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「Think clearly」に学ぶ(後編)

今日は、先回に続き、
ロルフ・ドベリ著書
Think clearly」を紹介したいと思います。


では始めましょう。


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▼ 不要な心配ごとを避けよう
  不安のスイッチをオフにする方法

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どの動物も、進化する過程で
「臆病さの度合い」を強めてきた。


人間も例外ではない。

私たちが朝から晩まで、心配事を抱えているのは、そのためだ。


内心に抱える「不安」は、
私たちの脳内ソフトウェアを構成する標準的な部品のひとつだ。

「不安」は、
生物としてのプログラムに
しっかり組み込まれているため、
排除するのは不可能に近い。


私たちは常に、
「不安」を感じていたからこそ生き延びたのだ。

したがって、
「不安」を感じること自体は、悪いことではない


だが問題がひとつある。

いまやあなたの臆病さは、
命を脅かす危険とは直結していないということだ。


あなたの頭の中に押し寄せる問題は、
実際には危険でもなんでもない


あるいは、
何かにつけて心配するのをやめられないから
心配事を抱えているだけで、
それらの90パーセントは実は不要なのだ。


真夜中に地球温暖化や、
天国に行けるかどうかを
心配してみてもなんにもならない。

ただ眠れなくなるだけだ。


私たちは敵に対して不安を覚えるだけでなく、
ありとあらゆることについてくよくよ思い悩む。

おまけにくよくよ思い悩むのは、
本当の問題から気をそらすための、
人間お得意の逃げ道でもある。


抽象的な問題に逃げ込んで、
現実の問題に向き合うのを避ける

悩んだほうがラクなのだ


ストア派と呼ばれる哲学者たちは、
心配事を取り除くのに次のような方法を推奨していた。

「あなたに影響を与えるものと、与えないものを見極めなさい。

 あなたに影響を与えるものにはきちんと取り組むべきだが、
 あなたに影響を与えないものについては、考える必要はない」


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▼ 性急に意見を述べるのはやめよう
  意見がないほうが人生がよくなる理由

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短い時間で論理的な答えを見つけ出すのは、
ほとんど不可能と言っていい。


私たちの脳は、意見を噴き出す火山のようなもの。

ひっきりなしに何かに対する、
意見や個人的な見解を発信している。

だが、答えを発信する際、
私たちが犯しがちな間違いが3つある。


ひとつ目は、
自分が興味のないテーマにも
意見を述べてしまうことだ


私たちの意見の火山は、
手近にあった新聞を開いただけでも動き始める。

だが、興味のないことに対する意見にはふたをしておこう。


ふたつ目の間違いは、
答えられない質問にまで発信してしまうことだ


次に株式市場が崩壊するのはいつか?

次の夏の天気はどうなるのか?

誰もそんなことには答えられない。

専門家でも無理だ。


答えられない質問にまで、
意見を噴火させてしまわないよう注意しよう。


みっつ目は、
複雑な質問に、性急な答えを返してしまいがちなことだ

3つの間違いの中でも、もっとも深刻なのがこれである。


私たちには、
質問が複雑な場合には特にそうなのだが、
「即座に直感で答えを出す傾向」がある。


この思考過程は心理学で、
感情ヒューリスティック」と呼ばれている。


直感による答えの判断は非常に速く、単純だ。


一面的で、
「ポジティブ」か「ネガティブ」か、
「好き」か「嫌い」かの二択しかない。


たとえばこんな感じだ。

誰かの顔を見たとする、「好き」。
どこかで殺人事件があったらしい、「嫌い」。
週末はよい天気になるようだ、「好き」。


こうした直感は複雑な質問の場合には、
正しい答えを出せるものではない。

ところが私たちは、それを正しいと勘違いしてしまう。


少し前、あるジャーナリストに、
私の政治的な傾向を聞かれたことがあった。

私は彼の目をまっすぐ見て、「わからない」と答えた。

すると彼はボールペンを持つ手をおろし、
私の答えが理解できないとでも言いたげな
作り笑いを浮かべた。

「わからないとは、どういうことですか?」

「その質問について、
 ちゃんと考えてみたことがないから、
 わからないということだよ」。

「でも何かしら意見はあるでしょ!」

「意見はないんだ」


ありとあらゆることに、意見を述べなくていいのは、
とても解放感がある。


それに、恥ずかしがらなくても、
意見がないのは「知能の低さ」の表れではない。

「知性の表れ」だ


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▼ 期待を管理しよう
  期待は少ないほうが幸せになれる

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脳は、常に何かを期待している。


絶えず期待を生み出しつづける、機械のようなものだ。


ドアの取っ手を握れば、そのドアが開くのを期待する。

蛇口をひねれば、そこから水が出るのを期待する。

私たちは無意識のうちに、こういう期待をしている。


だが脳は、
「不定期に起きる出来事」に対しても期待する。


では期待には、どう対処するのが一番いいのだろう?


私は、救急医が治療の緊急度にしたがって、
患者に優先順位をつける「トリアージ」のように、
あなたの考えを整理することをおすすめしたい。


あなたの頭の中にある考えが、
「しなければならないこと」
「したいこと」
「できればいいなと思うこと」
のどれに当たるかを見極めるのだ


「しなければならないこと」は必然、
「したいこと」は願望、
「できればいいなと思うこと」は期待である。


これら「3つの思考」を明確に区別しよう。

「絶対に社長にならなきゃいけない」とか、
「小説を書かなければならない」
「どうしても子供が欲しい」
といった言葉を耳にする機会は多い。


だが、どうしても「しなければならないこと」は、
実はこの中にひとつもない。


息をしたり、
飲んだり食べたりする以外のことはしなくても、
生きていくのにまったく支障はない。


「願望」を、人生の必然事項のように考えていると人は、
気難しく、不機嫌になる。


人生の「必然」事項だと、
あなたが思い込んでいるものは、
できるだけ早くそのカテゴリーから外したほうがいい。


人生の「必然」事項と「願望」に続く、
最後のカテゴリーは、「期待」である。


あなたが大きな失望を感じる時、
その原因の多くは期待をきちんと管理できていないことにある。


特に「周りの人たち」に対する期待だ

周りの人たちが、
あなたの期待に応えてくれる確率は、
天気があなたの期待に応えてくれる確率と同じぐらいしかない。


期待について、もっと自覚的になったほうがいい。


私たちは、期待という感情を風船のように扱っている。

無計画にどんどん高いところまで上昇させてしまうため、
ついにはパチンとはじけて、
空からしなびた小片になって降ってくる。


「必然」と「目標」と「期待」を、
いっしょくたにするのはやめよう

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いかがでしたか。


■ 不安で思い悩むのはやめよう

■ ありとあらゆることに意見することはやめよう

■ 期待は叶わないと自覚しよう


こんなテーマが、今回のお話でした。

私は職場の仲間には、意識的に仕事上の期待をするようにしています。


なぜなら、
親や上司に期待された人間は、
まったく期待されなかった人間よりも、
良い成果を残すと言われているからです。


期待した相手が、
「失敗した」「忘れた」「できなかった」
このような結果になったとしても、失望することはありません。


また次に、頑張ればいいだけのことです。

♯Think clearly 不安 ♯感情ヒューリスティック


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