水質から飼料管理まで -養殖業経営を成功させるための重要な要素
養殖の生産管理で重要なのは、水質と飼料管理です。きれいで健康な水を維持することは、魚の健康と成長に不可欠です。また、魚の成長と発育に必要な栄養素を確実に摂取するためには、適切な飼料管理が必要です。
水質の重要性
魚は生息する水環境に大きく依存するので、水質が変化すると魚の健康や成長に大きな影響を及ぼします。なので生産者さんはだいたい何らかの水質に関する指標についてモニタリングをしていたりします。
魚にとって健康な環境を維持するために、これらのパラメータを定期的にモニタリングすることが必要です。水質モニタリングには、携帯型メーター、センサー、データロガーなど、いくつかのツールがあります。
養殖のための飼料管理
飼料管理もまた、養殖を成功させるためにはとても大切です。魚の成長と発育を考えて、魚の栄養要求を満たす餌を与えることが重要です。どんな種類のエサを、どのくらいの量、どのくらいの頻度でやるか。生産者の給餌戦略が魚の成長とパフォーマンスに大きな影響を与えます。
使用する魚用飼料の種類も、魚の成長やパフォーマンスに影響を与えることがあるみたいです。魚用飼料の種類によって、魚の成長しやすさ、飼料転換効率、栄養利用への影響が異なります。例えば、ペレット状の飼料は、粉末状の飼料に比べて消化が良く、栄養素の含有量も高くなるそうです。
沈下のしやすささえも計算されています。たとえばエビなんかは底でしか餌を食べず、しかもダラダラ時間をかけて食べるので、沈下性かつ沈んでもすぐに崩れないペレットが必要です。
エサをやりすぎてしまえば水質は悪化しますし、逆に少なくなってしまうと病気になりがちになったり、成長が遅くなったりします。バランスよく最適な量の最適なエサを給餌するのは思っているより結構大変だと思います。
水質管理と飼料管理を統合せよ
水質と飼料管理は密接に絡み合ってます。最大限魚の成長を促すためには、この2つの側面を統合して管理するのが理想的であることは論を俟たないと思います。水質が悪いとエサを食べる量や栄養の利用率に影響しますし、飼料管理が不十分だと廃棄物の発生が増え、水質が悪くなります。
データの管理先がバラバラという現実
しかし、実態はどうなっているかというと、理想的な状態からはまだまだ遠い状態にある生産者が多いというのが今の僕の認識です。
たとえばこんな感じです。
水質管理も、飼料管理も、成長把握も、歩留まりも、魚病対策も、原価構造も、本当は全て繋がっているんです。でもあらゆるデータが断片的にあったりなかったりするだけで、意味のある形で統合されていない。それが今の日本の養殖現場では日常的に起こっている。それが現実だと僕は捉えています。
バラバラの情報を一元集約させたい
複数の会社の自動給餌機を使っていても、データロガーやセンサーを使っていても、大丈夫。毎日確認する画面は僕らのソフトウェアだけでいい。そういう未来を目指してきました。いちいち違うサイトにログインしてデータを確認してタブを切り替えて…そんなことしていて養殖ビジネスの重大な意思決定が適切に下せるとは僕には思えません。そんなことさせません。
餌の仕入記録も利用履歴も在庫管理も、もう紙を1枚1枚見なくていいんです。Excelと紙を突き合わせてデータをポチポチ入れなおす。修正する。そんな血のにじむような努力を生産者がしなくていいようにする。そのために僕たちは文字通りこの1年間寝る間を惜しんでシステムを作ってきました。
告白します。裏側はぶっちゃけかなり面倒で大変です。僕もエンジニアのCTOもここまで複雑で難易度の高いプロダクトを創ったのは初めてです。システムの要件定義も画面設計もかなり悩みました。画面は何度も作って、何度も壊しました。正直、魚を養殖している人にこのサービスを届けられる日が楽しみで仕方ないです。面倒くさいところは僕たちに任せてください。
おいしい魚が食卓に並ぶ「当たり前」の日々を次の世代につなぐ
僕たちのビジョンです。僕たちは魚を養殖しているわけではありません。でも魚を育てている人たちの困りごとを解消し、業務効率を上げるサポートをすることはできます。縁の下の力持ちでいいし、僕たちが主役になる必要もありません。
生産者の方がおいしい魚をたくさん育てて、事業を継続してくだされば、今の子どもたちやその先の未来の世代に「魚がおいしいって最高だよね」と食卓を囲みながら笑い合える時間が残せる。そのために生産者の右腕になりたいんです。ソフトウェアでそれをやりたい。
ハードウェアがあるわけでもありません。僕たちは所詮、弱小スタートアップです。すべてのリソースはこのソフトウェア一本に注いでいます。
でも逆にソフトウェア一本に絞ったからこそ、養殖現場の生産管理で起こっている様々なデータを一元的に集約できるんじゃないかと思っているし、そこに挑戦したいと思っています。養殖に必要なありとあらゆるデータがすべて集まり、統合的に管理・分析ができるデータプラットフォーム。それが僕の作りたいものです。今はゼロですが、API連携できる先もどんどん増やしていきたいと思っています。
生産管理は一番地味です。一番めんどくさいです。当たり前すぎて誰も見向きもしない。でも僕たちは確信しています。生産管理こそが養殖ビジネスを成功させる鍵を握っていると。養殖事業で一番大事な領域。それが生産管理だと思っています。だからこそ、ここまで振り切ってサービス開発をしてきたんです。
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