見出し画像

一緒に新しい世界へ: Reflection in the mirrorについて

こんにちは!今日は 「Reflection in the mirror」(以下RIF)の歌詞についてお話したいと思います。アリスシリーズ大好きオタクなので、不思議の国のアリスと白雪姫を元に妄想してみました。個人的な考え100%展開の書き込みになる予定ですので、大丈夫な方は是非最後までお付き合いください。

RIFの中に登場する鏡は2つの意味を持ちます。一つは「鏡の国のアリス」の鏡、もう一つは「白雪姫」の鏡です。1番だけ聞いた時は当然前者だけだと思っていたのに、Cメロを聞いてとても気絶した記憶があります。歌詞の中で梢ちゃんと花帆ちゃんの関係はかなり複雑ですが、まず二人は当然ながら鏡を挟んで向かい合う関係です。ですから花帆ちゃんにとっては梢ちゃんが、梢ちゃんにとっては花帆ちゃんが鏡の像であり、同時に花帆ちゃんにとっては梢ちゃんが、梢ちゃんにとっては花帆ちゃんが鏡の国(=不思議な国)の存在として感じられるようになるのです。そして鏡の国のアリスが不思議な国のアリスを先行するという点で、梢ちゃんと花帆ちゃんはお互いに時計ウサギでありアリスになります。それで1話のストーリーを見ると突然茂みの中から飛び出してきた花帆ちゃんは、梢ちゃん視点から見ると自分の変わらない生活に突然飛び出してきた時計ウサギになるわけで、逆に花帆ちゃん視点から見るとウサギ穴に飛び降りて気がつくと不思議な国の住民梢ちゃんと出くわしてティータイムに招かれ、時計ウサギである梢ちゃんの手に引かれて新しい世界を見たアリスとなります。このような面で梢ちゃんと花帆ちゃんにとってお互いは新しい世界(ワンダーランド)そのものとも言えます。

ところで、アニメ不思議の国のアリスを思い浮かべるとワンダーランドは水面に映ったアリスの影から生まれます。ここから花帆ちゃんと梢ちゃんの鏡に映った関係性が始まりますし、花帆ちゃんには水面上に梢ちゃんが、梢ちゃんには花帆ちゃんが見えてワンダーランドもお互いから始まるわけです。しかし面白いのは鏡の中に映るお互いの姿は結局自分の姿でもあるという点で結局ワンダーランドは自分の中に生まれることでもありますし。これは梢ちゃんが花帆ちゃんに「私にできることは新しい世界を見せることだけで、この次は君が踏み出さなければ始まらない話」ということにも通じます。ですから梢ちゃんと花帆ちゃんはお互いに水面(鏡)を通じて新しい世界を見せることはできますが、結局アリスである各自がその新しい世界に一足踏み出して飛び込んでこなければ話は始まらないということです。

鏡越しに 私たちは向かい合う
なんて不思議な世界 目の前に広がる景色は
何もかもが さかさまに映る (It's another world)

だからRIFのこの歌詞が出ることになるんです。

背を向けたら独りと変わらないねきっと
信じるしかないここに在る自分を
それがきっと君のことを信じるってことだ

ここで3話のストーリーとつながってこの歌詞が登場します。花帆ちゃんと梢ちゃんはお互いのパートナーですが、同時に鏡の中の存在なので本人が背を向けてしまうと結局相手を見ることができません。だから一人であるのと変わりなくなるのです。鏡の中の存在は「相手であり私自身の像」ですから、結局私を信じてくれないと相手を否定することになってしまいます。これは「×をつける私に 〇をつけた君」とも繋がるものですが、花帆ちゃんは梢ちゃんに憧れてうらやましがり、梢ちゃんは花帆ちゃんに憧れて羨ましがります。ところが、この憧れまで結局相手の一部ですから、お互いが憧れる自分自身を否定するとお互いの気持ちを否定することになってしまうのです。ですから、たとえ自然に信じられるものではなくても、「信じるしかない」のです。

さて、面白くなるのはここからです。花帆ちゃんと梢ちゃんはこの鏡を壊して手を取り合って一緒に新しい世界に進もうとします。

どこだって行けるよねせーのでこの壁を壊して
手を取り合えたら夢もほら夢じゃなくなる
 
なんだって出来るよねせーのでまた壁を壊して
“一緒に叶えたい”理由なんてそれだけでいい
境界線飛び越えてそこがスタートライン

ここでいう「壁」は結局ドアでもありますが、お互いが手を握るのを妨げている「鏡」のことです。 この鏡を壊さなければならないのは、二人が手をつないでこそ夢を叶えることができるからですし、一つの世界で一緒に過ごしたいからです。1話の最後に梢ちゃんが「あなたと私で、新しい世界へ」と言うのが結局RIFを貫通します。単純に二人のうち一人がお互いの世界に移ってくるのではなく、鏡そのものを壊して見たことのない新しい世界を作り、その世界を一緒に冒険したいのが二人の望みです。鏡を壊すというのが断絶を回復するということはとても一般的な解釈であり、これは同時に各自が認めたくなかった自分自身の姿を私の一部として受け入れ認めるということでもあります。

そこで、白雪姫の鏡が登場します。

ねぇ聞こえる?鏡よ鏡さん
今の私たちにはあなたはいらない
答えならちゃんと見つけたよ
こんなにも全ては美しい

白雪姫の童話解釈の中に、白雪姫は鏡そのもので鏡を覗く存在は魔女だという解釈があります。ここでもその解釈が使えます。花帆ちゃんと梢ちゃんにとってお互いは憧れや嫉妬、羨望の的である白雪姫で本人は魔女です。そして、自分自身が魔女だという事実を二人ともよく知っています。だからそういう自分を否定したいし、そういう自分が嫌いなんです。しかしお互いとの出会いを通じて自分自身の姿もやはり認められるようになり、二人は「今の私たちには あなたはいらない」と言えるようになります。これは鏡が照らしてくれた「私が作り出した白雪姫の理想化した姿」ではなく、お互いの闇まで知り合って相手そのものを受け入れたということであり、これ以上鏡の前に立たずにこんな自分で生きていくという気持ちです。

それで突然「答えならちゃんと見つけたよこんなにも全ては美しい」と言っているようですが、これは結局魔女が鏡を見て問い続けてきた「鏡よ鏡さん世界で一番美しいのは誰?」に対する答えなのです。お互いだけが美しいわけでも、私だけが美しいわけでもなく、「こんなにも全ては美しい
」ということ
です。RIFにはスリーズブーケがお互いに出会い、不思議な世界·新しい世界を見るようになり、その過程を通じてお互いと自分自身を受け入れ、共に新しい世界へと進む過程がすべて現れるのです。


ここまで交わってくださった皆さん、ありがとうございました。スリーズブーケは童話にまつわるモチーフがあちこちに隠れていて、童話を繋げて解釈するのが好きな私としてはとても幸せです。それでは機会があればまた付き合ってください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?