誰かの日記　一月九日

　いつも通り出社。特に何もなく。昼休みにかわむらに行ったら閉まっていた。会議中に郡馬さんが椅子を壊したが、その壊し方が凄まじく、大破と言ってもよい壊し方で、普通に「なるほど」とか言いながらのけぞっただけで椅子をここまで破壊できるのは最早才能というか、とにかく笑いを耐えた。喫煙所で早川と営業部の美咲さんがかわいいという話。四十にもなって「かわいい」とは恥ずかしくもあるが、それを気にしていることが伝わるのはもっと恥ずかしい。「美人だね」などと言って躱す。四十と言ったらかなりのおじさんだが、中身は十七から変わっていない。まだ二十代の早川とそのような話を対等に交わせるからこそ、俺は独身なのだろう。心と体が乖離していくことについて考えが足りない。考えたくないのだろう。
　厳しい寒さ。薬局でカロリーメイトフルーツ味を買い、ピンサロ。今思うと変なタイミングでカロリーメイトを食べた。久しぶりにフリーで入り、まあまあかわいい子。BGMでclass『夏の日の1993』がかかっており郷愁の念。終了後に嬢の「MacBookProを買ったもののすぐに壊れた話」を拝聴。ビール二本飲み、スーツのまま気絶のような睡眠。現在４時１分。変な時間に起きてしまった。夜中に目を覚ますと昔のことを考えてしまう。風呂に入ろうと湯船を洗っていると「ぬ」の字になった髪の毛が底にへばりついており貴子のことを考えた。元気だろうか。明日は跟島さんに会うので、明日というか今日だが、郡馬さんが椅子を壊した話をしよう。