偶然と必然 第3話 〜彼女はハイネケンを注文する〜
21時20分
駅の改札口を出て、左に曲がる。
通りに沿い、1ブロック歩いた角にその店はある。
『風と共に去りぬ』の大きな看板が目印だ。
1階は同名のカフェで、2階がバーになっている。
君は狭い階段を上り、そっとドアを開ける。
君は今、バーにいる。
どの席に座っているのだろう?
カウンターの席は埋まっている。
よって君は窓側の席に腰掛ける。
君が1人でこの店に来たのは今夜が初めてだ。
いや、君が単独でバーに来ること自体初めてかもしれない。
女性が1人で呑