異国に住むまで。-2

前回、出発前までの流れを書きましたが、今回は入国後についてをお話しします。

地元名古屋の空港から母親に見送り来てもらい、日本からのお土産を買い込んだりしながら、出発までの時間を過ごしていました。名古屋からフランクフルト経由フィレンツェ 行きで出発。一回乗り換えの一番便利な便です。他の航空会社だとあまり熟睡できないのですが、ルフトハンザのエアバスは音も気にならず、運転が抜群に滑らかなので、離陸着陸で身体が斜めになることがなく(胃が気持ち悪くならない)快適なフライトでした。

フランクフルトで乗り継ぎも待ち時間も多くなく、フィレンツェ に着いたのは夕方でもまだ明るい時間。友人に迎えを頼んでいたので空港から直接、これから住むシェアアパートに移動しました。大家さんにもだいたいの到着時刻は伝えてあったので、アパートに付き、友人に荷物を運ぶのを手伝ってもらって、入居。最初の家賃を払い、鍵をもらい家の使い方を説明されました。同居は他に日本人の学生が二人、一人は東京からの在学中の大学生で同じ期間に同じ学校に行く学生、もう一人は社会人で一年の留学をもうすぐ終えようとしていました。

鍵の話に戻りますが、イタリアの扉の鍵はだいたい硬くて回しづらいので、その後ひたすら練習の日々。(そのうちコツを覚えてなれます) 長期滞在の最初の夕食は迎えに来てくれた友人たちと一緒にピッツァを食べに行きました。

その日を境に長期のイタリア生活が始まりました。それまでのイタリア滞在と違い、旅行やホームステイではなく自分で「生活する」ことは、どれだけイタリア現地の人とやっていくかだろうと思っていました。確かにその通りなのですが、当初は留学ということもあり、実際にはイタリア人達よりもクラスメイトの方が一緒にいる時間は長かったのでした。一番最初のクラスは中級クラス。入学後のレベル分けテスト後、中上級に入ることになりましたが、実は最初の日に受けた初級のテストで「こいつ初心者じゃない」と判断され、次の日にもう一度中上級のテストを受けなさいと言われ、テストを受けてから教室に入ったので、授業の最初からいた生徒達が授業しているところに入っていったわけです。

そのクラスには5〜6人ほどの日本人学生がいて、何人か他の国の学生がいたのですが、最初から最後まで一人のスペイン語圏学生が話し続けて、他の学生が発言を一切しないという授業を見て、「つまらなさそう」と一瞬で思ってしまったのです。次期で5〜6人の日本人学生達とは合流することになるのですが、そのクラスはバランスが悪かったといえば良いのか、文法の成績の良い日本人学生は中上級クラスまでは結構いくけれども、その後会話のアグレッシブさ(開口する間というか)で他の学生にどうしても負けてしまうので、単純に言えば、講師の授業中のハンドリングがイマイチだったのが一目瞭然でした。(実際、時期以降この講師は継続採用されなかったのです)

ということで、中級クラスを見に行き、授業を見てすぐに気に入りました。講師は明るく活発なな女性講師で、クラスメイトは多国籍。スイス、ドイツ、フランス、スウェーデンのヨーロッパ勢、メキシコ、ブラジル、ヴェネズエラの南米勢、日本人、台湾人のアジア勢、トルコ人、アラブ人、アフリカ大陸からの学生と北米こそいなかったものの、中級クラスは「世界のあちこち」から来ていました。迷いなく中級クラスからスタートしました。

実はイタリア語学習の中で、一番難関なのは中上級なのですが、私の2年間の学生生活の中では中上級クラスにいたのは一期だけ。中上級は文法の最難関部分なので、本当はもう少し中上級をやらなければいけなかったのですが。

かくして、中級クラスから文法を復習しつつ、使い慣れていないものを強化できました。文法中でも大事なのが代名詞。代名詞がないと先には進みません。この講師は仲良くなり、その後も2年間の間に合計4期(4クラスを4講師でローテーション)に渡って教わりましたが、素晴らしい講師でした。仲良くなって、就職活動の履歴書作成まで手伝ってもらったりと、とても感謝しています。

クラスメイトは上記に書いたように国際色豊かで、中でも仲が良かったのがトルコ人とブラジル人。全くもって土地も育った環境も違う彼女達と互いに拙いイタリア語で会話するのが楽しくて常に一緒にいました。一緒に出かけたり、日帰り小旅行に行ったり、話す話題も尽きることはありませんでした。期が終わり、彼女達の出発の日は前日まで一緒に彼女達のアパートで過ごし、最後に彼女達が出発していくのを涙で見送りました。いい思い出で、もちろん今でも連絡をとっています。

留学して最初のクラスは本当に重要です。これで留学が楽しいものになるかならないか決まります。短期留学の場合は一期のみになることもあります。講師とクラスメイトのお陰で私の長期イタリア生活の最初の一歩は充実していました。

この後は、クラスメイトも毎回変わっていくので、また別の機会に話します。コロナウィルス感染防止行動制限により、現在は3月以降はイタリアは学校が開いていません。オンラインのみの授業になっています。オンラインでは「遠隔」留学生同士の交流は難しいだろうなぁと。それとも、これがきっかけであって今後はオンラインが主流になっていくのか…。留学生活を振り返ると、今のこの状況は非常に寂しく感じます。オンライン授業後のオフライン交流会が頻繁にできる日はいつになることでしょうか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?