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蓮ノ空カウントダウン企画②: 水彩世界について語る

皆さん、こんにちは!今日はカウントダウン企画の第2弾として水彩世界についてお話したいと思います。「水彩世界」は、日野下花帆ちゃんと乙宗梢ちゃんのユニット「スリーズブーケ」の最初の曲で、3ユニットの中で一番王道アイドル感が強い曲です。歌詞もすごくラブライブらしいというか、個人的には全体曲で歌うのも可能な歌だと思います。ストーリーを読んだ後、歌詞がまたどのように違うように感じられるかが楽しみですが、この記事ではまず今想像できる水彩世界について考えてみたいと思います。すべての歌詞については話すのではなく、何か思い浮かぶことがある部分だけ話したいと思います。

筆先を濡らした水が バケツの中濁るように
ひとりで悩んでいた 放課後のこと

花帆ちゃんのこのフレーズを聞くたびに、放課後にひとりで悩んでいる姿を筆先を濡らした水がバケツを曇らせることに例えることに感心するのですが、ここで水とは正確に言えば「絵の具が混ざった水」でしょう。水彩画は絵の具を水に溶かして描いていくものですから。水彩画をするのに使うバケツは絵を描けば描くほど色々な色の絵の具が混ざって汚い色に変わってしまいます。「ひとりで悩むこと」は、この暗く染まっていく水にも似たようなものだと思います。一人で悩んでも答えは出ず、悩みがたまるだけで心がくすんだ色に染まってしまうのです。

こんな花帆ちゃんが放課後に一人で描いていたのは「下手くそすぎる未来図」と「タイトルのない感情」、そして「未完成な自由」で花帆ちゃんは自分が今やりたいことは何か、どんな未来に進みたいのか悩んでいる感じがします。特に気になるのは「未完成な自由」という部分で、まず「自由とは完成できるのか?」という疑問が浮かびますよね。

未来は風のように自由だよ 自由なんだ
どんどん高く飛んで 夢を描こう - 未来は風のように
 
もっと自由に染まる どんな色にもなれるよ
想像できない未来が僕らを待ってる
でも変わらない 心は ずっと透き通ったままさ - 色づいて透明

実は「自由」というキーワードは、ラブライブの曲の歌詞にそこまで多く登場することはありません。もちろんシリーズによって自由をどう扱うのか違うかもしれませんが、それでもまず私に印象的だったLiella!が歌った二つの自由を持ってきました。二つの歌詞を見ると自由は風のような存在で、スクールアイドルは自由にどんな色でも染めることができますが、その中に変わらない気持ちがあると言えます。ストーリープレビューを見ると、花帆ちゃんは「両親の監督と干渉がない、自分の選択によって何でもできる状況」を自由と認識しているようです。もちろんこれもやはり一つの自由でしょうが、ラブライブでの自由はここで終わるとは思えません。風はどこへ行くのか分からない存在で、自由な未来というのは同時にどこへ行くのか分からない未来という意味も持つようになります。つまり、「想像できない」未来が待ってるということは一見肯定的な意味でしか感じられないが失敗や挫折のような、最初は想像できなかった苦しみも体験するということです。そのため、その中で進み続けるためには「変わらない心」、つまり変わらない夢や情熱のようなものが必要です。花帆ちゃんはこれを知らなかったし、だからこそ「未完成な自由」だったのではないでしょうか。

「Dream Believers」に梢ちゃんから花帆ちゃんへと続くパートで「願いは自由に駆けだすよ」という歌詞があります。この自由は未完成の自由とは違う、自由に走りながら「変わるもの」と「変わらないもの」の両方を知った歌詞ではないかと思います。

