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夏も終わりに近づき…

今日は8月31日。お天気も曇り空で今日は雨の予報で、すでに秋の気配を感じます。つい先日まで一週間ほどバカンスでエミリアロマーニャ州の海側に滞在していて、気分リフレッシュして来ました。

バカンスといっても何からのバカンスなのか、私は3月9日から仕事をしていませんので、今までとは全く別の意味を持つ「バカンス」となったのでした。通常、私は冬に休暇を取ります。だいたい11月の終わりから12月中旬くらいの期間。以前お店で働いていた時はクリスマス休暇を取ったりしていました。なので、イタリアに移住してから私の休暇といえば、冬。日本人観光客が11月〜12月年末前に忙しくて旅行しない時期が私のお休み期間。同僚は1月の中旬から2月にかけても長く休んだりします。観光シーズンが始まるのが3月〜4月だからですが、日本人や他のアジア人は1月中旬からこの時期に欧米人が旅行しないのでリーズナブルに旅行ができるので、私は年末前に休暇を済ませています。今年もたくさん来ました。ロックダウン前までは。

私にとってはロックダウン以降、ロングバケーションが続いています。おそらく年内は仕事には復帰できない見込みです。そんな中、初めての夏のバカンスに行って来ました。いつもとは反対の旅行者の立場です。彼の両親が毎年夏に行くリミニの近くのビーチリゾートホテルに一緒に私達も同行しました。彼は15〜16歳くらいまで来ていたのですが、それ以来初めてだったので、約30年ぶりのビーチリゾートホテルバカンスに。30年前と比べて変わったこと、変わらないこと。複雑な気持ちと懐かしい気持ちだったようです。

私達はビーチリゾートホテルに滞在しつつも、半分以上は彼両親とは別行動。私も彼もビーチにずーっといるのが飽きてしまう性格なので、彼両親はホテルとビーチの往復だけに対し、リミニ、グラダーラ城(マルケ州)、ロレート(マルケ州)、サンマリノ共和国🇸🇲、サンレオ(エミリアロマーニャ州)と車であちこち観光していました。東のアドリア海側の今回訪れた場所は私は初めてでした。サンマリノを除いて、今回行った観光地はやはりイタリア人観光客が圧倒的に多く、グラダーラ城はコロナ対策で入場人数制限をしていたのもあり、朝一で入場した私達が城から出ると長い行列が出来ていました。例年8月はスペイン、ギリシャ、クロアチアなどの国外旅行に行っていたはずのイタリア人は今年は国内旅行でバカンスを過ごしているため、どこに行っても人がいました。

リミニは念願のテンピオ・マラテスティアーノを訪れたり、ローマ帝国時代に作られた橋や凱旋門を見に行きました。ルネッサンスとローマ時代が楽しめる街ですが、観光地としてはほとんど知られておらず、産業とビーチリゾートが中心です。

グラダーラ城はエミリアロマーニャ州からマルケ州に入ったところにある、マラテスタ家(13〜15世紀のリミニ、ペーザロ、チェゼーナの領主)の要塞で、ダンテ・アリギエーリの神曲「地獄編」第5歌に出てくるパオロとフランチェスカの悲劇の舞台にもなった場所です。

ロレートはアンコーナ県にある集落で、ナザレの聖母マリア様の家が十字軍時代に運ばれてきた聖地。サントゥアリオ・デッラ・サンタ・カーザ(Santuario della Santa Casa、正式名称Papale Basilica Santuario Maggiore della Santa Casa e della Madonna di Loreto) は、ルネッサンス期のブラマンテ設計による美しい彫刻の壁が施された「聖なる家」が真ん中にある教会で、ブラマンテやサンガッロが建築に携わっています。教会内部は写真撮影禁止です(インターネットで画像は見つかります)。ロレートの聖母(像があります)に会いに行ってきました。さすが巡礼地。大切な誰かの為に祈りを捧げる愛に満ちています。

ロレートからすぐのレカナーティという街も訪れました。イタリア人なら誰でも知っている(学校で習います)ジャコモ・レオパルディという19世紀に活躍した詩人が生まれた街で、生家は博物館になっています。残念ながら予約なしで行ったため、入れず。次回に持ち越しです。詩を暗記して再訪することを誓います(笑)

サンマリノ共和国は、エミリアロマーニャ州の中にある独立国家。
1631年にローマ教皇ウルバヌス8世が独立を承認して世界最古の独立共和国となりました。その後、1815年には、ナポレオン戦争後ウィーン会議でサンマリノの独立が再確認されています。その後イタリア統一運動で1861年にイタリア王国が誕生しますので、独立を貫き続けるミニ国家です。ここは標高が800m近いティターノ山の上にあり、攻略するのが大変だったのでしょう。ちなみに、独立国家ですので、イタリア人も関税フリーなので、買い物にもお得。フィレンツェ製の革バッグをお得に購入してきました。山頂にある要塞は当時のものそのままで、標高800mからの景色も最高です。

サンレオ(San Leo)の要塞が素晴らしかった。かのカリオストロ(Alessandro di Cagliostro、稀代の詐欺師として名が広まった人物。本名はジュゼッペ・バルサーモ(Giuseppe Balsamo))が投獄されていた場所。
カリオストロといえば、ルパン三世のカリオストロの城を思い出しますが、
仏推理小説、モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズの『カリオストロ伯爵夫人』含め、様々なフィクション作品のモデルになっている人物です。医師、錬金術師、フリーメイソンと謎の多い人物ですが、マリーアントワネットの首飾り事件がきっかけとなったのか、逮捕されて当初はサンタンジェロ城に投獄されていましたが、サンレオの要塞に移され、1795年8月26日に投獄死しています。カリオストロが投獄されていた独房は、当時天井の扉から投獄され、壁に扉がなく脱出は不可能。廊下の階段上に見張り窓もありました。
カリオストロの他にもたくさんの独房があり、処刑道具も展示されています。当時のものそのままでかなり生々しいです。
そして、武器展示室のその中に、あのワルサーP38(Walter P38)を見つけてルパン三世のエンディング曲を歌い出す私。
サンレオは要塞だけでなく、街のドゥオモ(Duomo di San Leo)とその前にある小さな教会Pieve di Santa Maria Assunta)もロマネスク様式(12世紀初頭)で美しく、素敵な眺めでした。

観光の他、ビーチにいたのは一週間のうち2日。それでもすっかり日焼けした私。今年の夏を存分に楽しんだのでした。今年でなければ、こんなバカンスは出来なかったかもしれません。コロナのおかげというべきか…ただし収入はない身なのでまだまだ贅沢するのは我慢の一年です。


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