【統率者戦/EDH】デッキのレベル分けの基準
「自分のデッキレベルがわからない!」って人向けに、私が完全に個人の主観に基づいたレベルの目安をご紹介します!客観的なデータはなく、完全に筆者個人の経験則と主観です。何の保証もないですが、一応カジュアル~ガチまで7年?8年?統率者戦をしてきたおじさんの感想は、もしかすると何かの参考の足しのおまけくらいにはなるかもね。
(2020/8/20)レベル7~8の基準について、一部記載を変更しました
前置き
在宅推奨活動自粛が続き競技シーンから遠のく人が増える中、公式のプッシュも相まってにわかに存在感を増しつつあるカジュアルフォーマット、統率者戦。最近はツイッターとか見てる感じだと結構興味持つ人、挑戦する人が増えてきている印象です。古代からいる統率者おじさんからすると新しい風を感じてとてもいいことだと思います。
つい先日も公式のコラムにて
「第2回:デッキ紹介《離れられない二匹、リンとセリ》」
が紹介されています。こちらは統率者デッキパワーレベル(リンク先参照)でいうと5~6を目安に作っているそうですが、この「パワーレベル」が微妙に曲者です。
明確な基準がなくデッキ使用者の主観によってなんとな~く宣言するしかないため、実はある程度幅広いレベルでの経験がないと自分の立ち位置を把握しにくいのです。
公式がこのような形で取り上げることで、「このあたりが5~6なんだ!」と示されたのは素晴らしいと思います。今後も連載が続けばレベル5~6とされるデッキの解像度がより高まってゆくことでしょう。
本題
ここらが本題です。5~6はなんとなくわかった、じゃあ他はどう見極めればいいの?そして自分のデッキは5~6なの?といった問題に対し、もう少しだけ具体的なチェック観点を考えてみました。
このパワーレベルは個々人の持つデッキの強弱・方向性をある程度数値化することで、パワーレベルに大きく開きがあるデッキ同士が同卓することを避けるために示された指標の一つです。表中の大きな5区分が共通したデッキ同士での対戦が望ましいでしょう。
なので各レベルの間隔は均等ではなく、5と6よりも6と7の境界に大きな壁があると考えて、5区分の境界について勝手に線を考えてみよう!といった方向で私の思い出語りを織り交ぜながら話をしてみます。
要するに、レベル3vs4は大きな差は生まれないが、レベル4vs5は勝率に目に見えた開きが出てくるイメージです。
以下の本題では主に「戦法の選択」と「フレーバーの尊重」の比率を観点の軸にしようと思います。戦法の選択は勝利につながるカード選択であり「〇〇で勝ちたい!」志向、フレーバーはデザインや表現のためのカード選択であり「〇〇を魅せたい!」志向とします。
結果的にゲームを決られるカードであっても、選択理由が「構築済みを活かしたい」「昆虫テーマなので、虫が描いてあるカードがいい」などであればフレーバーを尊重しているとみなします(それでも虫が描いてるからって《ガイアの揺籃の地》はややオーバーパワーが過ぎるでしょうけれど)。
レベル1~2
「イラストレーターや思い入れのあるカード、部族などの特定のコンセプトで組む。あるいは、構築済み。」
スタン落ちに合わせて思い入れのあるカードたちを使いたい!と手持ちのカードで組むならこのあたりでしょうか。ブロール+最近の特殊セット+統率者構築済みで、単価がそう高くないカード群くらいのプールを想定しているはずです。
部族、といってもエルフ/ウィザード/スリヴァー/ゴブリンといった過去の構築フォーマットで活躍したような非常に強力な部族は、おそらく想定していないでしょう。
デッキ全体で見ても戦法としてのまとまりがなく、アーキタイプとして洗練することを目指さない「人間が書いてあるカードしか使わないんだ!」といったフレーバーを最優先に組んだデッキも、このレベルに入ると思います。自慢のコレクションの一部をゲームを通して披露する、そんなモチベーションの人もこのレベルのデッキで遊ぶと盛り上がりそう。
・(戦法:フレーバー)が(1:9)
・テーマのためなら力など不要!
・ゲームの想定時間は1時間以上
・カードの能力は気にしない!絵!名前!部族!ストーリー!
