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子どもは褒めて育てるべきってホント?

今日は、橘玲著書「バカと無知」から、
ほめて伸ばそうとすると落第する、
というお話をしたいと思います。

では、始めましょう。


現代社会では、
「自尊心」や「自己肯定感」が重要だとされている

さまざまな調査で、
自尊心が高いと社会的・経済的に成功し健康で幸福度が高く、
自尊心が低いと逆の結果になる(貧乏で不健康で早死にする)
ことがわかったからだ。

「高い自尊心があれば何もかもうまくいき、
低い自尊心ではすべてがうまくいかない」
という話が1970年代に広まると、
アメリカ社会に空前の「自尊心ブーム」が起こった。

その結果、教育現場では、
「子どもは褒めて育てるべきだ」
「批判は自尊心を傷つけるから避けなければならない」

などといった説が大真面目に唱えられた。

こうした教育法は、やがて日本にも導入された。

だがその後、通説に異を唱える研究が、
次々と発表されるようになった。

「自尊心を高める」教育をしても、
思ったような効果が出なかったのだ。

決定的なのは2003年、
自らも自尊心の重要性を信じていた心理学者のロイ・バウマイスターが、
自尊心と子どもの成長の関係を調べようと
1万5000件もの研究をレビューし、
予想に反して
「自尊心を養っても学業やキャリアが向上することはなく、
 それ以外でもなんらポジティブな効果はない」

という決定的な事実を発見したことだった。

この問題が難しいのは、
そもそも「自尊心」とは何なのかがよくわからないことだ。

一般的には、
「あなたは価値のある人間ですか?」
「学校や職場でうまくやっていますか?」
「みんなから好かれていますか?」
などの質問で自尊心を計測する。

だが、それは主観的な評価で、
うぬぼれや優越感だらけのナルシストや、
誇大妄想に支配された躁病患者もきわめて高い自尊心を示すだろう。

そこで研究者は、自尊心を客観的な指標と比較しようとした。

重要なのは高い自尊心をもつことではなく、
それが結果に結びつくかどうかなのだ

高い自尊心の効果は、「自己充足的予言」で説明される。

「恵まれた家庭に生まれ育った賢い子どもは、
学校でうまくやっていけるので、成績もよく自尊心も高い」のだ。

このように、
「自尊心は原因ではなく結果」だという当たり前のことが、
科学的に証明された

自尊心が高いと学業成績がよくなるのではなく、
テストでよい点数を取ることで自尊心が高まるのだ。

研究者は、「自尊心は報酬だ」と説明する。

頑張って勉強して、
よい点数をとって教授から褒められることで自尊心が高まる。

だが試験を受ける前から教授に褒められると、
報酬を先に受け取ることになるので、
努力しなくなってしまうというのだ。

50メートル走で最下位だった子どもに、
1位のトロフィーを渡しても足が速くなるわけではない。

「ほめて伸ばす」という教育方針のバカバカしさはこれに似ている。

自尊心が高いと、物事に楽観的で
「わが道を行く」タイプになると考えれば理解できる。

難しい問題でも、
「解けるはずだ」と楽観的になって頑張るが、
「解けないかも」と言われるとさっさとあきらめ、
他人のアドバイスはあまり聞かない。

それに対して自尊心が低いと、
「自分には解けない」と悲観的になるが、
あきらめる決断も出来ずにぐずぐずし、
目上の者に依存しがちになる。

自尊心が高いと浮気や離婚が多いとか、
自己中でまわりに気を使わずに嫌われるなど、
マイナスの効果も明らかになっている。

以上をまとめると、
「自尊心が高くても何もかもうまくいくわけではなく、
教育や子育てで自尊心を高めようとすると、
かえってヒドいことになる」

という話になるようだ。


常識は覆る。

今回のお話は、そんな気がしました。

私が当たり前と思い込んでいたことも、
突然、間違いだったと言われることがたくさんありました。

「褒めて伸ばす」
誰もが正しい指導法と信じていた、
この方法も完璧ではなかったようですね。

♯橘玲 ♯バカと無知 ♯自尊心 ♯自己肯定感
♯褒めて育てる ♯報酬 


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