コミュニティで共創を生み出すための武器(ナラティブ)
この数年、世界的なマーケティングやブランドコミュニケーションの領域で、「ナラティブ」がトレンドになってきている。理解する上で、『ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力』(東洋経済新報社)を読み、これは共創の型作りのバイブルだと思ったので、それをnoteでメモります。
「ナラティブ」って何?!
分かってるようで、曖昧なナラティブとはを少しおさらいです。
【基礎情報の箇条書き】
ナラティブとは、「物語的な共創構造」
ストーリーでは企業やブランドが主役であるのに対し、ナラティブでは生活者が物語の主人公
ストーリーのように終わりはなく常に現在進行形であり、「これから起こること」を含む。
企業が属する業界や競合環境を舞台とするストーリーとは違って、社会全体を舞台
ビジネスにおけるナラティブは、消費者やユーザーはもちろん、従業員や取引先などのあらゆるステークホルダー(利害関係者)を、物語の「聴衆」としてではなく「当事者」として巻き込む
特定のターゲットに向けて共体験をデザインできるようになると、多くの人から共感、感動を得ることができる
ナラティブを生み出し、その構造の中でマーケティングや広告・PR活動を行うことで、業績や企業価値の向上を果たしている企業がナラティブカンパニー
なぜ今ナラティブなのか?高まりの背景
●「ニューノーマル」の世界に突入した
●「共体験」価値が高まっている
●「社会的距離」の見極めが必要になった
●「自分らしさ」がより一層問われ始めた
ナラティブどうやるの?実践のためのフレーム
● ナラティブはパーパスあってのものであり、ナラティブによって存在意義が伝わっていく
● パーパスを設定するには、「暗黙知」を可視化することが重要→ 企業の暗黙知となった創業時の思いを、社内で徹底的にヒアリングしたり顧客の声を聞いたりして可視化
●長期的に独占できるベネフィット市場を目指す
● パーパスの具現化がナラティブである。ブレない
●目的は「より知ってもらうこと」ではなく、何らかの価値観にもとづき社会的な認識(パーセプション)をつくること
●ジョハリの窓のフレームで、「私たちはこう見られるべきだ」という客観的なパーセプションを考える
【①ナラティブスクリプトの作成】
そのままですが、これが難しい。
大前提を忘れがち。それが以下。
「社会を舞台に、演者たる当該企業とステークホルダーが、どのような物語を永続的に紡いでいくべきなのか決めること」
そして、ナラティブは現在進行形であり、未来をも包含。共創物語の中で、ステークホルダーの体験を描くことをビジュアライズする。
●ナラティブを「描く」際には、まずナラティブの「タイトル」を決め、語りたい物語を明確にする。
● 次に「範囲」と「余白」を設定する。範囲の設定とは物語的構造の舞台とそこに登場する人物を決めること
● その決定根拠に自社のステークホルダー構造や成果イメージを使う
●余白の設定には、ステークホルダーが参加できる余地を残す
● 未来のステークホルダー体験を組み込む
【②ナラティブの実行】
注意したいのが、ナラティブの実行とはナラティブの共創であり、企業やブランドだけが孤軍奮闘してもナラティブは具現化しないということ。なんちゃって共創が散見される中で、体だけ整えているのものは長続きしません。すぐステークホルダーに見透かされます。
以下の要素が共創実行で大切になる。
①異なる価値観のターゲットをどう巻き込むか、②発信するメッセージを状況に合わせて変えていくか、③ ソーシャルディスタンスを見極めたうえでどうタッチポイントを最適化するのか。
上記の3つの観点での「マルチ化」「マルチエンゲージ」はナラティブの共創に不可欠。
ただ、共体験を明確にせずに、マルチエンゲージしても全く意味はないですよね。
世の中にある「共体験を見つけ」、「どのような価値、アイデンティティを共有するか」という視点から、可変性を意識しつつ共体験をデザインしていく必要がある。
【③ナラティブを検証し、効果測定する】
ナラティブのパワーをはかるとは、ナラティブそれ自体に人を動かす力やブランドへの貢献力があるかどうかの検証を指します。
世に出す前に仮説検証をする必要がある。主な検証項目は以下。
●共感度
●伝播度
●社会福利度
●ブランド関与度
●認識変容度
そして、成果を測るために、ナラティブが世の中に放たれたあとのコミュニケーション効果の測定が必要。
コミュニケーション効果測定における世界最大の専門組織AMECの「Integrated Evaluation Framework(統合型評価フレームワーク)」が最適。
共創コミュニティにナラティブを入れ込む3つの要素
企業によるSDGsの取り組みとナラティブは、パーセプションチェンジ、共創構造、未来視点の3つの観点から強い関連がある。
ナラティブの起点はパーパスにあり、あらゆる変革はパーパスなしには起こりえない。BXも同様である。
共創構造で進めていく必要がある。
顧客やステークホルダーの物語が不可欠なナラティブをベースに検討することで、コミュニティはその発想を維持でき、メンバーをはじめ、そのプロジェクトの関係者を同じ方向に向かせることが可能となる
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