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眉毛ハサミ

数年前に購入した眉毛を整えるハサミとコーム、毛抜きのセットから眉毛ハサミが消えて久しい。その時に初めて知ったのだけど、眉毛のハサミはコンパクトで刃先が緩やかなカーブを描いていて、眉毛のカット用に洗練されたデザインになっている。いちど使ってしまうと、鼻毛カット用のコンパクトなハサミでは使い勝手が悪く、眉毛ハサミを知らなかった頃には戻れない。

消えた眉毛ハサミは、きっと美意識に目覚めた娘のどちらかが部屋に持って行ってそのままになっているものと思われる。
娘たちの部屋を強制捜査という選択肢もあるのだけれど、捜査後のことを考えると怖すぎるので、意を決して薬局へ向かう。

普段はワックスくらいしか購入することがないので気にしていなかったのだけれど、男性化粧品コーナーってずいぶん充実している。陳列棚で区切られた通路の両サイド2列分が全て男性化粧品で埋め尽くされている。

加齢が原因としか思えないおでこのシワを隠すために前髪を下ろしている僕。
机の足にぶつけたときにできるような赤い斑点が数ヶ月もスネにできていることに気がつき、お医者さまにみてもらったところ、3秒で「乾燥による湿疹ですね」と診断され、保湿クリームを処方された。シワも湿疹も保湿が大切と悟った私の目に飛び込んできたのは「男性用のシワを目立たなくする保湿クリーム」。
しかも「これ一本で完璧!オールインワン」と表示されているではないか。
まさしく僕にぴったり。おもわず買い物カゴにイン。

さて、眉毛ハサミ
お目当てのもハサミ(630円)はすぐに見つかったんだけど、ハサミの横には「電動の眉毛バリカン(1,800円)」。思わず手にとって詳しく見て見ると眉毛の形を整えるバリカンの先端には「シャープに見せる5mmのカバー」と「ナチュラルに仕上げる8mmのカバー」と2種類が装備されている。
そういえば、会社の若い男性社員Kの眉毛はナチュラルな8mm、Sの眉毛は5mmくらいかも?なんて思い当たる節が...

50歳も近くなり、多くないとはいえ私の収入であれば、1,800円のバリカンを買う程度の贅沢はしても良いのではないか。いやいや、眉毛を整えるだけなら600円のハサミで十分だろう。毎日、眉毛を整えるわけでもないし、バリカンひとつ買うお金でハサミなら3本も買えてしまうよ、などと5分ほど棚の前で悩み、結果、ハサミをひとつ購入する。

しかし、僕が若かりし頃には、自分を美しく整えるのは女子のみであった。当時の僕は、美容的なことに気を使うことがなんとなく気恥ずかしかったものだから、いまの美容に気を使っている若い子たちをちょっと羨ましい目で見ている。いつからか見栄えの良い若い男子が増えたような気がする。すばらしいことである。

そういえば人間以外の動物に目を向けるとクジャクを筆頭に美しく飾っているのはオスと相場が決まっている。自然界ではオスがメスに選ばれる立場にあるからだ。
人間界でも同様に男子が女子に選ばれる傾向が強くなったということかなのかしら。いまさら美しさに目覚めても女子に選ばれることなどないですよ、などと正しいアドバイスを僕にしてはいけない。

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