・EDHのためにカードを買い足すことはほぼしない
・スタンダード+αのわずかな手持ちだけで組んだ
といったところでしょうか。今後も同様の書き方をしますが、すべてに当てはまる/一つでも当てはまるならこのレベル確定!というものではありません。あくまでイメージです。
私も年に数回構築済みだけで遊ぶ機会があるのですが、いわゆる「政治」「命乞い」といったロールプレイめいた駆け引きが楽しいレベル帯です。
レベル3~4
「構築済みデッキを手元のカードで強化し始めるデッキ」
構築済みデッキにありがちな、統率者と戦法的にシナジーしていないカード群や強みのないタップイン土地が少し気になり始めたらここ。
マーフォーク・スリヴァーのような構築実績や制圧力はあるものの独自のコンボを持たない部族全部乗せもここに入るでしょうか。ある程度デッキとして一本化したゲームプランを持ちつつも、即死コンボやエターナルのカードには手を出さないデッキがこのレベル帯だと考えます。
デッキ全体で戦法は整ってきたものの、多人数戦である統率者戦に適したモノではなく、まだまだパワー控え目スピード抑え目な環境。意識的なカード選択の結果《神の怒り》系のリセットが増えて、レベル1~2よりもむしろロングゲーム化するケースもあるかもしれないですね。
私が《囁く者、シェオルドレッド》で統率者戦に参戦したころはこれくらいだったかなと思います。ミラディンの傷跡~ラヴニカへの回帰主体ではありましたが、カードショップなどで古いカードを買い足していた覚えもあります。
・(戦法:フレーバー)が(3:7)
・テーマを崩さない範囲でゲーム上の統一感が多少は欲しい
・ゲームの想定時間は1時間以上
・無限コンボとかには手を出したくない
・EDHのためにショップの50円ストレージを漁るのが楽しくなってきた
こんなところでしょうか。私の学生の頃は2~3時間展開とリセットを繰り返した結果「コンボとか入れないと毎回1ゲーム2時間は疲れるな」「リソース勝負になると伝説のエルドラージを使いまわすシッセイに誰も勝てないな」となり軍拡が始まりました。cEDH(ガチ勢)への道第1歩です。除去を繰り返されて24マナになったシッセイが普通にリキャストされてたのもいい思い出。
レベル5~6
「統率者にあったカードや強力なカードを組み合わせたコンボなど、明確な勝利を目指し始める」
おそらくいま公式が最も推したいレベル帯?ダブルマスターズやジャンプスタートの収録カードの多くが遠慮なく活躍できるラインでしょうか。
完全に主観でものを言いますが、公式記事第1回《力の具現、ジローサ》(ゴジラ)がレベル4寄りの5、第2回《離れられない二匹、リンとセリ》がレベル5寄りの6だと考えています。
※これは大きな5区分という話から少し外れていますが、もとより完全な階段上ではなく、落差の大小こそあれ中間レベルが無数にあるアナログなレベル区分ですので「8寄りの9」「レベル5.9」といった表現も許されると思っています。
このレベル帯の解釈を述べるうえで、《ジローサ》と《リンとセリ》の違いは何かについても触れておきましょう。長くなります。
最大の違いは、戦法とフレーバーの一致度合いと戦法に適したカードの選択にあります。
《ジローサ》はゴジラのコラボレーションカードをフレーバーのテーマとし、《ジローサ》のパワーを活かした単体強化を戦法に選択しています。
この場合、ゴジラシリーズのカードは戦法に合致せずアート上の共通点を主眼に選択されます。あくまで勝負に視点を置くならば、これは残念ながらノイズになってしまいます。実際記事中でもサイズが大きく単体強化戦法に噛み合う《イダーロ》《タイタノス・レックス》を除くカード群は「その他」に振られてしまっています。《不思議な卵》の採用にまで踏み切っていたら、よりレベル4相当に近づくでしょう。
戦法に関しては、パワー7の統率者で3度攻撃する(統率者ダメージ21点を狙う)選択は統率者戦に合致した選択であり、必要な攻撃回数を3回から2回、1回へと減らすカード選択も明確に「統率者戦での勝利」を意図したものになっています。なので、レベル4寄りの5と評価しました。
《リンとセリ》は犬&猫をフレーバーのテーマとし、トークン精製能力を活かした大量展開を戦法に選択しています。
この場合、ゴジラとは異なりあらゆる犬と猫が《リンとセリ》によってトークンを生成するシナジーカードとなり、記事中でも「その他」カテゴリが存在しなくなっています。フレーバーと戦法が合致しているため、フレーバーに従ったカード選択をすることが、そのままデッキ全体のゲームプランを補強します。《大地の知識》などを利用した無限コンボや多相クリーチャーによる強化も可能ですが、その場合はレベル7寄りの6になりそうです。
多少の無限コンボも許容されると思います。サーチの利用によって高速(2~3ターン)で勝負に出ることはしない、揃った時にゲームを決められるようなコンボはこのレベル帯にふさわしいでしょう。多数の独立した無限コンボを詰め込むようなデッキも、このレベル帯かもしれません(洗練度合いによってはレベル7~8になると思います)。