不思議ね、今ならわかるの
ひとりじゃないんだ
信じてみたい True heart

ここで気になる点は、梢ちゃんは1年生の時から他の2年生組のメンバーと一緒に活動してきたはずなのに、ひとりではないことを「今ならわかるの」と言うことです。やはり2年生には何かバックストーリーがあるのではないかという気もしますし、あるいはこれは他人に自分の気持ちを表すのが苦手な梢ちゃんの性格のせいかもしれません。また、ひとりではないことを知るということは、梢ちゃんがこれまで「自分はひとり」だと感じていたことを意味するものでもありますが、単にスクールアイドルの問題ではなく、皆に尊敬される優等生で名門家の子、という立場から周りの友達が梢ちゃんを難しがっていたのではないかという気もします。でも花帆ちゃんとの出会いで梢ちゃんは「本当の心」を信じてみたいと思うようになったのでしょう。偽りのない気持ちということから「On your mark」の「でも単純明快ね 嘘つけないもの いこう。」という歌詞も思い出します。True heartというのは、梢ちゃん自身の気持ちでもありながら花帆ちゃんを意味することもあり、花帆ちゃんを信じたいという意味にも解釈できるでしょう。

私と君の色をのせて
花がパッと咲いた キャンバスの上

サビですが、このパートでは「蓮の花」を思い出します。蓮の花は泥の中で咲く花です。これを最初のフレーズとつなげてみると、いろんな絵の具、いろんな悩みで汚れた水中でも蓮の花は咲くことができるということです。苦しみを乗り越えてスリーズブーケが咲かせた花の美しさを感じます。

余白だらけの一日も
ただ過ぎて行く一秒も
宝物になるんだ 君となら

2番は梢ちゃんのパートから始まりますが、まず「君となら」宝物になるということを見ると、花帆ちゃんと会うまでは梢ちゃんに余白だらけの一日やただ過ぎて行く一秒は意味がなかったことが分かります。おそらく、何か結果を残す時間が梢ちゃんにとって意味があったのではないかと思います。さて、ここで「余白だらけの一日」とはどういう意味でしょうか。この前のパートでは四季という時間を水彩世界を描くために必要な「色」で表現しました。それなら余白だらけの一日は、その色をほとんど塗れなかった、つまり水彩世界をほとんど描き出せなかった一日だと言えます。そんな一日は何の特別なことも起こらなかったごく平凡な日常だったとも言えますし、あるいは描いて残したくもないくらいつらいことがあった一日だったとも言えます。 しかし、そんな時間さえ君となら宝物になります。

忘れたりしないように
すぐに思い出せるように
呼吸も この鼓動も
全部残してく

いきなりCメロに飛び越えてきたのですが、この部分は花宮さんの解釈がもう天才でした。

花帆は忘れないようにしているんですけど、梢は忘れることが大前提なんですよね。でも、花帆が思い出させてくれるっていう関係性まで詰め込まれているんじゃないかなって考えています。

「忘れたりしないこと」と「忘れるけど思い出せること」。これは水彩画に似ています。水彩画は一度色を塗ると修正が難しいです。(油絵と違って色がきれいに重ねられてもいないし、紙が傷むから)だから、花帆ちゃんと梢ちゃんが作る水彩世界はどんな色でも(=どんなことでも)一度染まればそのまま残り、すべてを持って行く世界です。呼吸もこの鼓動も全部残せば忘れない世界なんですよね。しかし同時に、水彩画は油絵やアクリルに比べて色あせやすい絵でもあります。水彩画のように記憶も色あせることがあります。 しかし、どんな色も決してなくなることはないし、二人が一緒に描いた水彩世界の存在さえ覚えれば思い出すことはできます。そして梢ちゃんにとっては花帆ちゃんがそう思わせる存在でしょう。


ここまで付き合ってくださった方々、ありがとうございました。水彩世界、本当に素敵な曲ですよね。 とても「始まり」を感じます。 メロディーから歌詞までとても透明感があって、これからこの曲がスリーズブーケを知っていきながらどんな色に染まっていくのか楽しみです。それでは次はいよいよカウントダウン企画ラスト!Link! Like!ラブライブ!が始まる前日の14日に「Dream Believers」について話す文を載せようと思います。 どうかその時もご一緒していただけると嬉しいです。


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