのでここに書くことにしました。

香水をオーダーするまでのいきさつ

そもそも私は香水というのを身に付けたこともなく、香水の知識も全く無かったのです。
『推し香水』という言葉を知ったきっかけは、Twitterでバズった推し香水のレポ漫画でした。
それを見て「いいな~ 全く知らない人に推しの説明をするの超楽しそう」
と、割と邪な感情を抱きました。
そこから興味を持って推し香水の感想をあさり、「やってみたい!」と思いオーダーすることに決めたのでした。

早速オーダー!


今回利用させて頂いたのはScently様。
簡単に説明すればサイト内のオーダーシートに回答し送信すれば数週間後には届くというネット注文専門のお店。
さらにScently様には、なぜその香りを選んだかの解説レターが一緒に届きます。
前述した通り、私には全く香水の知識が無いので解説があった方がありがたいと思い決めました。

結果だけ言えば数ヶ月後にもう一回、同じ作品の別のキャラでオーダーするくらい良かったです。
それでは、どう良かったのか書いていきます。

質問に答える

※ここから個人の解釈、ネタバレとかを含みます。何でもOKな方だけ読んでください。ダメだったら結論まで飛ばしてください

最初の方の質問内容は普段使いかキャラ概念優先かから始まり、キャラクターの性別、年齢など。
性別には「人外のもの」といった項目もあります。
特に外で使う予定も無かったので、最初の質問には「概念優先」と答えました。そして次の性別の項目で少し躓きました。
「うーん…彼は厳密に言えば人間じゃないかもしれないんだよなぁ…恐らく人から産まれていないし
でも見た目とか在り方とかは人間だし……」
と悩んだ結果、「あまり人間離れしたキャラクターとは思わない」と「男性」と回答。

質問の中には「大人っぽさ・セクシーさはどのくらい感じられますか(0~5までの数字で答える)」や「一番似合う飲み物を教えてください」といったものも。
ここでも悩んで「3(やや感じられる)」「紅茶」に。

さて、次の質問は「世界観やキャラクター/人物の背景情報を教えてください」「第一印象としてまわりが受ける性格とまわりからは見えにくい内面に秘めた性格を教えてください」。
この二つの質問は自由記述です。ただしどちらも999文字という制限があります。
結構まとめるのに苦労したという感想を見たので「うわ~、999文字で書き切れるかな~」とか思っていましたが数えたら前者で342文字、後者で565文字でした。意外と書けないものですね。
さて、何を書いたのかと言いますと全文載せるのは長いのと恥ずかしいという理由で一部だけ載せておきます。

背景情報は、私の場合

時代背景・世界観
・現代世界に近いが科学技術は少し発展している
・キャラクターが育ったのは孤島の軍事組織で、そこでは子供達が戦士として洗脳教育され、侵略戦争を行っていた
(以下省略)

キャラクターの背景
・物心ついた時には軍事組織にいた
(以下本編でのキャラクターの略歴を説明)
・物語上では主人公に敵対する悪役として描かれる

という様に箇条書きにしました。
なるべく簡潔にわかりやすく本編で起こったことを説明すると彼の最後として、
「彼と同様の力を持った少年を取り込み、主人公も取り込もうとするが、逆に主人公に取り込まれる」という文章が出来上がりました。
大丈夫かな?担当の人首を傾げてないかな。