レベル5~6は実例もあり長くなってしまいましたが、まとめるとこんな感じ。
・(戦法:フレーバー)が(4:6)
・フレーバーと戦法が一致するテーマを選択した
・多人数戦に勝利するための、明確なビジョンがある
・ゲームの想定時間は30分~1時間前後
・無限コンボは使うけど、積極的には狙わない
・高額な再録禁止カードはちょっと手が出せないな
・3キルなんて狙うのもされるのも想定してません
レベル7~8
「強力な統率者や希少なカード、ゲームを決めるような強力なカードが多用される」
所謂”ガチ”と呼ばれる領分はおそらくここから。3ターン以内の勝利を現実的なプランとして選択するデッキが一気に増えてきます。強力な統率者って何?って疑問にはいつものコチラ(海外EDH Tier List)を参考に。 Fringe Competitive以上の統率者が主に強力だと認知されています。
もちろんこれは海外の情報であり、全てにおいて正しいラベリングがされているわけではありませんし、どのレベル帯のであっても統率者1枚の性能だけでデッキ全体のパワーレベルが決まることはありません。あくまで「強力な戦法を選択する構築に適した統率者」に過ぎないことを忘れないでください。
5~6がデッキ全体のフレーバーを全力で活かすのだとすれば、7~8は統率者の能力を最大限生かすレベル帯とも言えます。お気に入りの統率者が最大限の能力を発揮し余すことなく活用し、ゲームに勝利したい。そうした研究や調整がたどり着く一つのラインがレベル7~8の一側面です。ゲームプラン上のノイズを泣く泣く切り捨て「統率者を使って統率者戦で勝つ」ことを突き詰め始めたら君もガチ勢だ!
というのもあり、レベル7~8は未経験者が”ガチEDH”と聞いたときに真っ先に思い浮かべる環境なのかもしれません。サーチやマナ加速からの2~3ターンでコンボをそろえること最優先するデッキ、といったイメージは主にこのレベル帯がカジュアル層と隣接するが故についたのでしょう。
・(戦法:フレーバー)が(9:1)
・多人数戦に勝利するための、強力なビジョンがある
・ゲームの想定時間は30分(数ターン)以内
・すべてのリソースを無限コンボの早期成立にそそぐ
・または、相手の3キルを意識した構築
・高額な再録禁止カードもどんどん採用
のような特徴になりますかね。追加ターン連打戦法やチェインコンボによるストームなども出てくると思います。大まかに「3キルするか、3キルをしのいで長期戦に持ち込むかのどちらかしかできないデッキ」がこのレベル帯の多数だと考えます。総じて統率者への依存度が高くなり、そこを封殺されると一気に苦しくなることも多いでしょう。
------追記---------------------
最初の更新では「3キルがレベル7の基準」としていましたが、もう少しラインを繰り上げようと思います。
レベル7は「カード選択に妥協はなく高額カードも惜しまず採用するが、安定して3~4キルすることもそれらに対処することもできないデッキ」
レベル8を「カード選択に妥協はなく高額カードも惜しまず採用し、安定して3~4キルしたりそれらを対処できるデッキ」
とします。
なぜこんなところに境界を設けたかというと、公式の文言では「希少なカードや強力なカードの使用」までしか基準を設けてはいないため「単体で見ると希少で強力だが全体では力不足のデッキ」と「全体で十分なパワーを備えたデッキ」の差を考慮できていなかったためです。
愚直に統率者ダメージを狙うような色の少ない(そして柔軟性や対応力に乏しいナヤカラーのいずれかであったりする)殴りジェネラルなどは、どれだけカードを妥協しなかったところでやはり速度面での限界があります。
これらは資産の面で6ではないが、速度の面で9ではありません。また、後述するように安定して3~4キルできるほどに研ぎ澄ませてもなおも9には及ばない。とすると7と8をより詳細に区分したほうがより適切な区分けになるだろうと考えたわけです。
レベル7は
・3キル相手に何もできない
・偶に対処はできるが自分の勝ちに繋げることができない
レベル8は
・3~4キルできる
・妨害による減速を強いることで勝ちに近づける
が細分化したチェック項目でしょうか。
------追記おわり---------------
ちなみに余談ですがこのレベルのデッキからは完全に「シナジーのないタップイン土地」は消え去るでしょう。EDHにバウンスランドを積むな。バウンスランドと邪神の寺院でキープは無理があるだろう。
同時にこのあたりからデッキに「なんとなく/好きだから」が消えてゆきます。最近たまに見かけるEDH100枚解説として1枚1枚ゲームプラン上の役割や意図が解説できるようになってくると思います。いざやると結構難しいのですけど…。
3キルみたいな「ゲームを決めるようなコンボで最適化」したらそれはレベル9~10では?と言うツッコミには次でお答えします。
レベル9~10
「最上位の統率者や希少なカード、すぐにゲームを決めるようなコンボで最適化される」
正直ここのデッキを組める層の方は自分のデッキのパワーレベルに悩むことはない気がするんですが一応書きます。最大の勘所は”最適化”です。
