トヨタグループで不祥事が起きる訳

昨年の日野、ダイハツに続きトヨタの祖業的会社でもある豊田自動織機でもエンジン関連で不正が起きた。何故トヨタグループでばかりこのような事が起きるのか。その前に自動車を開発して、それを大量生産して、実際に大量販売するという事をおさらいしたい。自動車を売り買いするという時に必ず必要な事として《登録》を受けるという事がある。要するにナンバープレートの交付を受ける事だ。ナンバーをつけなければ車という製品、商品は公道を走る事が出来ない。

そのナンバープレートとセットとなっている物が自動車検査証(いわゆる車検証)だ。自動車検査証、実はその名の通り検査の証なのだ。車を売買する時にいちいち検査なんてしてたっけ?と疑問に思う方もいらっしゃると思う。2年に一度の《車検》の時は検査をします。陸運局で検査をする事もあるし、国土交通省から認証を受けている《指定》工場などは自社の工場で検査が出来る。《認証》工場では分解整備などは出来るが検査は各陸運局で受けなければならない。新車の時はどうなのか?実は新車も新車の生産後にメーカーの工場で検査を受けている。

いちいち陸運局に持ち込んで検査、登録等を受ける事は殆どない。効率が悪すぎて商売にならないからだ。ここで登場するのが車検証に表示されている《類別区分番号》と《型式指定番号》だ。新車の登録と検査をいちいち陸運局に持ちこんでやるのはディーラーも陸運局も効率が悪い。なので新車を開発したメーカーは『うちで開発して大量生産、大量販売する車は既に検査を終えて大本の国土交通省に届け出をしているので、全国各地の陸運局でいちいち現車の検査や突合せは不要ですよ』とう意図で《類別区分》と《型式指定》を済ませているのだ。

《類別区分》はグレード等を示しているので環境性能割(昔の取得税の事)の計算を省略するためにあり、《型式指定》は大本の検査を済ませているので各地の陸運局に現車持ち込みする事を不要にするためにある。なので大本の検査に不正があり、国土交通省から《型式指定》の取り消しの処分を受けるという事は、大量販売をする為の前提が崩れるという事なのです。時折新車でも持ち込み登録する場合があるが、それはいずれも少量生産の特殊車両等(特殊な架装車、チューニング車、並行輸入車)なので、大量生産、大量販売の前提車種とは違うので大勢には影響しない。

おっと、タイトルでは《トヨタグループで不祥事が起きる理由》等と大それた事を書きながら自動車の認証やして制度について書きなぐってしまった。実は私はこの20世紀から続く大企業主導の《インダストリー》という物が制度疲労を起こしている様に思えてならない。何かというと大企業が大量生産して大量販売する。この前提で効率良く商売をするからこそ大企業に成り得て、大企業を継続出来る訳でして、様々なニーズに一々オーダーメイドで応える様な非効率なやり方では大企業には成れる訳が無いであろうというのは自明だ。大量に工場で作って大量に流通に載せる。その為に多くの人は自我を殺して効率よく働く。果たしてこれが21世紀型の働き方といえるのであろうか?等といつになく難しい事を考えてしまった。

ただ、トヨタも変わりつつあると思う。私も乗っているGRヤリスのマイナーチェンジ版。あれを見ると随分ユーザー(競技者?)の声を拾って改良に反映させている様だ。効率よく大量生産しないと商売にならずそのために時に不正に手を染める。それに決別する為に随分と細かな要望に応える様な多品種少量生産にトヨタグループもなるその実験車種としてGRヤリスがある様な気がしている。企業の体質が変わるのには時間もお金もかかるけど、豊田章男会長程の《カーガイ》(※車好きの意味)が引っ張るトヨタグループであれば必ず健全な方向でトヨタグループ並びに世界の《モビリティ》をリードして頂けると信じております。

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