そして性格についても同様に「まわりが受ける性格」と「内面に秘めた性格」に分けて箇条書きにしました。

さて、今さら私がイメージしているキャラクターについてなのですが、悪役と言っても主人公と異なる正義を持つダークヒーローの様な感じとか主人公と出会い改心していくといった様な感じでもなく、最初から最後まで最悪な性格のキャラクターです。(一応かわいそうな過去はあるけれどもそれはそれとして性格とやらかしたことが最悪)
なのでキャラクターの性格に対する質問、特に「まわりが受ける性格」に書いたのは「人を人と思わない冷淡な性格」から始まり、「普段は笑みを浮かべているが『不気味な笑み』だといわれる。」「自分が楽しければそれでいいと考えていて組織の命令には自分が楽しいから従っている」といった感じに「お前本当にこいつのこと推してるの?」と疑問に思われるくらい悪口ばかりになってしまいました。
なのでフォローいれとくかと「与えられた地位に見合った実力を持っていて組織内では畏怖の念を抱かれている」と一文を付け加えました。
それが後に私の心に波乱を巻き起こすことになるのです。
「まわりが受ける性格」はこんな感じでしたが、「心の奥では他者との繋がりを求めている」「どこにでもいる子供の様な精神、人と触れ合う機会が無かったため精神年齢が幼い」などと「内面に秘めた性格」を書いている内にセンチメンタルな気分になってきて最後には「誰にも愛されず、誰にも理解されずに主人公に取り込まれ、一見すると悲劇的な結末に見えるが、彼にとっては孤独が解消されて幸せな最後だったのかもしれない」という様な文章が出来上がりました。

そして次の質問「イメージしたい香りのご希望について記載ください」
香りについて詳しくない私は「甘く魅惑的だけれども迂闊に近寄ると頭から食べられてしまう様な香り」と一文だけ書きました。

その他にもいくつかの質問に回答して送信しました。
後は待つだけ!

余談となりますが、来るまでの間楽しみ過ぎて二回香水が届く夢を見ました。

香水届いた

最初の感想

オーダーからぴったり三週間、香水が届きました。
どこにも書き残すつもりは無かったので届いた時の写真は残っていないです。
「よーし、風呂に入った。後は香水を楽しんで寝るだけだ。最初は何の情報も無しに香りを楽しみたい!」ということで部屋にあった枕にワンプッシュ。

あ……なんかいい匂いする。
この匂いはあれだ、オシャレな雑貨屋さんの匂いだ。
え?推しはオシャレな雑貨屋さん?
甘い香りを想像していたので混乱する私。
やっぱり香りの知識が無いのにいきなり嗅いでもわからないよね、と解説レターの左のページだけ見ることに。

なるほど…ジャスミンとバニラしか分からん!
っていうか、えっ?ジャスミン!?花言葉「官能的」でお馴染みの!?
結局右のページも見ることに。

正直に言うと前半部分を読んだ感想としては「厳格?クール?いや私甘い香りって言ったいやでも確かに彼は出てきたばっかのときはクールキャラって思われててだけど自分が楽しければそれでいいと考えているとか書いたし厳格っていうのはちょっと」
と更に混乱する私。
前半の衝撃で後半があまり頭に入ってきませんでした。(その後ちゃんとゆっくり読ませていただきましたよ)
そうこうしている内に呼ばれて部屋から出ることに。
まさか部屋を出ることになるとは思わず急いで解説レターを写真に残し、部屋から出ることに。

トップノートだけ嗅いだ状態でいろいろ調べることに

その後は空いた時間を使って香料の事を色々調べることにしました。
どこにいても調べものができるインターネットって便利。
ここから調べた中で特に気になったところを書きますが、もしかしたら間違っているかもしれないのでそのときはごめんなさい。

トップノートはフェンネル、ベルガモット、コリアンダーなど。
私の嗅いだ「オシャレな雑貨屋さんの匂い」は恐らくベルガモット。
ベルガモットは柑橘の爽やかさと甘さを併せ持った香りなのだとか。
言われてみれば柑橘系の匂いだったなぁ、それにしても柑橘系が入ってくるとは意外だなぁと思う私。
フェンネルはウイキョウともよばれる甘くスパイシーな香りのハーブの一種。
花言葉は「賞賛に値する」
えっ…推しじゃん、とテンションの上がるちょろいオタク。

ミドルノートはジャスミン、ミュゲ(スズラン)、イモーテルなど
スズランはフランス語でミュゲっていうのを初めて知りました。
ジャスミンの香りは華やかで甘い、エキゾチックな香りらしい。
「イメージしたい香り」の「甘く魅惑的な香り」はここなんだろうなと予想。
花言葉はそれぞれ
ジャスミン:「優美」「愛らしさ」「官能的」
スズラン:「純潔」「再び幸せが訪れる」「謙虚」
イモーテル:「不滅の愛」「黄金の輝き」

