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円環を巡る問い

宇宙で起こる素敵なできごとのひとつに星の消滅がある。

あの太陽やこの地球がきれいさっぱり消えてしまうのだ。どんなプロセスを経るのか、ちょっと地上の人間のスケールでは想像できない。

銀河を外から眺めてみると、百年にひとつふたつ、まばゆい輝きを放って四散する星がある。何十億年も燃え続けた末に、ついに芯まで燃やし尽くしてもろもろと中心へと落ちていき、その巨大な位置エネルギーが一挙に熱と光になって周囲に放出されるのだ。

太陽が何兆年もかけて燃やすエネルギーを十秒ほどで、銀河ひとつ分に匹敵するような光を放つのだから死ぬほど眩しい。この猛烈な輝きのなかで巨大なる質量星が消滅する。

ところで消滅とは言ったが、ばら撒かれた構成物質は新たな星の材料となる。また爆発の衝撃波は星間物質の密度に揺らがせ、これもまた新星の誕生を促す。

大樹の死が森に、巨鯨の死が海に、無数の新たな生をもたらすように、すべて終焉は始原に通じている。私はそれを愛したい。