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レースのやつがあれ

長く家にいると、とっさに言葉が出てこない。
大塩平八郎でも米ぶちまけるレベルで語彙力が大飢饉。

コロナ禍で人と会わなくなったのも手伝って、身内との会話ばかりになったいま、あれがあれで、これがこれで、で会話が進む。

熟年夫婦かって。


昨日無事引越しを果たした姉の巴月ちゃんなんて、
「いや〜レースのやつがアレでさぁ」とか言ってきた。
それに対してうんうん頷く母・トモコ。

え?
会話成立してる?これ。

そりゃわたしだってわかってる雰囲気出して巴月ちゃんの全てを受け入れるつもりで黙って頷いていたかったけど、

レースのやつ(レースの下着)がアレ(盗まれた)かもしれないし、
レースのやつ(東京競馬場でミクソロジーが出るレース)がアレ(全財産いっちゃう?)
かもしれないわけで、安易に頷けない。

だから意を決して
「ねえ巴月ちゃん、レースのなにがどうなん?」
って聞いたわけ。

そしたら
「えー!そんなん説明するもなにも、レースのカーテンの裾が長いから切らないと埃とか溜まるやろ?猫も連れてくから毛も舞うし。カーテンに汚れついてカビ生えるんも嫌やから、裾切ってもらえんかなあって言う話やん」


やつ、とアレ、の役割の重さエグくない??


トモコはトモコで「確かにね〜」って遅ればせながら人差し指と中指でハサミチョキチョキの形しだした。急に意味あるジェスチャー入れ込んできた。

絶対、いま、今、IMA、理解したよね?



てなわけで、どなたか巴月のレースのカーテンの裾、つめていただけませんか?


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