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好きな漫画を書き連ねる(その1)

思いつくがままに好きな漫画とその紹介をしていきます。長かったらその1その2と増やしていこうかと思いつつその辺は書いてみないとわかりません。

・『七色いんこ』(手塚治虫)
 有名どころに匹敵する面白さなのに全然知名度がなくて悔しいのもあって、先発で出陣してもらいました。他の手塚作品に比べての微妙な知名度の無さは主人公がうさんくさすぎるからでしょうか。そこが魅力なのですが。ほかの手塚スターに比べて映えないからですかね?そもそもグラサンで目が見えないのはキャラクターにとっては致命的なのか……。あんなに魅力的なのに……。
 古今東西の演劇が作中劇として扱われ、登場人物たちの物語とも重なってゆきます。手塚先生のその手腕は鮮やか。ついでに古今東西の演劇のあらすじ等々をざっと知れるのでそれこそ最近はやりの「教養」は身に付きますから、潜在的な需要はあると思うのですが。でも何かそういう扱われ方はいやかもしれないな……基本的にはコメディだと思うので頭空っぽにして楽しく読んでも欲しい作品ですしね。いわゆる「教養」はあくまでも副産物です。
 主人公七色いんこは代役専門の舞台俳優かつ泥棒です。作中でもさんざん登場人物たちに指摘されるようにめちゃくちゃキザ野郎です。でもそれがいい。うさんくさいのにかっこいい。多少なにかしら盗まれても仕方ない。(盗まれるようなものを持っていないとも言える。)代役専門なところに彼のどうしようもないコンプレックスがあらわれているなあと思います。「ホンネ」という謎生物に追い回されるあたりも楽しく読みながらもちょっといろいろ考えさせられたり。そもそもなぜ彼はこんなことをしているのか。「終幕」はちょっとしたミステリというかサスペンスです。作中に出てきたトンチキな設定が最後に重大な伏線へと様変わりするのも本作の読みどころですよ。
 そして何より!玉サブローのかわいさを知らないのはもったいない。私はどちらかと言うと犬派(特に秋田犬)に属していますが、もしかするときっかけはこの作品かもしれません。(玉サブローの犬種はなんでしょうね……。少なくとも秋田犬ではありませんね。)流し目がやけに艶っぽい芸達者な犬。なんじゃそりゃって感じでしょうがほんとにこの通りなんですよ玉サブローは。表情豊かでとってもキュート。しかもコイツ、たくましくて図々しくていんこをめっちゃ振り回します。その辺にも注目していただけると嬉しいですね。
 いんこを追い回す千里万里子刑事。強い!かわいい!かっこいい!鳥を見るとアレルギーで(!?)体が縮むのが最高に手塚治虫。メタモルフォーゼ大好き先生ならでは。いんことの掛け合いも気持ちいいです。
 戯曲というジャンルに素人ながら手を出せるようになったのは間違いなくこの作品が背中を押してくれたおかげです。『シラノ・ド・ベルジュラック』は原作もすっごく面白かったです。『ブラック・ジャック』にも「気の弱いシラノ」がありますが両方読むとより良し。手塚先生はご自身のお鼻がコンプレックスだったために鼻に特徴のあるキャラクターが多いと何かで読みました。そういうこともあってこの戯曲がお気に召されたのかもしれませんね。もちろん他のスターシステムの役者の皆さんも山ほど出てきますよ。
 せっかくなので本編で取り上げられている演劇のタイトルをいくつか紹介します。
『ハムレット』『ベニスの商人』(シェイクスピア)
『修善寺物語』(岡本綺堂)『ピーター・パン』(ジェームス・Ⅿ・バリ)
『棒になった男』(安部公房) 『ピグマリオン』(バーナード・ショー)『サロメ』(オスカー・ワイルド) 『十一匹のネコ』(井上ひさし)
これでも極々一部です。興味をお持ちの方は是非ご一読を!!

・『バルバラ異界』(萩尾望都)
 SFファンタジー。陰惨な殺人事件に遭遇して以降、なぜ少女青葉は眠り続けているのか。「夢先案内人」として調査する渡会時夫たちの周辺にたびたび現れる謎めいた言葉「バルバラ」とは何か。SF要素のみならず謎解き要素ホラー要素もあってハラハラし通しです。
 青葉ちゃんのミステリアスな雰囲気、キリヤ君の儚げな様子、ライカちゃんの元気の良さ、時夫の頼りない面を抱えつつの誠実さ、大黒先生の胡散臭さ等々キャラクターに多彩な魅力があります。ちなみに萩尾作品は見方を変えると毒親博覧会の様相を呈しますが、先生の作品に登場する毒親のなかでも明美さんはトップクラスのヤバさだと思っています。思い込みでむやみやたらと行動するわ、話が通じないわ聞く耳を持たないわ。漫画関係ない日常の場面で唐突に彼女のことを思い出してイライラするレベル。むしろなぜ時夫はこんな人と結婚したのか意味が分からない。
 本編の内容を語ろうにもどこからどう語ればいいのか、私の語彙では表現できません。お願いだから読んでください。

未来は君たちを愛しているか

さて、ここまで書いてわかりました。この調子で書くととんでもない長文になってしまうことが。またいつか気が向いたときにその2を書こうと思います。とりあえず好きな作品を以下に思いつくままバーッと書いておきます。

『動物のお医者さん』(佐々木倫子) 『神童』(さそうあきら)
『乙嫁語り』(森薫) 『からん』(木村紺)
『あたりのキッチン』(白乃雪) 『銀の匙』(荒川弘)
『桜蘭高校ホスト部』(葉鳥ビスコ)『紙一重りんちゃん』(長崎ライチ)
『NARUTO』(岸本斉史) 『西洋骨董洋菓子店』(よしながふみ)
『腸よ鼻よ』(島袋全優) 『猫奥』(山村東) 
『淡島百景』(志村貴子) 『シャドーハウス』(ソウマトウ)
『女の園の星』(和山やま)
『#こんなブラック・ジャックは嫌だ』(つのがい)他多数

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