琴引きの塩工房見学の話
こんにちは。
今日は丹後にある塩工房に見学してきた話を書きたいと思います。
文章化も普段と変えて、見学した内容をパートナーに話す会話を録音し、Claudeを使って文章化したものと組み合わせて記事にしてみました。
初めての試みですが、人に話すことでアウトプットし、かつそれが文字化されることでさらにインプットを深める作業になったので、色々試しながらやってみたいと思います。
琴引の塩って?
丹後半島には、歩くと砂が「キュッキュッ」と鳴く砂浜があります。それは砂に含まれる石英同士が擦れて音が出るのですが、綺麗な砂と綺麗な海水が保たれることで初めて音が出ます。その鳴く音が琴のように美しいことから「琴引浜」という名前で呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。この塩はその浜近くの海水を汲んできて、伝統的な平釜製法という昔ながらのやり方で作られた塩です。
平釜製法と工業的製法の製造工程には、大きな違いがあります。
平釜製法では、まず海水を大きな平たい鉄の釜に入れ、薪や木炭などの伝統的な熱源でゆっくりと加熱します。職人は火加減や海水の濃縮具合を慎重に調整し、長時間かけて水分を蒸発させます。このプロセスで、海水に含まれる様々なミネラル成分が塩に溶け込み、複雑な風味を生み出します。結晶化の際も、温度や濃度を繊細にコントロールし、大きさや形状の異なる結晶を生成します。
一方、工業的製法は、大規模な機械設備を用いて効率的に塩を生産します。海水や岩塩から、真空蒸発装置や電解槽を使って迅速に水分を除去し、純度の高いナトリウムクロライドを大量に製造します。このプロセスは均一で安定した塩を大量に生産できる反面、ミネラル成分の多くは除去されてしまいます。
平釜製法は少量生産で手間がかかりますが、自然の風味と栄養価を最大限に活かした塩を生み出します。工業的製法は大量生産と低コストを実現しますが、味わいや栄養面では平釜製法に及びません。両者の違いは、単なる製造技術の差だけでなく、食と自然に対するアプローチの違いとも言えます。
塩の味見をしてみて
実際に、作っている途中の塩をひとつまみ食べさせてもらいましたが、全然しょっぱくありませんでした。塩味はもちろんあるのですが、普段スーパーで買う塩のように、舐めて「しょっぱい!」という感じがない、初めての味覚でした。
そして平釜の横には結晶化された塩が置いてあります。
こちらは、海水の濃度を上げた後にゆっくり冷却することで結晶の形になるのだそうです。結晶化した塩の使い方について聞きそびれてしまったので、次回伺うときに聞いてみようと思います。
塩工房に行って感じたこと
「塩」と一言でいっても、その製造方法や工程によって完成品はまったく別ものになると学んだ体験でした。
塩=しょっぱい、砂糖=甘いという観念は、工業的に作られ、甘味だけ、塩味だけを精製して作られた製品を通して作られていたんだな、と思います。
精製された砂糖や塩に栄養素が少ない(ミネラルなどの他の成分を削ぎ落とすことが精製するという工程なので)ということは聞いたことがありましたが、違いを体感することでよりその納得度が深まりました。
そして、製造方法も地元の資源(木材)を使って作るやり方は環境にかける負荷も少ないし持続的なので、自然と共生するという視点でも価値のある、言い方を変えると理にかなった方法なんだな、と感じました。
今回は海水を使った塩でしたが、他にも岩塩や湖の海水、さらに製造工程の異なる塩の違いにも興味が湧いた工房見学でした。
おわり。