見出し画像

トラウマ

 こんにちは。争いの火種です。フレンドとの通話でそういう話になり、記憶の整理のために日記を書くことにした。僕の、両親の話。家庭環境が複雑(だった)人はフラッシュバックすると怖いから、読み進めるのは自己責任で。僕は責任を取らないぞ。
 トラウマ……とタイトルにつけはしたが、トラウマなんだなと自覚したのは実は今日の今日。「よく思い出すんだよな」とは思っていたけど、そうかこれこそがトラウマなのか。



 僕の実家は典型的な機能不全家族だったと思う。虐待はもちろんのこと本当に子供のことを考えない両親だった。崩壊家族エピソードは数あるけど、書いていくのは性行為と愛情に関する話だ。当時は実家のデスクトップPCを家族全員で共有していたんだけど、主に使っていたのは僕と僕の母親。僕は当時から絵を描いたりネトゲをしたり今と変わらない使い方をしていて、母親はスワッピングの相手を探すのに使っていた。スワッピングとは複数のカップルがパートナーを取り替えてセックスをすることだよ。
 スワッピングが不貞行為に該当するかはさておき、今の僕は【それが当事者に必要なことで、全員の合意があるならしてもいい】んじゃないかと考えているよ。実の親に対しても。ただ当時の僕はその行動への理解がなくて、モヤモヤとした気持ちだったのを覚えている。はっきりと嫌悪感を抱えていたというより、ただ理解ができなくて、漠然と、そういう行為をしている両親に近寄りたくなかった。どうして両親の行いを知っているのかと言うと、PCの使用履歴を見てしまったのもそうだし、普通に僕が近くにいる場所でそういう話もしていたから。
 僕の両親は仲が良いのか悪いのかよくわからない。ほとんど毎日、喧嘩をしていたと思うし、二人ともこっそり僕に相手の愚痴を聞かせたりしていた。どちらかが手を上げた痕跡はなかったけど、怒鳴り声や泣き声はいつも聞こえた。会話内容からの想像でしかないけど、スワップ相手に嫉妬して悲しみ、それで喧嘩に発展することも少なくなかったんじゃないかな。でもどんなに酷い喧嘩をしても、当日の晩にはセックスをしていた。彼らの隣の部屋で、なかなか眠れない僕は耳にしたくもない嬌声を聞きながら朝を待っていた。
 セックスは恋人や夫婦が愛し合ってするものだと当時の僕は思っていたから、不思議で仕方がなかった。パートナーを取り替えてのセックスも、喧嘩の直後の最悪な状況でのセックスも、僕の認識を狂わせるにはじゅうぶんで、性嫌悪……とまではいかないけど、僕は今でも性的な目で見られたり触れられたりするのが苦手だ。たとえ相手が恋人だったとしても。セックスというものは未だによくわからない。僕が人に触れるぶんには構わないんだけどね。
 僕はあの家には邪魔だったんだと思う。

 あの頃の僕と母親は、顔を合わせればすぐに険悪な空気を作ってしまうくらいだったけど、今では電話ができる程度に関係が改善されている。数ヶ月前の僕のメンタルは最悪で、色々あって一旦実家に戻ろうとして親に連絡をしたんだけど、いま彼らは小さなアパートで暮らしているから部屋がなくて無理だということで結局帰っていない。そのときに、体調が悪いのか、大丈夫なのか、ちゃんと通院しているのか、心配するようなことを言っていたから驚いた(精神科サボっててすまん、先生)。
 僕が人生で初めて心療内科に通ったのは高校生の頃で、きっかけは両親との関係で心を壊したからなんだけど、子供だし田舎に住んでいたから両親の送迎と金銭の助けが必要で。通いたいとの提案には随分と母親にヒスられて、家庭の悪いことは全部僕のせいなのに、そんなところに僕を迎えに行くのも、僕のために金を出すのも嫌だと言われた。そんな母親が僕のメンタルを心配するのが、ちょっと……いや、かなり。不思議だった。
 どうして僕は両親が憎かったのか、ちゃんとした理由を思い出せない。関係は改善されていると思うのに、恐ろしいシーンはふとした瞬間に勝手に思い出される。これがトラウマらしいです。それで気分が落ち込むことはとても減ったけど、いつまで続くんだろうなぁとは思う。

 僕はこの先ずっと、きちんと人を愛せないだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?