ラストノートはミルラ、バニラ
ミルラは没薬ともいい、濃厚で甘くスモーキーな匂い。
個人的な感想ですが、ミイラの語源でもあり、聖書では死の苦しみを和らげる薬として書かれているなど「死」と関係の深い香料だと感じました。
バニラは言わずもがな、お菓子にも使われる香料。花言葉は「永久不滅」
レターに書かれたメッセージといい、ラストノートは「もしかして推しの死を悼んでいる…?」(推しは死んでいないけども、文字通り主人公の中で生きてるけど)という考えが頭をよぎりました。

再び嗅いでみる

そうこうしている間に数十分、部屋に戻ることに。
ドアを開けた瞬間、なにやらゴージャスな香りが漂っていました。
ミドルノートはこれなのでしょう。
まるで花々が祭りでもしているかのような、そんな香り。
その時感じられたのは圧倒的な存在感。「うん、推しだな」と思いました。(ちょろいオタク)
そのまま寝てしまったので、ラストノートの最初の感想は翌日残り香を嗅いだ時の「なんか甘い匂いする」でした。

自分なりに解釈してみた

香水が届いた翌日、ちょっと遠くまでドライブして安全運転に気を付けながらも香りをゆっくり楽しみました。
改めて嗅ぐと、良い匂いではあるのですがトップノートはミドルノート、ラストノートよりも甘くなく、近寄りがたさのある香りだと感じました。
これは任務の時のキリッとした推し(モブ視点)っぽいと思いました。
(ただ、最初に感じたのが「オシャレな雑貨屋さん」だったせいかどうしても一瞬「オシャレな雑貨屋さんでバイトしている推し」が思い浮かんでしまうのです。)
そしてミドルノート。
ゴージャスで少しドキッとする香りです。あくまで「少し」でセクシー過ぎず、これは「大人っぽさ・セクシーさ」で「3」と回答したことが良かったのだと思います。推しはどこか誘惑的な所がありますが(個人の意見)本編ではそのような描写はなく、また彼は少年なのであまり色っぽ過ぎない所が良いと思いました。
これは、自分の孤独を埋めてくれる存在を求めている推しじゃないかと思ったり。
最後はラストノート。
時間が経つとミドルノートの華やかな匂いは消え去り、代わりに優しい甘い匂いに。
バニラの香りを救急箱の中の優しい香りが包んでいるような、そんな感じ。恐らくこれがミルラでしょう。
まるで推しに対して「辛かったでしょう?」「頑張ったね」と哀れむかのような、慰めるような感じの印象を抱きました。
でも、もう一つ抱いた印象が。
それは、バニラの花言葉「永久不滅」だったり、優しくも脳のどこかに残るような香りから、これは幸せを手にした推しじゃないのかと思いました。
「哀れみ」と「幸せ」の二つを感じられる香り。
ここでオーダーシートに書いた「一見すると悲劇的な結末に見えるが、彼にとっては幸せな最後」という文章を思い出しました。
あんなふわっとした文章を形にできるなんて…!
調香師さんすごい!と感動すると同時に、「ああ、私は彼のそういうところが刺さったんだ」と推しへ の気持ちを再確認することができました。

結論

すっっっっっごく良かった!!
私の場合「推しがそこにいる」と言うよりは「突然推しを主役にした三部作の公演が始まる」という感覚でした。一部(トップノート)はモブが推しの話をしている場面、二部(ミドルノート)は推しの全盛期の場面、三部(ラストノート)は推しが倒された場面…というような感じで。
香り、奥が深いな……。
解説レターについては今回は「そう!推しはそういう子なの!」というよりも「なるほど~そういう解釈もいいね」という感想でした。
オーダーシートを書く楽しさ、待っている時のワクワク感を合わせて、とても良い経験だったと思います。
「今度は女の子イメージ、折角だから普段使いの方も試してみたい」と、最初にも書いた通り、再び香水をオーダーすることになるのでした。

続くかも……


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