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Fintertechの社長に就任しました ~「Web3金融機関No.1」を目指して~

このたび、2023年4月1日よりFintertech(フィンターテック)の代表取締役社長に就任しました相原(@Kaz_Aihara)です。

大和総研で証券システム開発や先端IT技術のR&Dに従事するエンジニアでしたが、2015年に暗号資産に初めて触れた際の感動をきっかけにWeb3領域での活動を開始し、Fintertechに創業時からジョイン。そこから、デジタルアセット担保ローン事業開発などの5年間の活動を経て、このたび社長を拝命することとなりました。

社長交代という節目なので、これまでのFintertechの歴史を振り返りつつ、これから成し遂げていきたいことをこちらのnoteにて発信したいと思います。大企業ベンチャーでの新規事業開発って実際どうなの?という疑問にも可能な限り答えられるよう意識して書きました。そんなこんなで書いてみたら思った以上に長文になってしまいましたが、初出し情報盛り沢山となっていますので、よろしければ最後までお付き合いください。

(Fintertechを初めて知っていただく方のために、本編の前に簡単な会社説明を挟んでおきます。)


Fintertechは大和証券グループ本社とクレディセゾンによる合弁会社で、2018年に先端テクノロジーを活用した次世代金融サービスを創出するべく設立されました。 創業から5年を経た現在は、暗号資産を売らずに資金調達が可能な「デジタルアセット担保ローン」、未来をわかちあう投資を提供する貸付型クラウドファンディングサービス「Funvest(ファンベスト)」、クラウド型応援金サービスの「KASSAI」、オーダーメイド型不動産投資ローン「不動産投資プライムローン」の4事業を展開しています。



↓↓↓↓本編ここからです↓↓↓↓

Fintertechの紆余曲折の5年間

創業前:創業のきっかけは社内部活動(のような取り組み)

2015年頃のFinTechブームを受け、大和証券グループ横断でのワーキンググループが複数立ち上げられました。Fintertech創業のきっかけは、このうちの1つ「ブロックチェーン分会」での活動です。グループ各社から集まったメンバーが放課後の部活動のような形で暗号資産・ブロックチェーンに夢中になって取り組んだ結果、経営陣からそのポテンシャルへの期待を獲得し、出島組織として会社が設立されることとなりました。
新会社は大和証券グループからの出向者10名での船出となりました。これまでとは異なる目線で全く新しい金融事業を創り上げる、という想いを込めて、社名はFinance + Entertainment + Technology でFintertechとなりました。

ロゴは「人々が家族のように繋がり手を取り合う未来を金融の力で実現する」という想いから

創業期:事業立ち上げに苦戦する日々・・・でも振り返れば後に向けた仕込みも

まずは社名に違わぬよう、これまでの金融機関にはない形での会社づくりをしよう、ということでまさにゼロからの会社作りがそこから始まります。先ほどは船出と書きましたが、実際には船出するための船を作るところからのスタートだったと思います。
そこから苦労しながらも、前任の武田社長のリーダーシップのもと、迅速な意思決定フローの確立、先進的なOA環境の整備、フラットな組織風土の醸成、などが徐々に形となっていきました。こうしたベンチャー的な会社基盤は社員数が40名まで拡大した現在も維持されており、後ほど書きますが新規事業開発において大いに貢献することとなります。

手狭になったレンタルオフィスからの移転先(内装前)
内装完了後の新オフィスはすっきり広々(今は半数リモートワーク位が丁度良い感じ)

しかしながら、創業からしばらくの間、新規事業開発の点では非常に苦しい日々が続きました。

創業当初、実は今とは異なる暗号資産関連事業の準備をかなりのところまで進めていたのですが、諸事情あり断念しています。また、現在提供中の貸付型クラウドファンディング「Funvest」(ファンベスト)ですが、クラウドファンディング業界での不祥事多発の影響を受け、事業開始までに想定以上の時間を要することとなってしまいました。他にも、(これは大企業ベンチャーあるあるだと思いますが)親会社の事業提携先との大きな協業検討が複数進みましたが、結果には結びつきませんでした。このあたりの内情は初公開ですが、今後の糧にするべく吐き出しておきます。
一方で、後に成果に結びついたものもありました。それが2020年2月のクレディセゾン資本参加から生まれた新規事業と人材交流です。
苦しい日々ではありましたが、多くの経験から得られた知見も含め、その先に繋がる仕込みの時期でもありました。

事業立ち上げ期:大企業ベンチャーの壁に苦戦→壁は実は味方だった

創業期の苦しい日々、仕込みの時期を経て、2020年~2021年には何とか4つの新規事業が立ち上がりました。
私が事業開発を担当した「デジタルアセット担保ローン」は、銀行や証券会社では価値を判断できない新たなアセットに対して、金融機関としていち早くその価値を認め、暗号資産保有者、暗号資産業界に貢献するというコンセプトで事業開発をスタートさせました。

