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KOZUKA513 お米作るってよ(1)

ある日、近所に住んでいる移住の先輩から「田んぼをやらない?」というお話をいただいた。田んぼをやる?つまりお米を作る?
なんでも、近くの農家さんが身体を悪くされ、跡継ぎもいないので、やめるか人に貸すかという状況なのだそうだ。

お米、作ったことあります。大山千枚田のオーナー制度にはもう6年ほど参加している。前職の仕事の関係で体験田植えや体験稲刈り、バケツ稲作りもやった。お米、作ったことあります。

ん?
千枚田は、「田植え・草刈り・稲刈り・脱穀」以外の作業はNPOとその支援者の方々が全部やってくれるから、おそらく一番大変だろうと想像する作業は一つもしていない。
体験田植えや稲刈りは言わずもがなで、バケツ稲作りに至っては田んぼの仕事なんて何一つしていない。

ごめんなさい。お米、作ったことありません…。


ついこの間、「ラブコメ」(原田マハ&みづき水脈)と「生きるぼくら」(原田マハ)を読んだ。
「生きるぼくら」は、日本農業新聞に連載された小説で、「ラブコメ」はその連載のために実際に体験・取材した八ヶ岳での米作りのドキュメンタリー。
自然農法?「田を耕さず、肥料も農薬も使わず」という、崇高かつめちゃくちゃ大変な米作りのお話。小説もドキュメンタリーもとても面白く感動して読んだ。

でも、今回いただいた米作りのお話は、そういったものではない。
関東周辺の地方都市の山間部の、普通に営農されてきた田んぼのお話。もちろん田んぼは耕すし肥料も使う。田んぼを耕すのにも苗を植えるのにも稲を刈り取るのにも機械を使う。普通に当たり前の米作り農家の仕事。それをやらないか、と。

近隣の先輩移住者には、素晴らしい方々がたくさんいる。
耕作放棄された棚田を地元の方々や都会の大学の研究室などと協同してよみがえらせている方、里山の風景を財産として保全しようと力を尽くしている方、里山の文化(例えば藁細工のしめ縄やいろいろ)の素晴らしさを世に広めようとしている方。

そんな「高い志」をもって移住してきたのではない自分たちだけど、それでも、増え続ける耕作放棄地や空き家には心が痛むのだ。
本当に微力だけれど、荒れ果てていた畑を何とか耕作して野菜を作ったり、農地に戻るのかどうか分からない相当な広さの土地の草刈りを年中やっていたりする。

それならば、と心が動く。米作り農家さんの米作りをやってみたい。田んぼが放棄されて山にかえる、それをわずか数年でも遅らせることに少しは意味がありはしないか、と。


今日お会いして、聞いたお話。もしかしたら「HOW TO」にもなりえるかもしれないと思うので、数字の詳細も書いておこう。

田んぼは大小合わせて2反。全部を耕作するとして、
苗料45,000円(450円×100枚)
くろ塗り依頼代26,000円・・・人力でやったら相当な労力だそう。機械に任せるのが一般的だとか。
肥料代60,000円(年間)
電気代1,700円(月)×12か月で20,400円
燃料費(ディーゼル、混合燃料)未定
つまり、年間で16万円ほどの費用になる。
機械類(草刈り機・大型耕運機・田植え機・コンバイン・脱穀機・低温貯蔵庫・精米機)・軽トラックは使い放題。農家さんの指導付き。
2反部の耕作で十数俵の収穫があるそうだ。田んぼの使用量は「年貢制」で収穫量の2割。仮に12俵穫れたとして、年貢を納めた後の9,6俵(576Kg)が16万円。10Kg当たり2,778円。
現在、カフェで使うお米が、近隣の農家さんから仕入れているもので10Kg当たり2,833円。

あれ?
これじゃお米作り農家って成り立たなくないか?
JAとかが絡む話や規模の話はよく分からないけれど。
もしかしたら収穫量のあたりを聞き違えていたかもしれない。ネットで調べたら「1反で800~1,000Kg」ってあるし、そうだとしたら仮に1,600Kg穫れたとして1,280Kgの収穫で、10Kg当たり1,250円。それなら妥当とも思える。


そんなこんなの細かいことはこれからいろいろ詰めていくにして、とにかくKOZUKA 513はお米作りを始めることになったらしい。

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