マガジンのカバー画像

偶然と必然 全7話

7
マスターからの突然の電話。バーで僕を待つ謎の女性とは?果たして僕はその女性に会えたのか?
運営しているクリエイター

#時間

偶然と必然 第4話 〜思考は巡る〜

21時35分 列車の窓に映る景色はいつもと同じだ。暗闇と小さな光の洪水。しかし、それを眺める僕の心境は全く違っていた。 電話を切ったあと、僕の頭の中を「?」の文字が暴走する。心臓が高鳴っているのがわかる。血圧も急上昇する。当然、僕はこう思う。 一体、誰? 僕の携帯番号を知っているなら、直接電話をかけて来る筈だ。ということは、今の僕の電話番号を知らない女性だ。 まったく検討がつかない。とりあえず可能性のある候補をリストアップしてみる。 A子?Bちゃん?C美? でも

偶然と必然 第5話 〜彼女の視点〜

21時35分 「うん、わかったわ。はよおいでや」 マスターは携帯電話を切って、優しく言う。 「彼やけど、あと30分位で来るみたいやから、ゆっくりしてってね」 そう言い残し、マスターはカウンターへビールを取りに戻る。 君はホッとする。 彼は来る。 君は時計を見る。 少し、帰りの電車も気になる。 よく冷えたハイネケンの瓶が君の前に置かれる。 ありがとう。 君はマスターに微笑む。 君はビールを少しだけ口に含む。 「そうそう彼ね、スキンヘッドしたからびっくり