相手がノーガードの時に安定して3キルができる程度では、もはや最適化されたとは言えません。いかに少ないリソースで、いかにリカバリーの余地を残して、いかに想定される妨害を掻い潜って、いかに相手の最速コンボや致命的なカードをブロックしつつ勝利するか。最上位レベルのデッキはこの複数ないしほとんどを実現するべく構築されています。レベル8と9の壁はここになるでしょう。《無のロッド》や《法の定め》1枚で沈黙するようなデッキは殆どなくなってきます。
このレベル同士の戦いは、3ターン以内に決着する頻度はレベル7~8のそれよりも低くなります。全員が3キルの準備ができて全員がそれを止められるなら、破れかぶれの”ブッパ”は悪手です。コンボをそろえるだけに終わらず、多くのカウンターやリカバリープランを準備したうえで攻め時を読む駆け引きが生まれます。実際の決着は5~6ターン目となるでしょう。それでも十分速いと言えますが。
海外のTier表を例に挙げても、 Exemplary以上の統率者はその多くが5マナ以内で強力なアドバンテージ獲得能力を有しています。コストが軽いことも、アドバンテージを得やすいことも、先に挙げた複数の課題をパスすることに大いに役に立ちます。
《トラシオス》を含む共闘や《帰還した王、ケンリス》が《むかつき》や《タッサの神託者》+《Demonic Consultation》を使用したり、《初祖スリヴァー》や《カズル》《ウキーマ》が《食物連鎖》+《霧虚ろのグリフィン》を使用することをカラーマーカーと呼ぶ声も時たまありますが、彼らはその色の多さや能力によってゴールとなるコンボに最適化すべく選択されたが故の”最上位の統率者”です。
というか、ただ色が合えばいいならあらゆる5色の伝説のクリーチャーが最上位になってしまいますよね。(今ほど伝説の5色が豊富でない時代には《むかつき》のために敢えてひ弱な5色統率者によるカモフラージュをするデッキは存在しました。)
レベル8までは「好きな統率者を選び、統率者に適した勝ち方を見定める」デッキが主になりますが、レベル9以上は「勝ち方のための統率者を選び、突き詰める」ことになるでしょう。
・(戦法:フレーバー)が(10:0)
・統率者の選択から最適化する
・ゲームの想定時間は30分前後
・3キルもできる、3キルも凌げる
・高額な再録禁止カードもどんどん採用
私自身、このレベル帯を意識したデッキは一応ありますが完璧に最適化できているとは思っていません。そもそも数千人規模の大会があるでもないので答えわせの機会なんて無いんですよね。一口にガチと言っても7~10ではまだ不足かなと思う気持ちが多少あるので、レベル10を過剰に神格化してイデアのごとく扱う必要はないと思います。自己申告だし、下に鯖読むくらいなら上に盛って「俺が最強!!俺がレベル10!!いやレベル1億!!」くらいでいいよね。
結びに(言い訳)
もちろん、最初にも書いたようにここの内容はすべて主観であり、読者の多くは「これは違うでしょ」と思うような内容も多かったと思います。引用した公式記事のデッキへの解釈も、おそらく製作者のクロタカ氏からしたら的外れに違いありません。
また、私の経験の中でも上記のレベルの境界に沿わないデッキやプレイヤーを複数知っています。Tier表に上がってこないようなマイナージェネラルでも研究と研鑽を怠らず上位レベルと同格に渡り合える人、強ジェネラルとされる統率者を選びながらも多元宇宙での活躍に注目しフレーバー重点で物語のようなデッキを組む人、それぞれです。
「ブログでこう書いてあったから、お前のデッキはレベルXだ!」と決めつけるようなことはやめてください(そこまで信憑性があるとも思ってませんが)。もちろん、もしこれを読んで共感いただけたのなら自己分析や友人の相談に乗る際に参考にしていただければ幸いです。
そもそもある程度経験がないとわからないことなので、経験者なりの考えを聞くというのは経験のかさましになるんじゃない?という老害の押し付けとしてこれをまとめました。
世の並み居る経験者たちも、私より経験が浅い人も深い人もみんな少しずつイメージを文章にしていくといいと思います。アイデアが増えればほら、この文章も一人の押し付けじゃなく数多の意見のひとつになるし。
参考
クロタカの統率者図書館
「第1回:デッキ紹介《怪獣王、ゴジラ》(力の具現、ジローサ)」 https://mtg-jp.com/reading/clotakacommander/0034132/
「第2回:デッキ紹介《離れられない二匹、リンとセリ》」 https://mtg-jp.com/reading/clotakacommander/0034245/
Tapped Out
Commanders by Power Level [EDH Tier List]
https://tappedout.net/mtg-decks/list-multiplayer-edh-generals-by-tier/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?