詰将棋が実戦で役立つとき
詰まさないと負けの局面
将棋は実力が近いもの同士の対局だと、終盤に一手違いになることが多いです。そして時には、こちらの玉が受け無しの状態で相手玉を詰まさないと負けの局面になることもあります。私のこれまでの実戦でもそういう局面に何度もなりました。
今日は、詰将棋をやっていてよかったと思った瞬間をご紹介したいと思います。どれも実戦からそのまま持ってきた局面になります。宜しければ、皆さんも局面を見ながら詰め手順を考えて頂ければと思います。
実戦で現れた詰将棋 その壱
一局目はウォーズの実戦からです。ウォーズは、最長の持ち時間でも10切れなので終盤は時間が少なくなっていることが一般です。その中で詰みを読み切らなければならないので大変です。
相手が▲32金とこちらの玉に必死をかけてきました。
馬が効いているので、2二の地点に駒を足せば詰まなそうにも見えますがそれでも自玉は詰んでしまいます。例えば、△33銀と受けても▲22銀打からばらされて▲31角の筋で詰みます。つまり、この局面は相手玉を詰まさないと負けの局面です。
しかも、持ち時間が1分48秒しかないのでかなり焦ってしまう場面かと思います。
しかし、日頃の詰将棋の成果を生かしてここは相手玉を即詰みに打ち取ることができました。
手順は△27桂不成▲28玉△19銀▲27玉△26金▲同玉△44馬▲25玉△35馬▲16玉△26金までの11手詰めです。手順中△26金と捨てるのが好手で、▲同玉に△44馬が気づきにくい手順でした。
実戦で現れた詰将棋 その弐
次も私のウォーズの実戦からの紹介です。
こちらは、手数が長いうえやや変化もあるので詰ますのが難しい局面になりますが、やはり日々の鍛錬の結果が出て即詰みに打ち取ることができました。
局面は相手が△47馬と必死をかけてきたところです。▲28玉と逃げても△38歩成▲18玉(▲17玉は△28銀から簡単に詰み)△28金▲17玉△27金▲同玉△37馬以下詰まされてしまいます。
つまり、ここは相手玉を詰まさないと負けの局面になります。
こちらから王手をするには、▲41角くらいしかなさそうですが、△51玉と逃げてくれれば▲63角成で詰みますが、△62玉と逃げられるとどうも詰まなそうです。
そこで最初に▲64桂と打ちました。△同歩と取らせることで▲41角△62玉と逃げた時に63の地点に駒を打つスペースを作りました。手順としましては、図から▲64桂△同歩▲41角△62玉▲63香△71玉▲61香成△同銀▲72歩と進みます。この▲72歩が第2のポイントとなる好手で相手はどう応じても詰みになります。
この▲72歩のように相手の駒が複数効いている場所に歩を打つのは好手になりやすいです。以下△同玉は▲63角成△83玉▲84香△94玉▲86桂△93玉▲94金△92玉▲81馬までの詰みになります。こういう時に相手の47にいる馬の効きにも注意しながら詰まさなければなりません。
実戦は△同銀でしたので、▲63角成△61銀▲62金△82玉▲72馬△同銀▲71龍△92玉▲94香△93香▲82金までの詰みとなりました。初手の▲64桂から数えて実に21手詰ですね。ここではまだ持ち時間が2分以上あったというのもありますが、限られた時間で20手超えの長手数の詰みを読み切ることができたのも毎日解いている詰将棋の成果だと思います。
実戦で現れた詰将棋 その参
最後は、81道場での実戦からの紹介です。
81道場はウォーズと違って、切れ負けではないのでそれほど焦るということはないですが、終盤になると30秒の秒読みになるので詰ますにはやはり限られた時間で詰みを読み切る力が必要になります。
こちらの局面は、実は私が詰まし損ねてしまった例として挙げたものです。ただし、この場合は自玉がまだ詰まない形なことが幸いして勝つことができました。しかし、この局面は相手側(先手玉)に即詰みがありそうと睨んでいて実戦も詰ますつもりで王手をかけていったのに詰ますことができず悔しい思いをしました。
具体的な手順は、△28金▲47玉△38角▲36玉△27角成▲47玉△67飛成▲57合駒△56金▲48玉△38馬▲59玉△58金までの13手詰になります。初手の△28金が▲同玉に△39角の筋を狙った好手ですが、玉の左側が広いため気づきにくい手でした。
詰将棋は解く速さも大事
3つ目にあげた局面は、恐らく時間がもう少しあれば詰ますことができた局面でした。30秒の秒読みに追われて詰ましそこなってしまったというのが言い訳になりますが、日頃詰将棋を解く際には、秒読みでもちゃんと詰ませられるように正確性とともに解くスピードも意識することが大事だということを感じた一局でした。
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