創業期に培ったベンチャー的な会社基盤も功を奏し、大企業のなかであれば決してできないような思い切った商品設計も形とすることができました。これはイケる!という感触をもってチーム一丸となって事業開発を進めていましたが、ここで大企業ベンチャーの壁に突き当たることとなりました。リーマンショック等の数々の危機を乗り越えてきた大企業には様々な判断基準が存在するのですが、我々の新規事業はことごとくその基準に抵触していたのです。これによる調整のために多くの時間を費やし、商品設計もいくつかの修正を余儀なくされました。
ところが、当時は大変苦労させられたこの大企業ベンチャーの壁ですが、暗号資産業界での数々の騒動の際には、お客様にとっても我々にとっても防御壁の役割を果たしてくれることとなりました。この経験を通じて、「大胆な商品設計×大企業ガバナンスへの対応」が大企業ベンチャーの解だと痛感しました。何より、こうしたプロセスを経ることで大企業の潤沢なリソースにアクセスできるため、今思えば苦労というほどの苦労ではありませんでした。(喉元過ぎて忘れているだけかもしれませんが。)
他の3つの事業(リンクは以下)でも大なり小なりこうした要素が入っていますし、これからの事業開発においてもここは変わらないと思っています。


事業グロース期:←いまここ

壁も味方につけていよいよグロース期ということで、2022年度の全社営業収益は前年度から大きく増収となり、今までの苦労が報われる形となってきました。そして各事業とも、ご利用いただくお客様に大変喜んでいただけていることが何よりの励み、手応えとなっています。
これまでにない次世代金融事業を創り、新たな投資で人それぞれが持つ「価値」の最大化を実現する、というミッションについて、少しずつですが達成できつつあると感じています。それと同時に、我々に寄せられてきた多くの悩みを解決し期待に応えるためには、まだまだ大きな成長が必要だとも痛感しています。

ということでかなり長くなってしまいましたが、ようやく現在まで来ました。ここからは、Fintertechのこれからと、成し遂げたいことについて書いていきます。

Fintertechのこれからの5年間に向けて

「全ての人がデジタルアセットを持つ時代(=Web3時代)」の到来を見据えて

Fintertechは暗号資産・ブロックチェーン(今で言う「Web3」「web3」「Web3.0」)への取り組みを元に作られた会社ではありますが、現時点ではWeb3専業の会社というわけではありません。
創業期~事業立ち上げ期において、Web3領域でマネタイズ可能な事業が限定的だったこともあり、暗号資産事業以外の領域では、まずは各金融ライセンスを取得し収益事業を作ること、これまでの証券会社の顧客とは異なる資金需要者(コンテンツやアセットの提供者)と投資家(ファン)との多くの接点を構築することを優先してきました。そしてその取り組みは奏功しつつあります。
事業がグロース期に入ったいま、より大きく成長するための最も合理的かつ自然な選択として、Web3への取り組みを強化していきます。

私は、金融に最も大きなインパクトを与える技術は、社会インフラとなり得る「ブロックチェーン」だと考えており、2030年までには「全ての人がデジタルアセットを持つ時代(=Web3時代)」が到来すると確信しています。たとえば現在、e-mailアドレスは気づけば様々なサービスに付随して割り振られていますが、デジタルアセットのウォレットもきっとそうなります。スマホ端末やSNS、金融口座、さらにはマイナンバーなどに紐づいたウォレットが知らず知らずのうちに手元にある時代が来ます。
またWeb3時代は、「社会インフラとしてパブリックチェーンが浸透している時代」となっているはずです。現時点の金融機関・事業会社の取り組みではコンソーシアムチェーンが選ばれがちですが、インターネットの歴史、クラウドコンピューティングの歴史からの教訓として、パブリックチェーンへの流れは不可逆だと考えています。
Web3領域はまだ世の中の多くの人にとっては影響も関係もないですが、ここから年々ダイナミックにその状況が変わっていくでしょう。

「Web3金融機関No.1」を目指して

こうした前提を元に、ここからは「Web3金融機関No.1」を目指して、Web3時代到来までの時計の針を進められるような事業を創っていきます。それが結果として、我々の目指す理想、ミッション達成への最良の道だと考えています。

この道を進む過程では、連続的な成長、地続きの成長はもちろんのこと、ピボットを含めた非連続的な成長も必要になってくると思いますが、これを達成するための仕組みづくりや仕込みにはすでに着手しています。ここからの事業展開のなかで、もしこれまでと毛色の違う取り組みが出てきたら、非連続成長に向けたトライだと思ってください。

また、これまで以上に業界関係者のみなさまとの連携を進めていければと思っていますので、これからぜひいろいろとお話しをさせてください。DM等で話しかけていただけたら嬉しいです。

最後になりますが、新たな転換点を迎えつつあるFintertechでの仕事にもし興味を持っていただけましたら、ぜひお話ししましょう!