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なんの不思議もない達人

善意の達人がいて、無関心の達人がいる。感謝の達人がいて、否定の達人がいる。

彼らは人より経験を積んでいて、無数の失敗を重ねている。パターン化していて、無意識で動ける。いつでも観察しており、微小の差異を見抜ける。

得たものを常に返そうとする。機会をすべて活かそうとする。喜んでやっていて、楽しんでやっている。自分のために努力していて、励むのが日常になっている。

特別なことはなにもなく、日々を重ねてそうなっている。自分で選んだ反復のすえ、ひとつの不思議もなくそこにいる。本人にとってはそうで、他人にとっては分からない。

なんにせよ世の中には敗北の達人がいて、また満足の達人がいる。束縛の達人がいて、安心の達人がいる。